夢は枯れ野をかけめぐる

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■西沢保彦     2008 (中央公論社) 

「旅に病んで夢は枯れ野をかけ廻る」は松尾芭蕉の辞世の句です。
主人公・羽村祐太は大手デパートを早期退職し、それまでに貯蓄したお金と退職金で生まれ育った地域で暮らしています。そこで出会う、生活に密着した問題は いず れも超高齢社会を代表する問題です。買物難民に孤独死、相続の問題。そして老老介護や認知症などさまざまな課題を物語の中で提起しています。小さな謎解き を交えながら6編の短編による連作。6つ目の短編「夢は枯れ野をかけめぐる」がこの連作の主題となっていますが、高齢期の過ごし方は不安だらけでありなが ら、それゆえに自らがどのように逝くかを見失ってはいけないことを鋭く表現した物語だと思います。いずれにせよ深く考えさせられる作品です。



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