何の因縁もない、何処の誰とも分からない者に、誘導され操られて 殺し合う愚かで哀れで寒々しくもおぞましい人の様を ネットを介して楽しむなんて悪趣味は、持ち合わせておりません!  本作を、『デスノ』や『カイジ』とかいった、心理戦的駆け引きをベースにした 人間ドラマっぽいものだと思って観たら、肩透かしを喰らいますヨ。 並べて宣伝してるみたいだけど…… 全く性質の異なる作品だと思われるんですけど……ネ。 ただ、疑心暗鬼に陥った人間が、得体の知れない恐怖に翻弄されて ただただ自滅していく有り様を、 ただその行為そのものを、当事者とは全く切り離された立場の傍観者として 楽しめる、または興味をそそられる方なら面白い映画じゃあないでしょうか? 目の前に展開するのは、殺戮という“行為”ばかりで そこに作品としての“物語”が存在しない本作は 少なくとも自分的には“映画を楽しむ”というコンセプトから外れていたように思うのだけど…。 とにかくこれはもう観客をケータイからネット映像として、 現場から遠く離れたところから、 この殺戮現場をリアルタイムで覗き見るという立場を強要させられ、 それ以外の立ち位置を選択する余地など皆無のようだし…。 そこには、登場人物たちの立場とか心とか人となりとか そういったモノを慮る情報も乏しく、 俗に言う“感動”を呼ぶための心を動かされる“何か”が欠損していると思う。 まあ、そういうことが趣旨ならば、 こういう実験の主催者のこととか、辻褄合わせとか、テーマの設定とか、いらないでしょうネ。 如何に作中の人物に疑心暗鬼に陥って貰うかに終始すればイイわけですから……。                                   10.11.12. 鑑賞