彼女がその名を知らない鳥たち

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■沼田まほかる      2009  幻冬舎文庫(単行本:2006)  

主婦、僧侶、会社経営などを経て小説家という経歴をもつ著者。
読み手が主人公に感情移入するまでひきつけておいてラスト数ページで一気に物語の主役を明かす鋭いストーリー構成が見事です。
失った恋人・黒崎を忘れられず、その寂しさから陣治と暮らす十和子。十和子の理想からかけ離れたどじょう男の陣治。陣治をいじめずにいられないほど十和子 のトラウマは深いものでした。黒埼が失踪していることを知り、陣治が黒崎を殺したのではないかという十和子の疑念はやがて・・・。
「この生活いつ壊れてしまうんかと思うさかい、いろんなことあってもあんだけ楽しかったんやな」。愛する者が壊れてしまったとき、逃げることなく向き合 い、かつ背負って生きることの苦しさを感じさせる物語です。

2009.10.27


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