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■恩田 陸 講談社 2001
『三月は深き紅の淵を』『麦の海に沈む果実』の2作品と相関関係にある「三月シリーズ」の一つです。全619頁の
長編小説。『三
月は深き紅の淵を』に出てくる幻の本『三月は深き紅の淵を』にあるストーリーがこの『黒と茶の幻想』、『麦の海に沈む果実』に
出てくる憂理が『黒と茶の幻想』の中で大学時代に消息を立った憂理という関係です。ちょっとややこしい。
恩田陸さんの作品は、本屋で見つけるたびに読もうとするのですが、なにせ執筆スピードが異様に速く、なかなか全作品を読みきれません。この作品以外では、
『夜の
ピクニック』『チョコレートコスモス』『ドミノ』が好きな作品です。
『黒と茶の幻想』は、学生時代の同級生4人が十数年ぶりに一緒に屋久島の雄大な森を旅するという物語。第1部・梨枝子、第2部・彰彦、第3部・蒔生、第
4部・節子と、4人の主人公ごとに物語はすすんでいきます。ただしゃべりながら歩いているだけで4人の会話を通じて謎解きがすすんでいくという意味で
は、現場がないミステリーであり、恩田さん
の見事なテクニックを感じさせられます。そういえば、徹夜で80kmを歩き通す高校生活最後のイベントを題材とした『夜のピクニック』もただ歩くだけで展
開していく物語です。
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