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「池の歌」
「子猫との出会い」
「いらない お世話」
「まじめなトイレ」
「暑い 大寒波」
「支える影」
「夕空」
「いきどまり」
「好きな色」
「言い訳」
「こんな時」
「冬路舞台」
「数式の家庭訪問」
「一生」
「トイレ〜」
「母の愛」
「正月 善」
「冬の路」
「年初め」
正月 一句(3句)
「イメージ」
「また1年」
「葉で できた舟」
「メリークリスマス」
「みんなに この天気な日」
「北風小僧」
「名も知らぬ拾い物」
「手動への ごほうび」
「冬わざ」
「ぽえむ」


[池の歌」

雲と雲がすれる時に 音がする

その音はポトンと池に落ちて 鯉が飲み込んでしまい
まるで自分に鳴き声があったように振る舞う

池に雲に包まれた あなたが写るよと言う 子どもたちを見上げると
雲に包まれた子どもたちが 水面に写るらしい

そんな池を見なれた
子供たちの投げた 小石いがいの音を
聞き取っては パクっ

そして鳴き声のつもり

そんな鯉の口元を

僕らも
見なれてる

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「子猫との出会い」

お母さん猫は犬小屋からも出てくる

外は砂漠

くしゃみをするごとにひと唾 飛ばし

落ちた唾は砂と燃え

吹だまる砂山の上で
それを見下ろす子猫は
旅立つ時を知り 色がいい

横にある滑り台までが 色がいい

砂が滑り吹きだまれないので
相変わらず滑り台は色がいい

日が暮れる

記念に なにか描いてって

みんな横を砂を崩しながら地上に降りてくる

それほどの旅の果ての

人との出会い

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「いらない お世話」

熱帯魚たちよ

もっとゆったりと泳ぎなさい

そんな せわしない世界を私は
創造していません

水槽の中を天地創造する

私は神〜

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「まじめなトイレ」

便座拭きスプレーが使われることもなく
でもスプレーはいつもきれいに拭かれてる

座った便座が今どうかは
灯台もと暗し

減ることのない
拭き込まれた便座スプレーをみて

さみしそうにも

まじめな
トイレだなとも思う

すてきな
オブジェ

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「暑い 大寒波」

暑さで雪景色のフイルムが
キラキラと白くしか写らない

思わず水をうつ

あなたの後ろの影は
もくもく 入道雲

雪の砂漠を さ迷う

水も氷り 飲み水が見当たらない

喉が乾く

大寒波

暑い〜

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「支える影」

黒をバックに枯れる薔薇は黒く枯れる

薔薇のうしろに吹きだまる黒は薔薇を支え

あなたはそこにいるのに
斜め後ろにもあなたがいて
でも こちらをみようとはしない

真っ赤なスカートで
タバコを吸ってはいけないんですよ

今日の日は何の日
今日の日の影

その影を支える柵のむこうは



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「夕空」

紙ひこうきが

さびのやまない歌に憧れ

まだまだ飛んでいたくいって
翼を羽ばたかせる

かわりに
おちるのはなに?

そう〜
夕日が暮れる

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「いきどまり」

冬は誰も通りたがらないと決めつけられ
雪深く除雪の入らない道

入り口の案内板の根元の雪に靴べらをさし
靴は履き替えれるのにと

ていねいに畳んだ毛糸の帽子を
膨らます前の紙風船と間違われないよう
ここで満足させられないよう
ふっくらと置く

割りばしから落ちる水飴では紙芝居では使えないよね
案内板のような紙芝居さんって
案内板にいたずら書き

とりあえず
こんなところで
ゆるしてあげよう

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「好きな色」

雪の上に落としても
雪でさえ隠す事のできない色

電信柱の灯りから
よけながらも近いところに
敷いては寝床にしたい色

買い物をして
青で選んだ今日
迷いなし

それ以上の色はないから

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「言い訳」

最新の世界情勢に張り替えられたレトロな地球儀に
明かりを灯すと

鏡に写るアホウドリ

この寒さは続く思いか
いやいや 昔ばなしの中の寒さだと
気づいたらしく

こちらに向かってステキに飛んでくる

日々 鏡に写る僕の見落とした

いつかの日の姿
だったのでしょう

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「こんな時」

ポケットから
鼻紙を出して広げ

鼻をかみ

たたんでポケットに
またしまう

僕って
ふっと 善人かも

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「冬路舞台」

ナナカマドの下の雪は幸せ

ぽとん ぽとん

あたり一面真っ赤に燃える雪

それは それは熱い舞台

この幕で欲しくなったんだろう

まん中をはうように小川が流れだすので

少し離れて客席にする

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「数式の家庭訪問」

宇宙のすべてを表すただ一つの数式が
裸のまま宇宙に放たれた

数式の姿でありながら
その漂う姿の神々しさ

太陽の間近では
燃えることなく金色に輝き

ブラックホールでも
慌てはしない

寝床にどう?

やはり 責任を感じるのか
いろいろ訪ねたく漂うらしい

=の右が答で宇宙の右
上は宇宙の上

そうして
宇宙のすべては決まってきた

それが訪ねた先々との
合言葉

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「一生」

みんなレールの横を走ってく
たまに 優雅に歩いてる人も

足元に脱ぎ捨てられた服があれば着替える
無造作に木に引っ掛かる服もあり
いただいて着替える

みずからの脱ぎ捨てた服にあとから来る人が着替えるのも

大人に見える魔法だと信じ

相変わらずレールの横を走る
そして先に駆けてゆく人の脱ぎ捨てた服を見つければ
また着替える

たどり着いた日だまりの公園に

使われなくなった列車の運び切れなった
思いでとともに写った記念写真の便りが届いてて

なにが先に着いたのか分からなくなり

杖を使う今
土にでさえ素晴らしい音をたてる杖使いになり

それを 答えにしたい

もっと
もっと
もっと

大きく

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「トイレ〜」

空を飛びながら
トイレを探しても
分かりづらいでしょう?

大丈夫さ
たまに地面近くまで
平泳ぎで潜ったりもするから

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「母の愛」

地球が透明になり
ライオンの親子の足元に宇宙が広がる

恐がってお母さんの背中から
おりられない子ライオン

その背中から枝の先に触れ
なにかを感じる優しさがめばえ

辺りいちめん足元に拡がる宇宙も
すべてみんな
大きくなるあなたのための世界よ

百獣の王

誕生

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「正月 善」

昔は歯が抜けると
穴をあけて糸を通して
左右の歯にヒモで結んだものさ
そうすると なんでか
どんどんと歯が重たくなってく
重たくなれば 重たくなるほど
自慢しあったものさ

と海に語って聞かせてあげ

ラジオにも聞かせてあげたく
仲良く横に座り
海の返事を聞く姿は

さっそく 善

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「冬の路」

この景色を歌う歌詞は見つかりそうでしょうか

メロディーにのせたら素敵になりますか

手を後に組み
ただ歩いたんです

そしてフッと思ったんです

暮れる夕日に
明日の朝日へのポーズが思い浮かんで
笑いもしました

砕けた氷は 小石
降る雪は 砂

なんでも
埋めれそうだって

ただ

そう

思ったんです

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「年初め」

みんなの帰った後の
薄曇り空を隠すように

今日は
木々の枝が空

森の中は
いつになく活気で

香りのステキな実が ふってくる
お猿さんの剥いた柚子の皮が落ちてくる

そんな年初めの
湯舟をいただく

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正月 一句(3句)

■黒豆もアルデンテ  パチパチパチ

■鏡餅

 片手で持ち

 窓から見える
 景色にかざせば
 
 1年を飛ぶUFO 字余り

■しめ飾りの下に落ちる
 赤いナナカマド

 仲間

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「イメージ」

取り皿と箸を持つ人たちが
指揮者をかこんで輪になる

指揮者は去り

そこにかわりに置かれた大皿のうえ

赤い糸でつながれた
薔薇の花びらが
散る

散る
薔薇の花びらを
付けた赤い糸が

去るモノの指揮棒の音に
耳をかたむけ踊ってみせる

寝床は大皿の上

妖しく
美しい

イメージ

覗いてみよう

1年

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「また1年」

正月休みのシャッターの閉まった店でも
なんの店か分かるような
店構えにしてほしい

子犬が迷って
正月 親に会いにいけない

一瞬でもいいのに

それさえ出来れば
また一年
もどってこれるのに

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「葉で できた舟」

葉で できた舟にも
色を塗れたなら

いえいえ月の光の照るまで
待つのでしょうから

このままで
いいのでしょう

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「メリークリスマス」

今日の日記は書き終わったのに

雪が降り続き
クリスマスも盛り

近所の住人に雪かきの好きな人がいて
クリスマスの今日もみんな大助かり

今日の雪は もっと楽しみたいのか
やたらとにぎやかに落ちてくる
そのおじさんをめがけて落ちてくる

その話し声が聞こえないからといって
おじさんの鼻穴を見てても聞こえない

トナカイの鼻息でもない

でも今おじさんと そこにふる雪は

素敵にクリスマス

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「みんなに この天気な日」

雪が たっぷり付く
透明なビニール傘から見る
まだらの景色

文を書き終えて
顔をあげ そとの景色をみる

呼吸をする
明るくもなる
暗くもなる

みんなが みんな次に選ぶ曲も同じ

でも これほどの雪の日

それぞれに意味は違うのかも

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「北風小僧」

中身がなさそうだと
風が吹いてみんな転がして遊んじゃうよ
と風の音がカタカタするので

鍋の取っ手の取れた穴を通り抜けれなかった素麺が干からび
まるで取っ手になったようにしがみつく

滑り台は下から一気に
空にむかってくのが楽しい って?

やはり
北風小僧だったんだね

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「名も知らぬ拾い物」

落ち葉が

踏まれ
ちぎれ

日にあたり
乾き
丸まり

新種の落ち葉?

手にとり
振ってみようか

今だ3Dな音が
嬉しい

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「手動への ごほうび」

ワインオープナーは
コルクを抜いてあげるだけじゃなく
自分がその美しさの中に入ってみたい

そのそば
割れ目が気になる鈴が鳴る
入りたい

電動オープナーじゃない
手動でがんばってきたので
自分で決めていいはず

中々いいところにめをつけたなと
パーティーで みなさんに
いってもらえるよう中に いていい?

クリスマスの夜
鳴らしてみて

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「冬わざ」

冬 暖かいお店に入りたいのに
寒いのか暖かいのか
分からないお店が
ならぶ商店街

その前を通りすぎる僕と
中から外を見る僕と目が合えば
すべてが通じるのに

でも そのためには
時を待たなければ

いつの日か
それくらいのわざは
身につけてみせるさ

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「ぽえむ」

このわずかばかりの つきあたりの歩道

あなたが秋の終わりに 歩いた人と思いたく

雪を ふり積もるままに おおいかぶせる

けれど春はまだ遠く

雪ふらぬ山から
その雪の上にだけでいい

土が吹き込む夢物語を
聞かせて

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