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雛人形 大きな人形だ それを片手で抱えれるお母さん やはり人形なのだろう それは後ろ向き まっ先に会わせたい人形がいるらしい 静かにおいて ひきさががり 今年もしまえない この姿 みて欲しい ____________________ 北国の帰路 シャツのボタンをかけ違えただけで うまく階段をのぼれないと思える僕が 木にのぼる 小枝のあいだから 人間界をのぞくのは うまくなった こんな時間の使い方もあるんだね なのに 道ゆく人が幻のように たかく積まれた雪のあいだから 見え隠れするので のぞき見をしあう僕と目が合う人とは 不慣れな気になるけれど そこんとこは 笑顔で 笑顔で 帰路 ____________________ 残吹雪 帰ろうと決めかねてる わたしの足元にまとわりつく 匂いさえ違うあなたは 冬のままのつもりでも まだ薄暗くっても どこかにぬくもりが 見つかる部屋の方が 今のあなたより わたしを温かく 迎えてくれる ____________________ ま~だだよ~ 靴紐をしっかり結んじゃいけないよ そのまま連れて行かれてしまうよ ゆるく結べば 靴だけが 旅立ってゆくんだって いやなことを 見送った後だからか 意識が遠い 音のすみっこと 町のすみっこ 曲がりきると 白いスニーカーが 真新しい ____________________ 遠浅 夏 この夏の午後を持っていかれちゃってます 遠浅の海でみんながあんなに楽しそうにしてます なのに僕は日陰の中で動けません ここにも すてきな風が吹きました あそこまで行く物語を思い描けそうです そして すてきな光が射しました もう振り返ってこちらに手を振る 僕がみえます ____________________ なにもない午後 遠浅な美しい色の海も 波打ち際が鋭くえぐられ 人を寄せ付けない 雑草の茂みに 身を寄せ合う少年たちに なにか策はあるんだろうか 訪れる人たちに 少年たちはみえず 乗り捨てられたように置かれた 自転車だけが 想像を掻き立てても なにもない 午後 ____________________ カデンツァーを聞く 振ってはいけない景色を振ってしまった いつもあきらめてた景色は ちりちりばらばらになり 空にぶつかっては ゆっくりと降り 次の里となり あるものには僕の思いが届いたのか とお~い景色に姿を変えてくれ わずかに舞い上がる砂ぼこりは のぼる朝日とともに この物語のカデンツァーを聞く ____________________ 小さいころ 田舎のそのまた田舎の 神社横のブランコ いつもの女の子がいて 僕も小さいので いっしょに遊んでは 帰りには小川で きれいな小石をひろう 見せると よろこんでくれる 川で洗われた小石のような気持ち この子のお家の子になりたいけれど それには牛小屋を通らなければならない ____________________ 失われた景色に ブランコがあった小道 いつからか見つからない あまりにも立派な遊具たちに囲まれて 思い出が破産しては片付けられてゆく 大切そうな囲いの中 どなたかの良心が残る 今まで僕らには 見せてくれなかったのに 良心だというなら そういうものなのかもしれない まだらに見える柵の中 ____________________ 夢よ続け その夢の中の庭は広く 夢からあなたが消えても 庭が消え終わるには まだまだ なのでもっと たたずんでられて そうすれば 夢はつづいてるんです ____________________ 愛跡 小山を転げ落ちる雪だるまのあとか 子犬の足跡か分からないけれど 飼いぬしは指なし手袋で 雪に似たような跡をつけては 子犬を誘う その愛するさまは 台所での鍋つかみにさえ 見えるほどの 人の愛 ____________________ 気がすべり込む とってもお似合いなのに 知らないふたりなのかな 距離があり信号待ちをする男女 前のめりに伸ばした僕のからだは とまることなくのびきってしまい そのふたりの間にすべり込む いつもなら途中でとまり おじゃまなどにならないのに これじゃ そのふたりは 別々に歩くしか ないのかもしれない ____________________ ある散歩 鳴海の読み方をおぼえては 得意になってた小さいころをさがして 城下町の名札を見て歩く ない たしかこの角の表札だったはず もう一度端から見て歩こう ず~っと向こうまでも行ってみよう 目的のある散歩なんだ~ 悪くない ____________________ 身もだえ 雲がなければ光はとまってみえる 風がなければ雲はとまるのか 大きく開いたぼくの手も そろそろ動かないと アリさんが春の芝生にあきて 登ってきますよ そんな まだまだ ガラス越しの夢に 身もだえ ____________________ 人生の時計 洗濯物が たまってる そうか もう こんなに 生きたのか ____________________ とけない雪 凍った川をみてない 橋の欄干につもった雪も欄干で とっても見晴らしの悪い橋です 海の波打ち際に雪があれば 打ち寄せる波の形に とけて見せるのでしょうか まだまだ雪は その姿です ____________________ サングラスがほしい 太陽光の強さを遮断して 夕方か曇り空か 一人ぼっちか いやだ 太陽光を遮断しながらも エーゲ海よ マリンブルーよ そんな青い海の中を 走ってるような そんなラン用の サングラスがほしい 公園をゆく 明るい人たちを 見落とさないで その中を 走れますように ホワイトデー ____________________ ホワイトデー ざくざくの雪だねと はしっこを歩くと めがねを踏みつけると 気持ちいいよ 踏み切りたくなるんだよ といわれたのを思いだす まん中をお礼をいって 通り過ぎてゆく 老夫婦 ざくざく ざくざく クッキーの音が聞こえそう ____________________ 舞えないけれど 平らな帰り道も 空からの花見帰りには ゆるやかでも下り坂 あんなにも大きく広がる 枝と枝が交じり合う うえからの景色 そこにふんわりと おりてみたいけれど その横をゆっくりと坂を下るように おりてゆく 羽がないので こんなものかな ____________________ 川岸 川岸のたずねあぐれてる お家がなくなって 向こう岸に喫茶店ができて もしやと思う とても 落ち着けそうなのに 入れない もう この土地のものではないのです 川を道に化かしてくれますか 今日帰ります |
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