陣の里は、旧真滝中学校(現一関東中学校)の校舎の部材を活用し平成21年7月に完成しました。
陣の里の建築計画は、現代に残る珍しい木造校舎が跡形も無く解体されることを知った平成20年2月から始まります。同校の卒業生でもある私は、真滝地区は勿論のこと広域的にみても数少ない貴重な地域資源であると考えており、何とかしたいという気持ちで一杯でした。そこで、一個人が部分的にでも保存する旨を教育委員会へ申し出、許可を得て校舎(技術室)を買い取り、個人負担による解体・撤去、部材を倉庫へ一時保管。建築予定地は、幸いにも学校に隣接した農地を所有していたことから同時並行で各種行政手続きをクリアし宅地造成を進めました。
旧真滝中学校は、昭和27年10月に落成し約六十年の歴史と落書き等を含め各所に思い出が刻まれています。陣の里では旧校舎の完全復元とはいきませんが、技術室の梁や機械類の動力源となったシャフト、床板、正面玄関、職員室の受付窓、ガラス窓や引戸、階段のステップ、教壇、理科室の床板等、各所にオリジナルのまま活用しています。また、解体前の校舎内外の写真も極力撮影すると共に真滝中学校名の入った看板も保存しています。
都会での公務員生活をしていましたが、両親の扶養と若いときからの夢であった陶芸家への転身を考えていたところでもあり、Uターンと校舎の保存とをこれ以上に無いタイミングや諸条件を兼ね備え、さらにコンセプトにも合致していました。
事業着手してから3年目にしてやっと開業することができました。今後は、旧技術室ゆえに陶芸をはじめ「ものづくり」の場として活用しつつ、地域の皆様方と共に交流・情報交換の場としての提供も行って参りたいと考えています。地域の皆様方におかれましても、愛着を持ってこの建物を利活用し、また末永く暖かく見守って頂けましたら幸甚です。さらに、地域に埋もれたものづくり(例えば和紙漉き、わら細工等)に関する伝統文化を掘り起こし、地域の皆様方のご協力を経て若い世代への継承等にも微力ながら努めて参る所存です。
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