<小 説>東大過去問・現代文

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■川渕圭一            2012   文庫ぎんが堂

医師であり、作家である作者の川渕圭一氏。
東京大学工学部卒業後、30歳で医師をめざして京都大学医学部に入学した異色の経歴の持ち主です。
この小説の「はじめに」は奥深いことが書かれています。
読解力が十分に育たないうちに、しゃべる力や行動力を身につけてしまう危険です。相手を説得できる、文章がうまいということの前に大切なことがあります。 それを高めることばかり考えると、人の話を聞けないことになりかねない。
作者は強調します。「読解力」とは、文章を読み解く力のみならず、相手の話に耳を傾ける力、人の心を読む力でもある。「すべてのコミュニケーションの基本 は、読解力にある」と、ぼくは思う。
本書は、1979年に共通一次試験が導入される以前に、東京大学が独自に実施していた一次試験の現代文の問題を主人公と甥が解いていく小説です。必ずし も、自分の主張と同じことを語るとは限らない書き手の言いたいことを正確に読み取る力を養う。確かに、コミュニケーションの基本にあるべきことなのかもし れません。

2012.7.25

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