う さぎパン

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■瀧羽麻子            2011  幻冬舎文庫

jun-cooの幼い頃。母と買物に出かけ、最後に閉店間際のもう一軒の店へと急ぐ途中、パン屋さんがあり、そこで、動物の顔のパンを売っていて、そこで 立ち止まったjun-cooのために、母がそのパンを買ってくれました。その結果、急ぎ向かったもう一軒の店は閉まってしまいました。
この経験をどうして覚えているのでしょう?
おそらく、それは大切にされた経験だからと思います。
京都大学出身のあったかいお話の書ける作者。この作品で第2回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞しています。この小説「うさぎパン」は、「わたしの中では、動 物パンといえば断然うさぎに決まっている」という主人公・優子がそう思いながらも、思い出せないうさぎパンの深い意味をふとしたきっかけで思い出していく 物語です。
3歳で亡くなった母・聡子。育ての母・ミドリさん。ミドリさんと仲のよい優子には、もう一人の母・聡子の思い出があまり残っていません。というより、残っ ていないと思っていた。しかし、ある出来事をきっかけに、うさぎのぬいぐるみをきっかけに思い出を一気に思い出します。うさぎパンは、母・聡子に確かに愛 された思い出でした。母・聡子の娘でいられた3年間の本当の意味を知り、愛される意味、家族の意味を知る優子のあたたかい青春の物語です。

2012.7.25

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