かなり“オトナ帝国”を意識した作りになっているかと思います。 “オトナ帝国”では、主に父親ヒロシの人生と家族との絆がクローズアップされていたのに対し、 本作では、母親ミサエがクローズアップされいるし、 カスカベ防衛隊の活躍っぷりとか、 階段を駆け昇るコトを仄めかしながら、実際は想像に止めておくところなんか かなり“オトナ帝国”を意識、というか、オマージュした感じだと思う。 “ケツだけ爆弾”の時、ウンチィの長官と歌劇団のオコマ様との間に何の関係もない設定で、 ストーリーに厚みが感じられず、 せめて二人は元夫婦で、世界を巻き込んだ迷惑極まりない夫婦ゲンカでもやらかしてるのなら、 作品的に面白くなるのに…と、不満だったけど、 今回、四膳とビクトリアに関係を持たせたところは、 対立する理由が明確で納得いくものになったことでG.J.!! ただし、こういう“エコ”という一般的に正のイメージの強いテーマを扱う時、 ブンベツなる敵キャラが、ゴミの分別をすることにより、やっつけられてしまうという設定は、 正の方向に位置づけられた“エコ”に、水を差すようで頂けない。 “エコ”に対して前向きな立ち位置で作品を作るならば、 こういう扱いは問題を茶化すようで、ジョークとして受け取れず、 逆に眉を顰めることになりかねない。 “エコ”を素材にした上で、せっかく人間が動物化してしまうのだから、 人間が変えてしまった環境に対し 動物として何かを感じ、何か訴えたくなることがあるはずだと思う。 それは、自分と存在を異にするものに対し歩み寄るきっかけであるはずだ。 この“何か”を、上手くジョークやドラマとして形にし、ストーリーを紡ぐことが出来れば、 母と子の絆のみではなく、 “エコ”に対しての何らかの“答え”的なものも示せるのではないかと思う。 それなりに面白みも、ストーリーの完成度も、アニメの動きも、良かったと思うが、 その向こうにある“感動”は、掲げたテーマを、どのように消化するかで 大きさも質も深さも変化してくる。 やり方によれば、“オトナ帝国”に迫る感動の深度に到達出来る力を感じた。 むしろ、今回は“オトナ帝国”をリスペクトした上で、 今後、それに追いつき追い越すための布石……、と観てみたが、 次回からも期待…してもイイだろうか?                                09.04.26. 鑑賞