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春風

春まつ桜の木
鋼の音
油絵のお気に入りでもね
昔々
幡ヶ谷の庭
めざまし時計
フライヤーの叫び
雪解けの道
小鳥が見てる
優しさバレンタイン
ボレロ
エレベーターのジェラシー
照明の壊れた その辺
段々畑にふる雪
公園を飛び出そう
冬の儀式
心を刻む冬の雨
信号待ち

冬山ウオーキング
雪がふる
追突への誘い

「春風」


いくら北国といっても
こんなころに雪がふる

  おーおー こんなんで
  びっくりしててどうするね
  いい雪だね〜

洗いざらしの
シャツにジーパンのいでたちなのに
小粋なお兄さん
風にゆれる服のたもとがめくれ
裏地は江戸時代の着流し

  桜前の降りつもらぬ雪が見たくって
  ここ2・3日は
  いろいろな時代の方たちが来てるよ
  風にゆれる服の裏側をみるとわかるよ

どうやってこれたんですか

  春風のいたずらさ〜

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「線」

どれだけ伸び曲がりくねっても
先っちょに桜の花をいければ

その木は桜?

なのになぜ落ちた小枝を元の所にもどす遊びがないんだろう

ずっと伸びる管の先に井戸をかぶせれば
その管は井戸?

なら 隣村からも感謝されるのかもしれないね

雪の解けたアスファルトの先は
春用の靴屋さんに突き当たる

そのお店のどこでも
靴を選びきれないでるお嬢さんがいるので

それはとっても素敵な靴屋さん

その線のどこでもいいです

僕に腰かけさせてください

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春まつ桜の木


落ちた小枝たちを元に戻すゲームが
流行らないのは不思議な事ではなく

今年も素敵な桜が咲く

白くも桃色を浮きあがらせ...めだたせ 

母と娘の想い

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鋼の音


食パンの真っ黒こげを
包丁の背でこそげとるときの

鋼の音が好き

チャンバラ時代の侍にあこがれた農家の若者の気持ち?

ふかふかの柔らかな雪の上で減るスキーの硬いエッジの気持ち?

美味しい思いはこの音の向こう

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「油絵のお気に入りでもね」

まだ夏ではないので
暑いといっても小さいうちわでいいんです
かしていただけませんか

汗をふくタオルだって小さくっていいです

まだそんな季節’から

素敵な形の山に麓から頂上まで
びっしり生えた工場の煙突も

それはそれで
山の形には見えるけれど

油絵のお気に入りだっただけ

カレンダーのページをめくってゆくと

だんだんと緑豊かな山肌が現れる季節に出くわすでしょう

それがいいです

僕は絵はたしなまないので
油絵の匂いを知りません

なのでカレンダーには
写真でいいんです

気軽に
お気に入りの季節まで

めくれます

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「昔々」

わが地球ではこれから空は飛行機というものにまかせることにしました!

いやいやわが地球人はヘリコプターを選んだのですよ!

と遠くにある乗り物をせっせと磨きあってる

最近妙に鳥たちが人のそばにくるのです

あんな遠くに小さくみえる変なのより

目の前の僕らの方が大きく見えて素敵でしょう

って

そういう話じゃないんですよ

可愛いけど

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「幡ヶ谷の庭」
ここの井戸はもう枯れてます

でもこのそばでは今でも
おままごと遊びをする人がいます

ゆで卵の殻を割らないで串刺しに出来るようになったので

見せたいのに やっと出来るようになったのに

もうこんなに月日がたち
子供ではなくなった

枯れた井戸に呼び水をくれる水道のあるお宅も

どんどん玄関の向きを変え

東京の庭らしいそぶりです

幡ヶ谷であたまをもたげてみたら

こんなに月日がたってた

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「めざまし時計」

目をつぶっても今日は素敵な夢はみれなくって

なのに時間はとまり

そこから動けない

床に落ちた目覚まし時計からはみ出した心臓が

プラスもマイナスもなく

暗闇にころがり

あたりをつける僕の手からも逃れる

テーブルで憧れてた
床で雄たけびをあげる夢を
断たれたにしては

したたか

夢がはじまれば

うその時間でも

動きはじめるのに

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「フライヤーの叫び」

たまにでいいんです
かべに何も書いてない白い紙の私を張ってください

画びょうをたくさん使ってくださいね 落ち着くんです

そして

その真っ白な私に
「重力を知らない」と書いていただけませんか

きっと
いつか叫びたいんです

ヒュ〜

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「雪解けの道」

棚から元気に飛び出たのに
手を振ってくれた方たちには悪いけれど

もう帰りたい

薄暗くなってから通るのは嫌いな道ばかりなので

琵琶の音を響かせる

こんな気分に合う

いっそのこと

去年のあかを封じ込めてた雪のやっとの
雪解け水に一緒に流されてみようか

ドライフラワーになれば
永遠だと思っても散った薔薇の

ひとかけの小舟に乗り

棚にもどるには

もっともっと

元気に漕がないと

すべてを忘れそう

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「小鳥が見てる」

持っていきたい落し物

なのに今日は

「もってけ」と聞こえない

小鳥の鳴き声

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「優しさバレンタイン」

エレベーターの中でボタンを押しても
電子レンジではないので大丈夫ですよ

と教えてくれた人が

エレベーターの中で
斜め立ちをしても
無駄でしょうとも

教えてくれた

冷蔵庫の中の
斜めになってたビール瓶になら
ほかの瓶も斜めにしてあげれるかもって 

そんな優しさが欲しい日

バレンタイン!

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「ボレロ」

用事もすませ

後はつつがなく残りの3丁ほどをやり過ごし

車を車庫に入れるだけ

と そこでカーラジオからボレロが流れる

指揮はアンドレ・プレビン

ジャン ジャラジャジャン

ジャン ジャラジャジャン

チャーン チャラチャラチャララ

あ〜 だめだ〜
最後まで聞きたい〜

クライマックスを迎えなきゃ

ここは山の麓

すぐにでも景色のいいところまで

車で行ける

それまでに曲が終わらないだろうか

97 96 95 94 93・・・わ〜 わ〜

でもクラッシックは一曲が長いはず

いけそう

クライマックスは

最高の景色の中で迎えたいと急ぐ

そこに

ふと

綿雪のような雪が

ゆったりと

ひらひら

美しい

クライマックスへの最高のプレゼント

ジャラジャジャジャ ジャジャン♪

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「エレベーターのジェラシー」


高いビルの上ほどもある急な坂を

車が降りてゆく

降りてゆく 前へ

前へ 前へ

降りてゆく

エレベーターがジェラシー

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「照明の壊れた その辺」

照明が壊れたけれど直し方が分からないので

その辺り一帯が真っ暗

とても困り
夢に助けをもとめる

夢は優しく

暗いと言ったその辺り一帯の景色が
散り散りばらばらに

裂け散る

壁紙の裏側のように真っ白な裏地を持つ景色が

散り散りヒラヒラ

少しは明るい

でも それじゃだめ

起きたら拾い集めようか

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「段々畑にふる雪」


段々畑に雪がふる

せっかく積み上げた石段の上には とても優しく

もっともっと積って

下の段に流れ落ちる

その下

その下へ

天からから舞い下りた雪でも

段々畑の上は

素敵に高いところ

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「公園を飛び出そう」

まだ午前中か

今日は有意義というのでしょうか

こんな日は古い記憶の中の
シーンを通りすぎても

とても

早くすごしてるので

ここに来る道順も忘れ去ってゆく

僕じゃない住人たちによって 守られる町並み

公園を出たら 町っていきなりこんな風です

物語りがあふれ

歴史は古く 匂いを嗅ぐわせる

たまには公園を飛び出てみよう

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「冬の儀式」

枯れ朽ちたクモが窓に

冬とはいえ窓越しの温かさが
曇りガラスのスクリーンに映る光景のよう

外がどうだったかも忘れ

今は冬

飲みかけのコーヒーをかけてでも
とかしたくなるほどのアイスバーン

そんなことも

どうでもいい世界にいるらしい

温かな窓に
凍ったポカリスエットを置くと

クモがとても小さく見えるし

なにかの儀式の始まりにも見える


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心を刻む冬の雨」

冬の雨に

雪像まじかな
まだ四角いままの雪の固まりが

とけはしないかと

そわそわと

すでに

心を持つ

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湯船の中の平常心


風呂場の窓からジャンプ台が見えれば
ふわ〜っとしたくなるのは
風呂カビのせい!!

あのふっくらしたパンのあの中の
香り豊かな空気までも食したくなるような想い?

湯船の中で僕は

ぬくぬくと 

とけてゆく〜

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信号待ち


信号待ちの向こうのず〜っと向こうの雪山の
一本の木の根元のぽっかりと空いた雪解け穴から
こちらを眺める虫

まさか僕がそちら向きにしてるとは思わないので
警戒心もなくのんびり昼寝の続きをと

その方が僕も
このお気に入りの景色といいながらも

いまだに そのどこにも行けてないことを

気にしないでいれるし

信号の色の変わることの
不思議を説明しに

その木の根元まで
行かなくってもよさそう

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「冬山ウオーキング」

冬山の散歩は元気に腕を振り

ダウンパーカーのすれる音が
熊追い鈴

野に響け 山に響け

山姥には道をゆずれ

思いだす鈴の音はどれも優しいのでこまる

もっと元気に大きく腕をふれ

野に響け 山に響け


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「雪がふる」


雪を掘ってもアンモナイトの化石は出てこないし

小枝で雪に絵を描いても僕じゃ見分けれない

ここに居着こうかと
迷いながらも

クモの巣が張るほどの展望は春を待つ

とけかかっては 積り

凍っては 積り

積っては さらに 積る

どんどん

どんどん

雪がふる


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「追突への誘い」

ハッチバックの車の後ろ姿は

その方が誘う鳥居

その向こうで待つ

車を買い替えるまでは 苗字は変わらないらしい

訪ねてきてくれても

車なので食前酒はありません

そんな申し訳なさそうなお顔が

ルームミラーに映る

そうなら やはり

追突への誘いは

おことわりさせていただきたい


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