不安は…あった。何せ“ヤマト”はリアルタイムで観ていたから。 そして、当然のごとく第一次アニメブームに乗っかった世代ですから…。 「おおっ!! わりとイケるじゃん!」っていうのが始まってからの印象。 特にスペースバトルのシーンは、今までの日本のSF作品からかなり進歩したんじゃあないかなぁ。 全体的に“スターウォーズ”っぽいぞ♪ でも……、でも…、でも!! やっぱり“ヤマト”っていえば、 あの朽ち果てた残骸の中からその雄姿を現す発進シーンだよね! あれが実写になるというのは、もう何だかそれだけで感慨深いというか… で、思ってたより良く出来ていたから素直に感激致しました。 それからもう一つ、“ヤマト”っていえば波動砲だよね! これもまずまずって感じで、“ヤマト”のイメージをしっかり保っていたと思います。 全体的にメカニックな部分とかバトルシーンとかは マニアックな造形とか質感とか工夫されたアングルとかスピード感とか 満足できる仕上がりだと思いますが、 宇宙空間とかワープの表現とか艦内外の質感、空気感とかは工夫の余地が見られたかな。 ヤマトの主砲とか駆動する質量感とか、もっと重量感があってもよかったと思うし… う〜〜〜ん…宇宙空間ではあんまり質量感なんてないのか? でも、なんかヤマトがミニチュアに見えて残念な感じがしたのも事実なんだよなぁ…。 シナリオ的には原作そのまんまではなく、 実写として違和感を感じさせないアレンジがされていて 原作を知っている世代でも好感が持てました。 いやね、実写でアニメのガミラス星人とかスターシァとか見たくないですよ、ホント(笑)。 でも、往年の声優さんがそれなりの“声”をあてて下さってたのには感激でした。 にしても、今回はやっぱり進歩したVFXを魅せるという比重が、かなり大きかったんでしょうか? ドラマ部分の淡白さというか、キャラ間の関係や感情の変化の過程が不十分だったようにも思えます。 自分的には作品への感情移入のためには、 最低でも主人公の古代と、森ユキとの恋愛過程と 艦長沖田との父と息子的な繋がりと 兄の親友真田との兄弟的な感情を、もう少しドラマ的に描いて欲しかったかな…と思いました。 確かに本作は観ていて長ったるいと感じることはなかったんですけど 寧ろ映画としてそれは良いことですが、 本来長いはずのイスカンダルへの旅路までもイメージ的な長さが不足している感じがして えっ? もうイスカンダルに着いちゃったの?って正直思っちゃったもんで、 その旅の長さを感じるための要素としても、ドラマの部分の充実は不可欠かと。 ともかく最近の動向として、ヒットしたマンガやアニメを実写化することが多く そうした作品の多くがマンガやアニメの演出そのまんまに実写化してしまうという お間抜けな状態の中、 実写としての作品作りに徹した設定と演出の妙は素晴らしいと思います。 だけど、そのために原作中でチョッと気に入ってた “我々は闘うべきではなく、愛し合うべきだった…”っていうニュアンスがなくなってたのは、 個人的に残念かな? 取り敢えず、映画を楽しめたってことでは及第点なんで良かったと思いますが、 工夫次第で、より“感動”出来る“大作”に成り得た作品でもあったのかな。      えっと……、すみません。キムタクはキムタクにしか見えない点について…。      キムタクって役者は、凄く特別な“力”のあるエンターテイナーだなあと      毎度毎度思います。      演技、上手いと思うんですよ。これを演技でやってるとしたら      なんてナチュラルに自然体でやってるんだろって感心するんだけど、      古代 進でも織田信長でもハウルでも、キムタクはキムタクなんだよね。      今回も、キムタクが古代という人物に近付いたんじゃあなくて      古代という人物がキムタクと似てる人なのかなあ…と思ってしまうほど      キムタク自身が古代というキャラクターを自分自身に引き寄せてるって感じ?      それくらい自分自身に“強い”自身を持ってる役者さんだと感じます。      こういう役者さんは使い方がけっこう難しいかも?      使い方次第で“毒”にも“薬”にもなるような気がします。      で、今回も堤 真一は、やっぱり“別人”だった(笑)。      チョッと出だけど……。                                 10.12.03. 鑑賞