映画館で流れる予告から想像するに “ドジでのろまなカメ”の類の内容と思いきや…… コメディーに分類されるとは思うが、 どちらかと言うと空港に携わる様々な仕事人達の “お仕事拝見”的群像 といった感じが強い作品。 内容的には あまり深いモノは無い様に思うが、 私たちが当たり前のように安全に、快適に利用している飛行機を運航させる為に どれだけの人が係わっているのか…… とにかく驚きの連続だ。 普通ならば、そんな知る由もない縁の下の力持ち的な空港関連の仕事の存在を 知るだけでも、大変な価値がある。 そうして、安全で快適な空の旅が出来るのは 決して当たり前ではなく、沢山の関係者の方々の弛まぬ努力の賜物だと 深く感謝の念を抱くと共に、その御苦労に思いを馳せるに至るコト必至だろう。 とにかく“笑い”よりも“感心”と“関心”が先んじたのは確かだ。 ベテランCA役の寺嶋しのぶがイイ! 自然な演技で、ついつい映画であるコトを忘れるくらい“本物”を感じた。 この手のコメディーだと、わりと大袈裟な演出が常で “お笑い”として面白いという感じが多いけれど、 彼女の“自然さ”は“観客”を“乗客”に変え、 共に“ハッピーフライト”を楽しむに至らせる。 まわりで様々な騒動を起こす部下たちの “あり得なさそう”なハプニングも説得力が与えられていく。 普段は暇そうで頼りなさそうなのに、イザとなったら長年の経験を発揮し CPよりも頼りになる上司、岸部一徳もイイ味だ。 ドタバタと笑いをまき散らし、ギュッと引き締め緊張を与える。 コメディーだけに限らず、笑いにしろ泣きにしろ恐怖にしろ、 人に感動を与える作品にはこうした緩急が必要不可欠なのだと改めて感じた次第。 飛行機の異常で、成田へ引き返す決定がなされてからの少々の間延び間は、 乗客に不安感を持たせぬように最大限の配慮がなされた、というリアル感の結果として 承っておきましょう(笑)。                          08.12.18 鑑賞