そ うか、もう君はいないのか

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■城山三郎            2008 新潮社(2010 新潮文庫)  

妻容子さんが亡くなってから7年後。2007年に城山さんも容子さんのもとへ・・・。
これは、遺稿として発見された回想録です。
二人の出会いから痛切な別れまでを綴る作品ですが、まず、最初のシーンにこの夫婦の深い絆と容子さんの明るさを感じさせてくれます。
ある講演会で壇上に登壇した城山さんが顔を上げると、そこには予期せぬ顔が・・・。2階席最前列に妻の容子がいるではありませんか。しかも、目と目が合っ た瞬間、容子さんは両手を頭の上と下に持ってきて、ふざけた仕草で「シェー!」。
回想録の中、城山さんは、容子さんを「天使」「妖精」と表し、自身の深い愛を包み隠さずみせています。そして、城山さんの回想録の後には、娘紀子さんの 「父が遺してくれたもの―最後の『黄金の日々』」が収められています。
この作品は、夫婦の深い絆を綴るだけでな く、遺された者となった城山さんが、遺される娘と息子に最高の愛情を贈った作品に感じさせられます。

2011.1.15

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