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荻原 浩    講談社  2001

『明日の記憶』が一世を風靡した荻原浩。広告制作会社の勤務経験があることからその経験を活かした作品が多くみられ、どちらかというと軽快に明るく、そ の中でちょっとじわっとする、いわゆる笑って泣かせる作品が多い作家だと思います。この作家は割と好きで新しいのが出るとすぐ読んでい ます。ライ麦畑・・・のタイトルをパラドった『オロロ畑でつかまえて』をはじめ、『母恋旅烏』、企業のお客様相談室が舞台の『神様からひと言』、お母さん がスナイパーという設定の『ママの狙撃銃』など、ユーモラスな作 品が揃っています。
この『噂』は荻原作品の中でも数少ないミステリー系です。ミステリーというと、新宿を舞台にしたものが多い中、渋谷を舞台にしたミステリーとい うのもなかなかないかもしれません。
物語は、新しい香水「ミリエリ」を発売するにあたって、
「ミリエリをつけていると、連続犯に狙われない」と、噂が口コミになっていく都市伝説を利用した広告手法で売り出しを図ったところ、流し た噂が 現実のものになってしまい、事件が発生。解 決に乗り出す刑事が女子高校生の娘との父子家庭という設定です。
さて、この本を読むときの注意点ですが、途中で決して見てはいけない最終ページ。思わず目を疑う「最後の1行」が用意されていますから。
「最後の1行」で全てがわかります。そのための伏線もしっかりしこま れており、最後まで 油断できないストーリー構成がなかなか見事です。
確か最近、文庫落ちしましたが、文庫は新潮文庫から出されています。

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