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瞳の真ん中に写る
伝えたい
記念
ガラスの醤油つぎ
友人
空想
寂しいゆかた
記念日
リンゴを食べた
雨だれ
天まで
桜散る
金魚が浮くと人になる
気が乗らない
ある愛の歌小話
赤い鳥
緑に舞う
向こうの景色
竹の森のいたずら少女
sapporo

瞳の真ん中に写る


赤をまとうために

髪は黒く

靴は黒い

迷うことなく
瞳の真ん中に写る

静まりかえる時にこぼれる想いが

枯れてはあらたに生まれる赤いいろに出会った

堪りかねず 身にまとい 舞い踊っては

闇夜に 

人肌をも赤く染める

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伝えたい


ウッドベースの背中を見ると象の置物にしたいので
壊れたウッドベースを探す

小川のせせらぎはいつまでも思い出の中
登場人物をふやしたくなり友達を訪ねる

子供たちは大きくなったのに浮き輪の売り場を見つけては
空気の少ない表面のシワが気になってしまう

そう

いつもたっぷりといてくれる景色を自転車でなぞっても
僕が捜し物をしてることにはならない程に

曲がりくねり ぬり絵のフシような曲線だけがうっすらと残る

こんなに海から遠い町なのに午後のすごし方が
面白いほどにみんなおんなじで

「この町内でする昼寝ほど気持ちのいいものはないよ」って事だけでも

上手く伝えれるようになれたらな〜って思う

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記念


地図の道をいくと雲が見えないので
目の前のことばかりに気がいく

その果ての地平線は光の限界線

やがて気は光をもしのぎ 過ぎ行く過去の宇宙に追いつく

振り返ると僕の過去が刻まれてるのがみえる

ここも記念にしようと

地図上に赤で印すことにした

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ガラスの醤油つぎ


ガラスの醤油つぎが綺麗に洗われて
水切りされる場所を探してる

布巾の上は危なっかしい

僕の胸ポケットの中がいい? お気に入り

でも僕の胸は
これ以上の大切なものはないリズムを打ってるので無理

ここに来て何年になるのかな

そう思う時のガラスはモロく両方の手の平で受け留める

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友人


角をのぞき見ると真っ白で何もないところに出てしまった

僕の後ろにいた友人にその事を教えてあげないと

突然目の前の僕が消えていなくなったんだから

僕はこの真っ白な中に この出来事を前書きに入れていいものか迷ってる

友人が冷たい雨の中あとがきを書き終わったんだと
ページを閉じた途端のこと

困り果て
「冷たい雨の後では物語は思い浮かばず」と書いてページを閉じる

友人はまだ待っていてくれた

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空想


空想が好きでも

現実の世界から似合わない音が聞こえて やはり柵は必要なんだ

つま先分だけの高さの柵でも この花壇にはとっても必要とされて

柵に身を乗り入れる後ろ姿は かろうじて現実のシルエット

曇り空の日は影のない自分が柵の中で安心

不釣合いな音に僕を呼ばないでと

ここまでの地図は破り捨てた

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寂しいゆかた


着古され破れたゆかたがハンガーに引っかかれるところだけで 吊るされてるのが寝床からみえる

ひどい物 縫い目からほころび片手側などは取れかかってる

寝てるだけでこんなにもなるものかと 今日もその姿のままで吊るされてる

ゆかたで寝てみたかった頃の僕を忘れていたので あの夜の寝床に辿り着けないのか

動いては引きずる衣擦れの音のままに 今夜もどこかに出かける

帰ってきたら迷わないようにとアルバムを広げたままで静かでいてみよう

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記念日


春風に倒れそうなほどのチューリップを見てしまった

日の差す日の初めて

赤いチューリップは葉から茎も花もみんな赤って
そんな絶対の存在で僕の春に直立でいてくれた

SOSを発するチューリップの姿は見たことがない程なので
道に沿ってある公共の花壇はテンヤワンヤ

自分の物のように手入れをするおばさんの許容量を遥かに超え

小さな花を自分が盾になり風から守った子供の頃から始めた事なのに

ただただ やれやれという顔をしてるようにみえる

それとも日影の傷を知り尽くした母の

今日なんだとは知らなかった顔なのかな

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リンゴを食べた


膝あてをすると今日のように寒い日も大丈夫ですよ

ズボンの上から派手な色でお洒落にと僕の用心がせかすんだけど

今日はまだ外に出てないのでどれだけ寒いのか分からず

いつもはしないリンゴの皮までも食べてチョッと 後悔

脱いだ薄着が震えを誘い無事に家に着けそうになかった日の記憶がよみがえつて 後悔

どこまで食べてどこから捨てるのか毎回僕の思いのままなのにって 後悔

でも アップルパイは嫌いなんだとか
小さい時におばあちゃんの食べやすいようにリンゴの皮に包丁の切れ目を
何本も入れてあげた思い出とかを果物屋さんに何度も話にいくと

君たちは僕らを温かくしてくれる食べ物なんだねとお礼をいいたくなる

棚から転がり落ちて見えなくなったリンゴにも聞こえるように

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雨だれ


雨の日の当たり前は僕さと

雨だれの音

トタン屋根でも車の上でもハッポースツチロールの上でも

そう恋人達の傘の上にも

雨どいから落ちる先の空き缶とは友達といってもいいほどの仲

一滴 一滴 窓ガラスに枝垂れる模様が素敵で

慕う想いに目ざめた雨だれの音は物静かで

晴れの日より心静か

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天まで

春で 周りはいまだ葉も付けずにいるのに

僕は天まで届くのさという木が伸びてってしまいました

凄いね 君は選ばれたのかい? と聞きたかった

でももう会えないのかな

せめて影の行き着くところまで後ろをついてってみようと思います

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桜散る

薄緑の葉が目立ち始めた桜の花は桃色を浮かび上がらせながらも白い花

うそだと つぶった目を開けるともうどれが桜の木なのか分からないほど

すべてが落ちる

艶やかな桜の姿は剥した花びら一枚分の
ベンチに残る薄っすら濡れた跡に姿を変えても

お気に入りの記憶の姿で幾絵にも僕の中に残る

遅咲きの桜に思い出は付くのか ふっと思うけれども

灯篭に明かりはもう灯らない

桜祭りで買ってもらったおもちゃに飽きるのもこの頃

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金魚が浮くと人になる


部屋の中に静か〜に小川が現われる

使い捨てられた金魚すくいの輪がいく輪も沈んでる

まだまだ輪に着いた紙が取りきれてないので
光は鈍く直視出来るけれども

やがて全部の紙が解けて流れると針金の怪しい輝きがまぶしいはず

でもその輝きに導かれるように金魚があらわれては
一生懸命流れに逆らって金魚でいようとするのだけれども

重力の気薄なこの部屋では一時のこと

やがて水から浮かび上がり人となる 僕もそうだったように

重力の満ちる言葉は魅力的で既に大分覚えたので

金魚すくいの輪は もう現われない

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気が乗らない


朝日が僕を通り越していく

には 僕がここにいるから邪魔

なのか

まるで急き立てられるよう



と思っちゃうほどの

見事な長く伸びた僕の影

これ以上伸び切れないだろう長く伸びる影の限界で

曲がりたい

でも

その角の向こうも朝日で見事に輝いてること

うお〜 いい加減にしてくれ〜

そんな日の当たるところは

こわいくらいなので

止めて!

切り取って!

裏返してしまいたい!

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ある愛の歌小話


憧れのギターの方と競演を果たした太郎君は
感激で涙ぐんでます

そこに いっつもよく泣く花ちゃんが
「あ〜泣いてる・泣いてる
あたしと似てきたんじゃない?!」

そこで太郎君は涙を拭きながら
花ちゃんに近づいては

[やっぱり、似るもんなのかな ねっ?ねっ?!]

って

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赤い鳥


青い空 赤い鳥が空中に空を見上げるように留まり漂う

羽を広げる様は向こうへの門のようで

素直な心で門をくぐりぬけ振り返ると

人を通すという言い伝えから開放された鳥は
里に戻ってゆくのか

赤い鳥の羽の下を通り抜けた者は

人でありながらも神秘を手に入れて思いのままに空を舞う

微かな小波を聞き取り湖に出てはあたりを見渡すと

先ほどの赤い鳥が村の娘に姿をかえ
いとも容易く小波を沈めては身をととのえる

子守唄も祈りの歌も心は似て 歌詞がなければ聞き分けれない

そこに舞があれば それは祈りの歌

長い髪は舞のため 訪れるものを引き留める

山深い湖のこと 素敵な香りの花に囲まれてはもうここが住まうところ

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緑に舞う


緑が消え始め白が覆い尽くす衣装をまとう娘

それでも緑豊かな綺麗に刈り揃えられた野草の上で舞う

白一色になった衣装に笑顔も想いも姿を変えそうになりながらも

御囃子の優しさなのか 見る人の優しさなのか

緑のままでいれてるつもりの想いが心地いい

感激し色豊かな花びらを舞台へのつもりで投げ入れてよいものかと

聞く間もなく投げ入れる者がいるものだから

そこは砂漠となり投げ入れた花びらも枯れる

日が高く木の下に僅かばかりの影が現れては柔らかな足元を囲む

ここが先人達の舞いへの想いの始まりではと
舞えば舞うほどに踏み固まる大地に喜び大きく舞い始めるものだから

迎えが来ても

さらに舞う

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向こうの景色


白樺林を通して見える向こうの景色が素敵だと
こちらからもあちらからも お互いの住処を褒めあう

踊る姿はどう映るのだろうか 
伴奏は散歩をする方が手を上げてくれた

やがて踊りが似通い行き来をしようとするけど道は必要で

お互いの景色に実った小さい子らが一本ずつ土の上に線をひくなら道となる

そう落ちた小枝で 

これで子守唄も聞こえてくるんだと思うよ

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竹の森のいたずら少女


竹の森

小さいながらも筋はあり その頃の思い出が大きくなっても
細い枝 薄い笹の葉を付ける

竹の七不思議といわれる花はないものといえて
ざわめきだつ緑の森

片手に釜を持ち 1本1本に切れ目を入れては
真っ赤な生花を活ける

風吹く森の怖さに人恋しく水まで与えては通る者への便りのつもりか

旅人が1本1本生花を抜いては
この方が素敵なんだよと緑の竹を名指すのが今日にも見れるはずと

そこまでは女竹から生まれた少女の遊びのつもりの想いの中

もどれ風のない静かな竹の森

先ほどの風の吹き溜まりが枯れた竹を友にころがり落ちてゆく

その音がとっても癒され 竹の知らなかった姿に

いたずら少女はキョトンとしてる

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sapporo


夏を待つ準備が出来たので雨も降る

慌てて でもすぐに入用になると思ったのか
まだ全部は思い出せないでいるのに 夏の怪が道端にちらほら

この道も夏に訪れようと思ってた道につながろうとしてるのが見えたよって

そんな素振りだけで今日は素通りをする

何だ やはり春なんじゃないか

登るには足元を見て 下るには空を見て

そんな雪のない坂道は階段より広々

たんぽぽは仲間を増やしては楽しそう
つくしはつくしで「僕は食べ物じゃありません」と立て札の準備中

いろんなところから帰る楽しさ 中心にあるのが我が家 

そんな道につながったようです sapporo

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