見 残しの塔

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■久木綾子              2008 新宿書房  

作者が89歳のときに小説デビューした作品です。
70歳の頃に夫を亡くした作者が夫の旅したあとを訪ね歩き、山口県の瑠璃光寺五重塔に魅せられ、その縁起を歴史小説にした作品です。
瑠璃光寺の五重塔は、法隆寺、醍醐寺と並ぶ日本三名塔の一つです。jun-cooも京都、奈良の近くに生まれ育ち、塔が好きなので、惹かれてこの作品を読 みました。
物語は宮大工の左右近と棟梁の夫人の娘初子の二つの物語が織り成されています。くしくも左右近は平家の末裔、初子は源氏の末裔。その二人が壇ノ浦のある山 口で塔の建立の場に出遭います。二つの物語はそれぞれ人の運命を狂わす宿業。切ない二つの物語が交わり、塔の建立とともに、左右近は失ったものを取り戻 し、初子は新たな生き方を選んでいきます。
    

2010.4.15


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