どんなことがあっても、絶対死んじゃあダメだ。 もう、これが痛いほど伝わってきたから……イイよね。 ぶっちゃけ、真の自殺の理由なんてどうだってイイ。 だって、そこに拘るなら自分的には 何だぁ? そのくらいで命捨てんのか? 悪いけど、くだらない!!って思うもの。 人は其々だし、不幸の度合いも本人にしか測れないけれど 死に至る理由としては、納得いかない…ってか、出来ない。 辛いのは分かるけど……。 で、大事なのはそこじゃあない…って思うんだなあ…。 じゃあ、何か…。 そこをスルーしても、“死んじゃあだめだ”っていうことを しっかり心で感じ取ってるんだから……一体どんなマジックなんだヨ!これは。 真って本当、“死”以前はどう見ても自分の“生”を真剣に生きていないような気がする。 自分も自分の周りも全く見えてないっていうか見ようとしてないっていうか… だけど、この“生”は自分のものだから、ただ自分に降りかかる現実に 刹那的に感情的にオロオロ振り回されるだけ。 感情には敏感で、そのくせ現実感に乏しい。 その結果、“生”から逃げてしまうことになってしまって……。 ところが“死”を境に“生”を他人事として見る立場に立たされ、 つまり“生”を自分のモノから剥ぎ取られて 初めて自分を客観的に冷静に見ることが出来たんだね。 “自分”でなきゃあ恥ずかしいことも大胆なこともやっちゃえるんだ、 どうせ他人なんだから……って、本当これ、よく分かるよ。 いつも自分もそう考えるもの…… で、やっちゃってる内にいつしか“生”を真剣に生きようとしていることとなっている……。 何だろうなあ、この仕掛けが凄いんだよ! こんなあんまり抑揚のないさり気ない感じで… 気が付いたら何でか“死んだらだめだ”って、心の底から感じてるんだ。 正にキツネに抓まれたって感じ? 長さは全然感じませんでしたよ、ずっと作品の中に引き込まれてましたから。 兎に角、大事なことはこの一点といっても過言ではないんじゃあないのか。 母親の不倫とか少女の援助交際とか、そういう倫理云々ってものは見事にスルーだし 先ずは人間なんて自分を含めて弱いものだと受け入れるファクターの一つみたいだし。 色々な色っていって、価値観の押しつけはされてないし。 そうそう、自殺は“殺人”という大罪なのだという事実と実感。 きっと、観ている人は知らず知らずに体験してるってわけだ。 だけど……色んな体験をしてきた自分は知っている。 そんなことなくったって、死ぬこともしないし出来ないのだと。 “恥ずかしい”ことも出来ない臆病者は、惨めに生き続けたからこそ “死んじゃあだめだ”って分かったし、苦しくても“生”を全うする大切さも理解出来たんだ。 イヤイヤ、こうやって生きながらえて恥さらしてんのも大胆な行動には違いない(笑)。 そういう意味で、やっぱ思春期の青少年向きって感じなのかな? 死なないで生きていたら何か分かるかもヨっ、恥も若い内なら何とか克服可能かもよっ、 そして…自ら死んではいけない理由も…分かるだろ?って。 先ずはそこが大事っていうことなんだろうか。私は分かってるけどサ、今さら…。 “キツネに抓まれた”って意味、分かって貰えただろうか? 今の自分の母親って立場で見てると、自分のせいで心を開いてくれない子どもに 精神的に参っちゃってるお母さんの姿が辛くって辛くって…… 不倫なんて膨大なエネルギーを消費するイベントはちょっと御断りなんで そこんとこは共感しませんが…… なんとか頑張って子どもの信頼を取り戻そうとしいているのは…胸が痛みました。  今回、アニメーション制作担当したサンライズさんはグッジョブ!!ですね。 明らかにトーンが違ってましたよ。 極力アニメらしいことは排除したかったっていう監督さんの要望に見事に応えてます。 “最新の技術は古くなるのも早い。そんなものは10年経てば古臭くなってる。 作品からはドンドン削ぎ落として、100年経ても新しいと思えるモノを作りたい” だいたいこんな感じの事を仰っていましたが、 きっとアニメ『カラフル』は何年経っても色褪せず存在してるんでしょう。                                  10.08.21. 鑑賞