・・・・・?
文へ

30

top
29
28
27

26
25
24
23
22
21
20
19
18
17
16
15
14
13
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1

雛人形
北国の帰路
残吹雪
ま〜だだよ〜
遠浅 夏
なにもない午後
カデンツァーを聞く
小さいころ
失われた景色に
夢よ続け
愛跡

気がすべり込む
ある散歩
身もだえ
人生の時計
とけない雪
サングラスがほしい
ホワイトデー

舞えないけれど
川岸

雛人形


大きな人形だ

それを片手で抱えれるお母さん

やはり人形なのだろう

それは後ろ向き

まっ先に会わせたい人形がいるらしい

静かにおいて

ひきさががり

今年もしまえない
この姿

みて欲しい


____________________

北国の帰路


シャツのボタンをかけ違えただけで うまく階段をのぼれないと思える僕が

木にのぼる

小枝のあいだから 人間界をのぞくのは

うまくなった

こんな時間の使い方もあるんだね

なのに 道ゆく人が幻のように

たかく積まれた雪のあいだから 見え隠れするので

のぞき見をしあう僕と目が合う人とは

不慣れな気になるけれど

そこんとこは

笑顔で 

笑顔で

帰路


____________________

残吹雪


帰ろうと決めかねてる
わたしの足元にまとわりつく

匂いさえ違うあなたは 冬のままのつもりでも

まだ薄暗くっても

どこかにぬくもりが 見つかる部屋の方が

今のあなたより

わたしを温かく 迎えてくれる


____________________

ま〜だだよ〜


靴紐をしっかり結んじゃいけないよ

そのまま連れて行かれてしまうよ

ゆるく結べば  靴だけが

旅立ってゆくんだって

いやなことを 見送った後だからか

意識が遠い

音のすみっこと 町のすみっこ

曲がりきると

白いスニーカーが

真新しい


____________________

遠浅 夏


この夏の午後を持っていかれちゃってます

遠浅の海でみんながあんなに楽しそうにしてます


なのに僕は日陰の中で動けません


ここにも すてきな風が吹きました

あそこまで行く物語を思い描けそうです


そして すてきな光が射しました


もう振り返ってこちらに手を振る

僕がみえます


____________________

なにもない午後


遠浅な美しい色の海も

波打ち際が鋭くえぐられ

人を寄せ付けない

雑草の茂みに 身を寄せ合う少年たちに

なにか策はあるんだろうか

訪れる人たちに
少年たちはみえず

乗り捨てられたように置かれた 自転車だけが

想像を掻き立てても

なにもない

午後


____________________

カデンツァーを聞く


振ってはいけない景色を振ってしまった

いつもあきらめてた景色は
ちりちりばらばらになり

空にぶつかっては

ゆっくりと降り
次の里となり

あるものには僕の思いが届いたのか

とお〜い景色に姿を変えてくれ

わずかに舞い上がる砂ぼこりは
のぼる朝日とともに

この物語のカデンツァーを聞く


____________________

小さいころ


田舎のそのまた田舎の 神社横のブランコ

いつもの女の子がいて

僕も小さいので  いっしょに遊んでは

帰りには小川で きれいな小石をひろう

見せると よろこんでくれる

川で洗われた小石のような気持ち

この子のお家の子になりたいけれど

それには牛小屋を通らなければならない


____________________

失われた景色に


ブランコがあった小道

いつからか見つからない

あまりにも立派な遊具たちに囲まれて

思い出が破産しては片付けられてゆく

大切そうな囲いの中
どなたかの良心が残る

今まで僕らには

見せてくれなかったのに

良心だというなら

そういうものなのかもしれない

まだらに見える柵の中


____________________

夢よ続け


その夢の中の庭は広く

夢からあなたが消えても

庭が消え終わるには
まだまだ

なのでもっと
たたずんでられて

そうすれば

夢はつづいてるんです


____________________

愛跡


小山を転げ落ちる雪だるまのあとか

子犬の足跡か分からないけれど

飼いぬしは指なし手袋で
雪に似たような跡をつけては

子犬を誘う

その愛するさまは

台所での鍋つかみにさえ
見えるほどの

人の愛


____________________

気がすべり込む


とってもお似合いなのに

知らないふたりなのかな

距離があり信号待ちをする男女

前のめりに伸ばした僕のからだは とまることなくのびきってしまい

そのふたりの間にすべり込む

いつもなら途中でとまり

おじゃまなどにならないのに

これじゃ そのふたりは

別々に歩くしか

ないのかもしれない


____________________

ある散歩

鳴海の読み方をおぼえては

得意になってた小さいころをさがして

城下町の名札を見て歩く

ない たしかこの角の表札だったはず

もう一度端から見て歩こう

ず〜っと向こうまでも行ってみよう

目的のある散歩なんだ〜

悪くない


____________________

身もだえ


雲がなければ光はとまってみえる

風がなければ雲はとまるのか

大きく開いたぼくの手も
そろそろ動かないと

アリさんが春の芝生にあきて

登ってきますよ

そんな まだまだ
ガラス越しの夢に

身もだえ


____________________

人生の時計


洗濯物が たまってる

そうか 

もう 

こんなに

生きたのか

____________________

とけない雪


凍った川をみてない

橋の欄干につもった雪も欄干で

とっても見晴らしの悪い橋です

海の波打ち際に雪があれば

打ち寄せる波の形に

とけて見せるのでしょうか

まだまだ雪は

その姿です


____________________

サングラスがほしい


太陽光の強さを遮断して 夕方か曇り空か

一人ぼっちか

いやだ

太陽光を遮断しながらも エーゲ海よ マリンブルーよ

そんな青い海の中を 走ってるような

そんなラン用の サングラスがほしい

公園をゆく 明るい人たちを

見落とさないで

その中を

走れますように


ホワイトデー

____________________

ホワイトデー


ざくざくの雪だねと はしっこを歩くと

めがねを踏みつけると 気持ちいいよ
踏み切りたくなるんだよ

といわれたのを思いだす

まん中をお礼をいって 通り過ぎてゆく

老夫婦

ざくざく ざくざく

クッキーの音が聞こえそう

____________________

舞えないけれど


平らな帰り道も 空からの花見帰りには

ゆるやかでも下り坂

あんなにも大きく広がる

枝と枝が交じり合う

うえからの景色

そこにふんわりと
おりてみたいけれど

その横をゆっくりと坂を下るように

おりてゆく


羽がないので

こんなものかな


____________________

川岸


川岸のたずねあぐれてる
お家がなくなって

向こう岸に喫茶店ができて

もしやと思う

とても
落ち着けそうなのに

入れない

もう
この土地のものではないのです

川を道に化かしてくれますか

今日帰ります



文へ