役者が最高に輝く奇跡の時間、 “マジックアワー”を逃してしまった時 その時間を取り戻す最大の秘訣は… “待つこと…”。 明日は必ずやって来る。 待てば必ずマジックアワーは、何度でもやって来る。 人生も これで終わり なんてない。 人生というドラマの中で、自分という役を演じる時も然り…。 このシンプルでベタなテーマを 分かり易く、楽しく、清々しいまでに魅せてくれる良質のコメディー。 安心して見ていられます。(←映画館で笑い声を噛殺すのに必死で、大変ですけど…) 気付けば虚構を演じている側が 終いには いつの間にか現実側へと入れ替わっているという巧みな構成の妙。 撮影現場をセットで組み立て、その中で殆どのシーンを撮影した効果を考える時 監督の計算され尽くした意図を感じざるを得ません。 使われる材料が これまた もう、映画が大好きな者、特に作る側の事情に明らかな者にとっては堪んない!! リハーサル風景や、特殊効果製作、監督と俳優 または俳優同士の微妙な中身の会話、カメラやマイクの位置、 あまり一般には知られてないと思われる役割のスタッフ達…。 興味が御有りの方なら ほんと 涎モノでしょッ!! 練りに練られて、一分の隙なく組み立てられた脚本に、 演技力抜群の役者を配するコトによって より“完成されたコメディー”に仕上がっている。 劇中劇を演じなければならない 佐藤浩市の芸達者ぶりは見モノ!!(←それに絡む人々は、非役者の一般人でなければならない                                  …って、凄すぎ!!) 加えて、妻夫木 聡の劇中での一般人らしく見える演技素人ぶりは やっぱり芸達者と言えるのではないだろうか。 最早、この映画を活かすも殺すも役者の質に係っている と言っても過言でなかろう。 それほどに、今作のキャスティングは見事に適材適所、ハマっている。   *演技が上手くても、いい人のオーラ出まくりで、バリバリの悪人は似つかわしくないと思われる西田敏行御大を     この役で使ったのも、計算された上でのキャスティングなら、ミスキャストどころか「G.J.!!」です。 更に、真に役者を輝かせるものは、優れたスタッフだ。という映画の屋台骨を支える方達へのリスペクトも忘れない。 心の底から笑いながらも、 ひょっとして 誰か命を落とすんじゃあなかろうか? と フッと感じてしまう様な緊張感も程良く存在し、 ストーリーの流れの緩急も心地よい刺激となり、 “退屈”なんて言葉も浮かんでこない。 本当に、映画は一日にして成らず、一人にして成らず。 エンドロールの背景で流れるセットの組み立て作業からファーストシーンへ繋がる映像を観ていて 改めて実感する。 そして、エンドロールも最後まで見守ってこそ 観客として、良い映画を提供してくれた方々への 最小限のマナーだと自覚する。 監督の三谷幸喜氏は映画がホントに お好きなんだなぁと思う。 自分も映画を好きで良かったと思うし、 映画を観るコトが出来る環境にあるコトを感謝し、 それらを幸せに思う。 と同時に、映画関係者の方々への 感謝と尊敬の気持ちを、再認識させて頂いた。 村田さんのマネージャーが誤って狙撃された時、ドロップ缶で助かってた なんて有り得んだろー…ってのはナシの方向で ひとつ。 「え〜っ!! ホテルの女将って……戸田恵子だったのーっ!!!」と エンドロール見て走った衝撃。 エンドロール最高!! エンドロール万歳!! もともと、エンドロールも最後まで観る派ですが、何か?  ・  ・  ・  ・ ひょっとして…かなり三谷幸喜氏に嵌められた…?(←「してやったり…」と、ほくそ笑む同氏の薄ら笑い顔が見えるようです…)          *エンドロールの中に“宮崎 駿”の名前を見つけて、激しく気になりました。(←見間違え?じゃないよ…ネ?)          同姓同名の別人? 本人?…てのも有り?…ですか?                                           08.06.21.鑑賞                                           *08.07.02.加筆修正