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森に隠れる
蟻避けダンス

水槽の花
廃墟の時間

水溜り
山に行ってごらん

散歩道

行きつ・色・戻りつ
床屋
中小路の平静
衣装
つぶやいて
継ぎはぎだらけの歩道

戦争は見つからない
気だるく
雲を食す

触れずに花言葉
障子の向こう
アスファルト
果て


森に隠れる


探してもらえないかもしれない 森の中

お互いの居場所を見つけたくって かくれんぼ

森のある意味は知らない 隠れる子ら

すぐにでも 見つけて欲しいのに

木でもないのに 森に隠れる
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蟻避けダンス


水飲み場に手すりが付いてるのは親切
おっと蟻を踏みそうになり 蟻避けダンス♪

たんぽぽが伸びきってこれからどうするのか
そんな事いらないお世話で 蟻避けダンス♪

帽子をかぶってるのにカラスがひっつこい
そんな時でも冷静に下・下 蟻避けダンス♪

アスファルトの間を掘り起こした土で分かる

今年の蟻の巣の多いこと なので いつもより
多く〜 ゥ〜 パヤッ ァ〜ア〜 蟻避け ダ・ン・ス〜♪
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水槽の花


水槽の中で育つ花たち

歌姫は ライブが終わったら早く帰ろう
私の所がすっぽり開いてるから バランスよく浮けないはず と
知ってるようで 急ぐ

でもすでに水槽の中で休む花たちは

お帰り 今日もみんなが物語に歌詞を 付けたの

ガラス越しに見えるでしょう

物語には歌詞が必要

この花たちが旅立てば 素敵なこと
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廃墟の時間


人が住まなくなり
やがて不気味さに廃墟といわれる

庭だけは誰かが手入れをしにくるらしい
家の傾き壊れるにまかす様は異様

バス停が置かれてるけれど降りる専用なのに
ここで降りる人は庭の手入れをしにくる人だけ

ここは坂道でみんなは下り坂としか言わない
上り坂という時は反対側ののんびりと歩く歩道を指す

猫が手入れをされた庭でたたずむ

花びらに寄り添い 花たちも受け入れる

庭を手入れに来る人はその事を知ってるようで

手入れの終わるのは そんな猫を見届けたあと

この敷地にも柵は必要になるだろうけれど
それはやがてこの猫がバスに乗ってやってくるのだろう

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水溜り


水飲み場の濡れて反射する光がきれいで

どんどん広がれ 水溜まりの世界

この世のすべてを映して記憶として飲み込んでも
映る空の隙間が光っては更にそこが未体験な奥深い水溜りの世界

冒険心をそそる

落ちてゆくとビルの屋上 すべてがあべこべ

迷いこむ落ち葉を拾う手の どちらに映るのが過去なのか

こんなにも綺麗な水溜りでは 見分けがつかない

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山に行ってごらん 


山に行ってごらん 夏

セミの鳴き声の下では

干からびたカタツムリやミミズの死骸が
新聞の記事にもならない

夏の日差しが景色にぶつかっては折り返す

そのわずかなゆがみが

冬とは違う傾斜で坂道を映しなおす

犬は噴水の出口が分からず笑顔

この季節 どのカレンダーにも
白紙にしたい日が用意される

刈り取られたばかりの草の強烈な匂いは
横たわりながらもまだ尽きぬ蓄え

冬も試練だけれど夏も試練なのかもしれない

帰りには 用心に

小枝を片手に ぶらぶらと

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散歩道


曇り空の日はこちらから行き
晴れの日はあちらから来る

それが好みの散歩

今日は行きかう人もなさそうなので
坂道より階段をおりる

殺風景にみえても

アスファルトに散る花が 色

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行きつ・色・戻りつ


真っ赤な橋からいただいたわずかな色で描くのが
桜の桃色だとは誰もが知ってるけど

草・葉たちを描くにはこんなにもいろいろな濃さの緑色を使って
そしてそのすべての緑が愛される

なのに 緑深い中に険しい小道が見え隠れ

倒れかきむしる乾いた土の色は掘り起こされ

湿った暗い土気色

アスファルトまでが雨に濡れ色濃くし寒さを描くので

手習いではじめたインク作りは 

やはり どれも薄く淡い色に仕上げようと思ってます

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床屋


歯ブラシと間違われたカミソリが口の中にいる

刃がどこかに当たりはしないかと気を揉んでると

小さい頃の床屋に 「動くなヨ〜」といわれる

坊主頭に刈るバリカンが熱い

鏡に映る外の景色がまぶしくって
終わったらあそこに行けるんだって

奥歯に残る食べかすをかじってみても
歯医者の怖さはまだ知らないので

床屋がこの世で一番の地獄

「おちょぼ口だなじゅん子は」といわれた僕が
このカミソリを無事に外に出せれるんだろうか

こんな時 あの時の床屋が助けてくれたら

若者に育った僕らが
祭りの寄り合い所にしたかもしれないのに

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中小路の平静


祭りの活気が向こうの向こうの方から聞こえてくる

遠く微かなのでこちらは中小路の平静の中にいれてるつもり

強く歩こうが足音はしないもの?

道に水をうっても流れる音はしないもの?

そして知人を呼びとめようにも いつもはここに居ない僕の
うわずった声は平静の中では使えないようで 恥ずかしい

中小路の平静とは いつも通りのことをいうんだよと

少し耳の遠いおばあさんが いつも通りの散歩中
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衣装


天井に張り付いた僕が眠れずにいると

はぐれた踊り子がこの部屋で衣装を見たと探しに来るけれども

本当に衣装を探せるのは僕で 見つけた僕が
その子に衣装を手渡す時のその子の笑顔が素敵だと夢をみる

でも踊り子みんなが衣装のしまう場所は内緒で

衣装がない子ははぐれ 探す姿だけでは仲間に戻れないと

衣装をまとい 祭りの終わるまでの隠れ家を探す

それは乾燥した日の続く真夏の天井に張り付いた僕のことなのかもしれない
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つぶやいて


最近はなぜそうしてるんですか

前のように列車や海や川などと
つぶやいてくださいよ

じゃないと

疲れた列車は駅に憧れてしまうし
海と川は違う言葉を使ってたのに境目がなくなる

また目の前の寂しさが行き場を失いそうです

いいんですか〜
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継ぎはぎだらけの歩道


継ぎはぎだらけのアスファルトの歩道

そ〜っと一枚を剥がしてみる

その工事をした日の苦労が埋められてて

いい汗や辛かった汗が
順調に進まなかった予定表に染みになって成仏出来ないでる

何箇所か剥がしてみると同じ道に一緒にあるのが不思議なくらいに
それぞれのドラマがあり

それは道行く人や立ち話をする人たちの人生の影が染みてったのも
混ざってるものだから

見てはいけなかった継ぎはぎも沢山あって

お詫びにお葬式をしてあげようと思うんだけれど

「アスファルトを剥がしてくと海に飛び込む勇気の道が現れるというのは幻なんだ 」
と思わせるのも僕の仕事なので

と既にお坊さんは忙しそう

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戦争は見つからない


戦争は終わったわけじゃないのに
みんなが 待つ人たちのもとへ帰ってゆく

後には残骸となった戦車がやせ衰えて
こんなにも柔らかく耕された土の上なのに倒れる勢いで
バラバラになり沈んでゆく

残るのは鍛えたからか
キャタピラ部分が何も運んだことがない
縄ばしごの残骸のようにしては ねじれた寝顔で
新しい人生を待ち望む

やがて基地だったところも緑豊かに跡形もなくなり
子供達が板切れに「秘密基地」と書いて
戦争を知ってるかのような遊びをするけど

縄ばしごが戦車のキャタピラだったとは知らないので
木登り以外の用途は思いつかない

大人になっても他にも何かあるはずと
あたりを掘りおこすようなことのないようにと

緑豊かに 木々多く 
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気だるく


朝10時 市電の中の座席を覗くと空いてる

誰かに約束をしたんじゃないのに

この素敵な景色の中の一つ一つを今日も訪ねていけないと
折れた心で乗車する人がいて

寂しかったのか花壇に切花を刺しこんで写真を撮ってた人が
仲間のような思いで見送ってる

その理由を知ってるのに 駅は字数の多い表札の前

この時間帯はお腹が空いてないので車掌さんのように
働かなくってもいいような気がするし

この光景を覗こうにも我が家の風呂場には窓がないので
窓を開ける音でこの世界をびっくりさせることもない

そんな事が人知れず気だるく過ぎてゆく〜
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雲を食す


雲が深皿の中で何層にも漂う

その上をまた青空が敷き詰められ

また雲がまかれる そしてまた青空が

かなり上手くいってる日だから 心配はないと思うけど

この町内では残った雲を集めてくれるのは廃案になったので

かき混ぜて細かいいわし雲にして飲み干そうとしたんだけれど

お皿の底で一生懸命に生きてる人たちのことを忘れそうになってて

そーっと雲を箸で押し広げて光を取り込んでみた

あとはやっぱり雲が皿の底に沈む前には 飲み干さなきゃと思う

勿論そ〜っと  ふわふわのところはそのままにしとこうかと思います
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触れずに花言葉


風上に立つ僕には 目の前の花と同じ色の服を着る女性が素敵で

花と一緒の一枚を撮って欲しがってるようにみえるのに 匂いが届かないので気後れるし

この花の花言葉を知らないのでは 親切になるのかも分からない

夕方の公園から伸びる道はみんな帰り道で

最後まで花言葉を呼ばれるのを待つ文字までが 素敵な色に浮きあがるので

見送る後姿からも色が透けてきれい 
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障子の向こう


障子一枚の向こうに何かがあるようなんだけれども 僕のところからはきつい落差でいけそうにない

でもその横を何十人何百人と何もないかのように 降りてゆく 流れてゆく 消えてゆく

頭の直ぐ上に雲が舞い降りては行こうとしない でも僕は乗ってはいけないんだと思う

障子一枚の向こうではいつも朝にだけ知らされる世界がある
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アスファルト


野草がしげ始める原っぱが ここは 近道ができなくなる日が近いことを知らせてるんだって
となりのアスファルトが語る

花火をするのがまだ当たり前ではないのに
アスファルトに散らばる花火の残骸は 夏にはもうここにいない人の火薬跡分の手触りなのか

郵便ポストに手紙を入れたいのに この道は最古で 
暑い夏の 日陰になる日は裏通りに化けるので 地図も頼りにならない

アスファルトの上では出来ないこととか 出来ることとかを
思い出せなくなった人や 教えてあげたい人がいるのに

バス停に置かれたベンチはいつもホコリだらけ
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果て


今日もたくさんのお客さんで大繁盛

僕の仕事は この景色の「果て」まで行ってみたい というお客さんたちを
手作りの空飛ぶ乗り物で連れてってあげること

みなさん「今度はあっちにも果てがみえるあっちもいいな」と次々

地球が丸い限り 僕の仕事は大繁盛なのさ

ふう 今日の仕事は終わり

今朝出発した あの果てにみえる我が家に帰ろうか

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