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■和田 竜
2007 小学館
現在は桜の名勝となっている、埼玉県行田市のさきたま古墳群。
そのうちの一つ、丸墓山は、石田三成が忍城攻めで陣を張ったところ。秀吉が北条氏直の小田原城を16万騎の軍勢で攻めのぼった際、小田原城の支城で唯一
つ、陥ちなかった城、それが忍城です。
石田三成の2万の軍勢と忍城の5百の守り手。忍城はなぜ圧倒的な劣勢のもと、城を守り抜くことができたのか?
この物語の主人公は、石田三成の軍勢に囲まれたときに忍城の城代であった成田長親と彼を助けた正木丹波、酒巻靭負、柴崎和泉。奇策を繰り広げ、三成の軍勢
を退けた豪将を率いた成田長親とはどのような人物だったのでしょう?タイトルののぼうの城ののぼうは、長親が領民たちから「のぼう様」と呼ばれていたこと
からついています。のぼうとは?でくのぼうでは、あんまりなので、のぼう。とぼけた顔の大男ののぼう様は、いつも百姓のところに出かけ、田仕事を手伝おう
としますが、根っからの不器用でかえって邪魔になるくらい。しかし、忍城に石田三成の軍勢が迫ったとき、百姓たちは「俺たちがついてなきゃ、あののぼう様
はなにもできゃしねえ」と領民はこぞって忍城に籠城しました。そこから始まる戦いは・・・。
のぼう様にあるのかないのかよくわからない、でも時折見せる将としての器。
本作品が作者のデビュー作にして「第29回城戸賞」を受賞した作品。読み応えのある作品です。
2010.4.9
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