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流せない

ゆらゆら ゆらゆら

紙風船
化かす橋
満杯
目撃者
満月の夜の足元
舞い降りるモノを見た
我が家の奥深さ
つよい花

通り
迷ったら
今日は天国も天気

磯の町
やさしいキコリの仕事あと
今日の札幌
小石
バラバラ

流せない


小石じゃないのに

ポケットに入れられた二枚貝

今開いたりしないでよ

海まで連れてってあげるから

川に流れない
忘れたいことは

そうしてあげるのが

いいんだと思うんだ

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お気に入りの鈴なのか

街中の散歩にもつけて歩く

あちらでも鈴をつけて歩く人が

どちらも袖の長いシャツ

真夏の熱い日ですよ

そんなにも
鈴の音は
体に痛い?

指先だけは日にさらされ

学校帰りの小葉柵に
手をかざし歩いた頃の感触を

忘れてないよ

散歩道

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ゆらゆら ゆらゆら


今日だって

水分たっぷりの枝が
切り落とされる

水分が空になって初めて

自分が切られたことの乾きに気づく

それ以外の不便といえば

風にゆれてゆらゆら

あれは中々気持ちがよかったな

もう もどれないのだろうか

と言ってる枝の僕を

残る大木の僕が見送る

これぐらいなら

とりあえずは

さほどの悲しさはない

ゆらゆら

ゆらゆら

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紙風船


紙風船が

棚から 落ちてる

空気はばっちりなのに

なつかしさが 引きとめるのか

空には飛んでいけない

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化かす橋


冬にすてきだったあの橋は
いまごろどうなってるだろう

雪もとけ
手すりは赤く

帰り道の人を
化かす

足元は濃いみどり

橋から池をみると

僕が写らない

冬には氷のしわざで

夏には水草の仕業なのに

あと何回この真っ赤な色を
塗り替えると
帰してもらえるの

あ〜やはり

すでに化かされてる人がいる

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満杯


飛行機雲が

あそこからあっちまで

雨上がりには虹が

もしもし 知ってた?

満杯って

僕の知らないところから 見たことのないところまでも

入るんだよ

たまに

誰かにお願い事を してみようよ

なにかが広がるかもね


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目撃者


向こうへゆく人たちと

こちらへ来る人たちの
入り混じり すれ違う様は

難解なモノが

解ける時のショーのようで

見事なもの

僕はいつも

目撃者


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満月の夜の足元


雑草を束ねて

お札をぶら下げる

束ねたといっても雑草はもろく

お札も 垂れ下がる雑草から

外れそうになる

それじゃ
まるでいけないことのようだから

もっとシャキッとしててください

束ねられた雑草さん

今日は満月なんですよ

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舞い降りるモノを見た


空から

木の葉でもなく
花びらでもなく

雲でもない

でもとても軽く

落ちることに いくらかの恐怖など

知りもしないようなモノが

ひらひら舞い降りる

指をさそうとすると

その気を知っては

たそがれて旅立たれそうで

そ〜っと

両手を広げて

おいで おいでよ〜

きみにも色があるんだね

その事でだけでも

そして十分な刺激さえくれる


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我が家の奥深さ


トイレの正面の壁に片手を着きながらと思えど

意外な奥ぶかさに

不覚


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つよい花


だれに見られることもないので

造花になり

いつでもと持久戦

そんな花は もどるところもいらない

つよい花


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僕に見える山は

中腹までが山肌が削り取られ
荒々しい

でもそこまで行くと
夢の中

削り取られた跡は

何本にも伸びた母の優しい手

抱かれる

そう思えて下山する

頂上には行かない

いらないのか

知らなくっていいのか

どんな方のか

そこまでたどり着いた事はない

そのやさしさをと裏山にまわり

背中にも思う


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通り


鳥から抜け落ちた羽は

人の通りに落ちれば 二度と舞い上がれない

わずかな風に揺れて ゆらゆらするだけ

小さい子の 小さなリュックにでさえ

つまずけば

転びそうになる

そんなことにも

ご用心


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迷ったら


僕のからだが迷ってる

テロップの訳と
吹き替えの意味が合わない

どちらが僕にとって 気持ちがいいんだろう

やり直しが効かない わけじゃないのに

アルバムを見直して ヒントを得たい

写りのいい写真は

良い薬になります

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今日は天国も天気


運河沿いでバッチ売をしてた友

いつからかいなくなり

似たような人ばかり

一番彼に似た人はどなた

その人からなにか買ってあげたい

こんな天気な日は天国も

バッチリ稼げて?

札幌に帰る道すがら


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磯の町


磯の香りの小さな町を通る時は

すれ違う人には挨拶をしようと思います

素敵なお嬢さんには

笑顔で

海の中でもないだろうに

いつでも磯の香りがする

開いてしまい
生きるすべを知った貝どうし

この町では

いつも
髪は半乾きで

時は
温かな正午


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やさしいキコリの仕事あと


木の切り株も

森の景色

背もたれが欲しいよ

膝を抱えてごらん

ほーら

いらないでしょう

やさしいキコリが切った後なんだね

おばあちゃんも座れてる

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今日の札幌


もしかしてあなたは骨だけですか

上着を摘んでリュックの周りをまわるのは フワッと見せるためなのでしょうか

今日のような暑い日でも 長袖 長ズボン 帽子 マスク手袋

僕もあなたも魔法使いではないので

なにもしてあげられず

今日もすれ違うだけ


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小石


小石が着飾る

落ち葉の切れっ端がたどり着くから

右左バラバラな着飾り

たまに右左同じようになることがあるけれど

それは眼差しにしか見えないので

風よ吹け〜


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バラバラ


あと何百年後

アリは踏まれると 真っ赤な血を大量に
流すようになる

なので居たたまれず アリ専用に道を
作ることになる

それならばと 落ち葉たちは

勝手にゴミ箱のあたりまで 吹きだまれるようになる

それなのにその頃人間たちは 宙を舞う

もうここにはこないだろう

みんなバラバラ

どちらが良かったんだろうか

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