家庭の基本

家庭を営む上で一番大切なこと

京都 江西寺 尾関 義昭

「美しき花を見んと欲せば、まずその根を培え」―美しき花を咲かそうと思うならば、まずその花の根を上手に
培うことである。これは花作りのコツを教えた言葉である。これを私たちの家庭づくりに適用するならば、美し
き花とは幸福な良き家庭を意味し、その根を培うとは私達一人ひとりが人間性豊かな人格を培うことである。最
近の世相は、いかなる家庭づくりをしたらよいか、探求する心のゆとりが失われていないだろうか。ここでは、
良き家庭を営む上で一番大切なことを考えてみよう。
 人は人間としてこの世に生を受け、やがて成長するにしたがって愛する人と巡り合い、人生の伴侶として婚
約・結婚生活に入る。結婚は人生の第二の出発であり、お互いに生活の責任と、新しいいのちを生み育てる親と
しての社会的責任を担っている。どのような家庭づくりをするかはふたりの責任であり、夫婦の努力なくしては
良き家庭は築かれない。
 良き家庭を作る最も大切なことは、夫婦の深い信頼と責任ある愛情である。夫婦とは経済生活を共にして、お
互いの長所をを生かし、短所を補う二人三脚の共同生活者になることであり、男女の違い、個性の違いを尊重し
合うことである。わがままは決して良き家庭を作らない。
 子供は親の言う通りには成長しない。親の背中を見て育つ。子供の教育は親の言葉だけでなく、親の生活態度
である。子供は親の鏡であり両親こそ子供の最大の教育者である。
良き子を見んと欲せば、まず良き親になることである。そのために必要なことは、良い言葉の実践である。

一、ありがとう  感謝の心
二、すみません  素直に謝る
三、どういたしまして  過ちを許す寛大な心
四、わたしがします  お手伝いから奉仕の心
五、おかげさま  ご縁に感謝する喜びの言葉、合掌の心
六、もったいない  物を大切にして物の価値を活かしていく心

 両親の言葉遣いは子供の手本である。ここで紹介した六つのよき言葉を参考にして家庭から社会に応用してい
ただきたい。
 仏教では、すべての人々は真実なる仏心・仏性を具有しているとする。このことを底抜けに信じることが人間
の幸福・安心の原点である。不信は不幸の始まりである。夫婦は底抜けに愛し、信頼し合って生活していくこ
と。子供はそれを手本にして心の糧として成長する。吉凶は人生の付き物である。不運な時こそ夫婦の愛情の真
価が問われる。喜び、悲しみを共有し、共に助け合って生きていく良き伴侶の夫婦に良き家庭がつくられると信
じる。
 どうか家庭のあり方、根本をさらに深めていただければ幸いである。

『人生の本を務めよ』チクマ秀版社より


トップへ
トップへ
戻る
戻る