志賀高原 四十八池 しがこうげん・しじゅうはちいけ)         [上信越] 1890m

 

  昨日の雪もやんで、雲の切れ間から青空ものぞいている。天気は回復に向かっているようだ。宿の車で横手山スキー場まで送ってもらう。

 今回のツアーはクロカン4人、スノーシュー2人の変則パーティー。スノーシューでリフトに乗せてもらえるか心配だったので、事前に電話で問い合わせたらOKとのことだった。

まず第一スカイリフトに乗り、降りた後、第五リフトの乗り場に向かってゲレンデを少し滑る。第五、第六リフトと乗り継いだ先がツアーの出発地点。

 

横手山第6リフトで出発点へ
 
  少々もやっているものの、笠ヶ岳の右側に鹿島槍から北の真っ白な後立山連峰が並んでいる。直ぐに樹林帯に入ってしまうので、残念ながらアルプスの眺めはいきなりここで見納めになる。

  最初はダケカンバとシラビソの混じる斜面を北へトラバースする。固くなった雪面の上に昨日の雪が薄っすら積もっているが、シラビソの下はカリカリのままで時々エッジが滑る。

笠ヶ岳(左)、遠くに白く北アルプス。
 
  急斜面になりトラバースできなくなったら右手の県境の稜線に上がる。稜線に出ると北の方の展望がいっきに開ける。


  昨年登りそこなった岩菅山が赤石山の向こうによく見える。目の前に迫る鉢山の右肩には、東館山のゴンドラ山頂駅が覗いている。回りのダケカンバにはエビの尻尾がついている。

三角形の岩菅山(草津峠の上から)
 
  低いダケカンバの間をキックターンを繰り返しながら草津峠へ下る。草津峠は長野と草津を結ぶ古い峠だが、峠道は残っていない。小さな雪原が広がり、錆びたツアーコースの矢印がシラビソの幹に打ち付けてあった。
草津峠付近を行く。向かいは鉢山。
 
 少し登って鉢山の東側をトラバースする。シラビソとダケカンバが点在する明るい森で、春らしい陽射しを浴びてとても気持ちがいい。真っ直ぐ北に向かうと志賀山が近づいてきて、四十八池へ降りる急斜面にぶつかる。
 右も左も傾斜が急な上にびっしりと針葉樹が生えているので斜滑降もできず、しかたがないのでスキーを脱いでつぼ足で下ることにする。木の少ない沢筋を股下まで埋もれながらずり落ちるように下る。標高差は
50m程なので、すぐに傾斜は緩くなり、四十八池の見覚えのある東屋の裏に出た。東屋はひさしの近くまで雪に埋もれている。ロッジの人の話では、今年は雪が多いそうだ。
 
四十八池の雪原を志賀山に向かって歩く
 
雪に埋もれた志賀山神社の鳥居
  四十八池の湿原はまるっきり雪の下。一面の雪原が志賀山の麓まで広がっている。雪原の端にデッキらしいものが見えるので、そこまで行ってお昼にしようと思ったが、近づいてみたらそれは横木だけ雪の上に出た志賀山神社の鳥居だった。2mは積もっているようだ。よく考えれば、デッキなんかは完全に雪の下なのだ。
 

  鳥居のそばでランチにする。コンロでソーセージ入りのコンソメスープを温める。おなじみのワインがあけられ、乾杯。風も弱く絶好の雪上ハイキング日和だ。ちょっとうす雲が広がってきたが、天気は大丈夫だろう。

ランチタイム
 
 四十八池からは前山のスキー場を目指し、西に進路を取る。まず左手から回りこんで、一段低い元池に下りる。元池は周りの笹がすごくて夏には近づけないが、今は凍り付いて雪に覆われている。

  池の真ん中を横断して、なおも雪原を進む。ずっと沢筋かと思っていたが、行く手を針葉樹に覆われた丘に遮られたので、左手のダケカンバで明るい沢の方に進路を取る。しかし、その沢筋もじきに狭くなり、下りにくくなったので左手に上がって夏道を探す。
  昨年秋に来たときに夏道はかなり広いことが分かっていたので、切り開きを探したらすぐに見つかった。かすかにスキーのトレースが残っている。

夏道をたどって渋池に向かう

 

  あとは緩い夏道を前山に向かって下るだけ。所々自然解説板が立っていて、コースが正しいことを教えてくれる。前山スキー場の手前の渋池も雪原になっていた。振り返ると雪原の奥に横手山の山頂が見える。

 ここから前山スキー場の初心者コースを下ることもできるのだが、まだ時間が早いので、木戸池に向かってシルバーコースをたどることにする。シルバーコースも昔からのツアーコースだ。コースの状況はよく分からないが、ロッジの人は「下れますよ」と言っていた。

 

渋池も真っ白。後方は横手山。
 
 コースは最初、樹林の中を緩やかに下っていき、なかなか快適だ。切り開きもしっかりしていて迷うことも無い。夏道沿いのひょうたん池は通らず、東の方にカーブして笠ヶ岳を真正面に望む開けた斜面に出た。
 
シルバーコースを行くスノーシュー隊
 
笠ヶ岳をバックに。ここからコースは急になる。
  しかし、ここからが大変だった。傾斜がきつくなった上に表面だけが凍ったもなか雪でスキーはコントロールできない。斜滑降とキックターンで下るが、スピードが殺せず、何度もダケカンバに激突した。
 
  小さな鞍部に一度下りて、少し登り返すと最後の急坂。下はもう木戸池だ。斜滑降で下ろうとするがほとんど横滑り状態。エッジのない板の Tu さんは尻セードで下っていく。

  こうなるとスキーよりもスノーシューのほうが強くて、I さんの奥さんは悠々と一歩一歩着実に降りていく。同じスノーシューでも、むしろ I さんのほうがへっぴり腰だ。この斜面だけはクロカン向きではない。他にエスケープルートも無さそうなので、無理やり降りるしかないようだが。

急斜面を慎重に降りる。尻セードが一番早い。
 

  難所を終えて休憩した後、ロッジに向かって帰る。志賀草津高原道路をスキーを履いたまま横断し、雪に埋もれた沢を越えて向かい側の斜面を登る。南北に伸びる細い尾根を緩やかに北にたどると石の湯ホテルの裏にでる。スキーでいけるのはそこまで。ここからはもうスキーを脱いで道路を歩く。5分もかからずロッジに着いた。

 春の一日、念願の志賀高原クロカンツアーができて大満足。あとはゆっくり温泉に浸かるだけだ。

 

道路を横切って石の湯ロッジに帰る

  

  翌日は出発前に田の原湿原で遊ぶ。ロッジ前のホタル橋を渡り、右手の斜面をスキーを担いで強引に登ると目の前はもう田の原湿原。

  真っ白な雪原に最初にトレースを付けるのは最高の気分。笠ヶ岳が点景になっている。隣接する木戸池スキー場でテレマークをやってもおもしろそうだ。

田の原湿原 (笠ヶ岳をバックに)

アイコンをクリックするとマップがでます。 <岩菅山・中野東部(1/25000)>


[山行日]   2002/3/16(土)
[天気] 晴れ
[アプローチ] <15日> 上信越自動車道信州中野I.C. →(志賀中野有料道路)→ 中野 →(R292)→ 志賀高原 丸池 →(R292)→ 石の湯 温泉      [約30km]
[コースタイム] 横手山第6リフト (0:30) 草津峠 (0:30) 四十八池 (1:20) 渋池 (0:50) 木戸池 (0:30) 石の湯  (計3:40)
・真面目に歩いたり滑ったりしてないので、タイムはあまり参考にはなりません。
[装備] クロスカントリースキー(エッジ付き)

 

[ガイドブック] 「山スキールート図集 第1集」 <白山書房 発行>
[スキー場] 横手山スキー場
・リフト料金 共通回数券(28ポイント)3000円。デポジット料1000円必要。
・横手山第1スカイリフト(4ポイント)、横手山第5リフト(2ポイント)、横手山第6リフト(3ポイント)
[宿] 石の湯ロッジ(志賀高原石の湯)
・国道から少し離れた静かな宿。
・天然温泉で24時間入浴可能。
・志賀高原のどこのスキー場へも送迎してもらえるのでありがたい。
・夜になると食堂の外にタヌキがやってくる。