え〜とぉ…… シリーズものの劇場版の割に、なかなかの出来栄えなんですが どうしたものか、終始モヤモヤイライラしてしまう消化不良な感じの残る作品でした。 原作『銀魂』は、エピソードによっては メチャクチャ面白いモノと、どーでもよくて読む気も失せるモノと 両極端な面を持っている作品だと思うんだけど、自分的に。 で、『紅桜篇』はどちらかというと前記の範疇に入るんだろうけれど 何だか登場キャラに拒絶されているようで入り込めない感じがして 素直に「面白い!!」と思えないところがある。 キャラの背景を敢えて明確にしないことによって 観る側に想像の余地を残した、と考えてもイイんだけど あまりに描きなさ過ぎて 今作のメインたる銀さんと桂と高杉の間に一体何があったのか 想像するための材料が不足して、各感情が掴み切れず 例えば、桂の“一番辛い思いをしている銀時が、あんなに耐えているのに…”とか、 高杉の“私たちの師匠を奪ったこの世界なんか…”といった感じのセリフが 全く生きてこない上に、 元々ギャグ属性で着いて行き難い銀さんだけれど、 その行動にも益々着いて行くことが出来ず、結果、置いてきぼりを食らってしまう。 まあ、それが『銀魂』らしいところと言われればそれまでだけど、 個人的にはやっぱり登場人物の感情を自分のモノとして鑑賞したいなあと思う。 あと、時代に取り残されていく悲哀の象徴的な刀鍛冶の存在をテーマに絡めているようだけど 兄と妹の方向の違いとか、絵的に薄過ぎて高杉の目論見と上手くリンク出来てない感じ。 勿論、銀さんの“思想”と妹の刀のシンクロ関係も ただ何となくボンヤリ分かるって感じで、主人公側の攻勢であっても爽快感が薄い気がする。 作品全体の作りとしては、下ネタ、自虐ネタ、楽屋落ち……人を喰ったようなギャグの連発で、 『銀魂』らしい仕上がりだったし(好きか嫌いかは別だけど)、 アクションもしっかり刀の殺陣を見せてくれて痛快だったけれど 何だか歳のせいか、目が早い動きを追えなくて……(笑)年寄りにはキツイです。 まあ、あんまり年寄りは観ないか……『銀魂』。                                 10.06.29. 鑑賞