赤の女王って…… とっても とっても 可哀想な人だったんだ………(shimijimi) 異形の者に優しい目を向けたティム・バートン……らしからぬ映画だったなあ……残念。 “愛されるよりも恐れられる方がよい”とか “その瞳をパチパチさせて両親を騙したようにはいかない”とか…… メチャクチャ痛いセリフを吐きまわる赤の女王は、 倒すべき敵とか完全な悪とかそんな風には全然思えなくて どんなに理不尽で非道な事をしていても 哀しくて辛くてやるせなくて……同情こそすれ、憎むなんて出来なくて 自然と心は赤の女王に寄り添い、 どちらかと言うとアリス側、特に白の女王に胡散臭さを感じてしまい 結果、なんとなく後味の悪い作品だった。 何かね…赤の女王を倒そうとするアリスや帽子屋を非難したくなってしまうんですよ。 例えば、テーマが“女の子の自立”だとして、 赤の女王を倒すことがその象徴的な出来事だとしても そこまでに至る過程は理に適っていたとは思うけれど、 赤の女王って、被害妄想で自分を見失っていたとしても、 他から命令されて行動してた訳でもないし、むしろ自発的に自分で決めて行動してた人でしょ? それを、時代と家と慣習に支配されて悩んでいたアリスが倒しても、 なんだかしっくり来ないと言うか……。 ここは寧ろ、赤の女王を徹底的に時代と権力の権化に描いた方が エンターテイメント作品的には綺麗に納まっているように思うのですが……。 あまりに赤の女王サマ、かわいそ過ぎやしませんか? ここまでの“敵”の背景を描くならば、 こんな単純なヒーロ−ものではなくて、 もう少し深みのあるストーリーを紡いだ方が絶対イイと思うのだけれど。 安っぽい勧善懲悪みたいなストーリー運びは この“赤の女王”の存在には相応しくないと思うし 寧ろ、中心的テーマ“女の子の自立”をストレートに描くなら 赤の女王の複雑な身の上設定は邪魔になってしまう。 観てて違和感ありありですから。 どうしちゃたのかな…? ティム・バートン監督…。 これだけの設定がされてあるなら、 彼の力量ならば、もっともっと哀しく切ない それでいて何とも言えないおかしみのある作品に仕上がったと思うのに。                                10.04.17. 鑑賞