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まだ早い 冬の終わりの日を決めれば 手に持つ氷は薄氷 のぞく向こうの景色は ふにゃふにゃ まだまだ 遊んでてくれていいんだよ とてもたのしそう ____________________ 冬の公園 風が吹くと 景色が波打ち すごい雪 平らになれる? それでも 道だったところを 歩きたい すっかり 大人だし ____________________ 桜 桜の種ほどに 花言葉はあり 散る花びらたちの交じり合うところは土のうえ 鋭いものに 指を指されることもないほどにふり積もる 夜桜 妖気ただよう呪文 ご用心 ____________________ ゴシック体 ゴシック体が好きな僕は きょうもゴシック体 線が均一なことらしい 字体には癖がないので 書く文はいつも主役 僕の日々が僕の中で主役でいれる ゴシック体 ____________________ 午後4時の橋 玉砂利の敷きつめた 広場にいきたくって 橋を渡ろうとするけれど こちら側からでは 大きな桶に水をはった ヨーヨーすくいの生業屋が 渡り終わる前に 通せんぼをする 向こう側からでは風が変わる 忘れたい思い出が沸きあがり とってもこの橋の長さでは足りない 渡ってくる なにかを交換しあえそうな人を 待てばいいのか でもあまりにも今日は 僕だけの午後4時 ここんとこ なん日も なん日も ____________________ ウロコ ウロコのことを知りもしない魚と ウロコが苦手な僕 どちらも水辺にいながら 喉の渇きをわすれ はるか向こうの 雪山に刺さる小枝が 戦い破れた戦士の十字架にみえ 小さくとも できる影はそのもの そんな山深さが ウロコのついた魚の 眠るところだとしたら お老いたとはいえ りっぱなウロコの 龍はどこに眠る ____________________ 白い藻 時空にゆがみがしょうじ 明治時代のおばあさんが向こうからやってくる こんなに雪かきのされた道なんて始めてみるね それだけでも嬉しいよ 昔はこの雪を白い藻かと 物語を書いてみた事があるんだけどね 今の時代にわたしの名前が残ってないんじゃ あの本はだめだったのかい すれ違うおばあさんに ゆっくりおいきよ といわれた ____________________ よそ見も 真冬の大草原 僕は今にも負けそうになりながら 膝上に積もった雪をこいで前に進む でなければ 明日はないのだろうか 横をみれば暖かな長屋から おでんでも食べていかないかい?と 声をかける長屋の住人達 その長屋の長さといえば 万里の長城よりも長い だって僕の進む方にいつものびる 過ぎ去った後ろは消える いつでも温まりに入れるんだと思っても それは真冬の蜃気楼にちがいないのです そう思うから戸口に触れることすらできない それでも前ばかりをみて 途方もない気持ちになるよりは 温かな気持ちにしてくれる ____________________ 跡 新雪のうえの戻ろうとする 小さな足あと それだけが残る 砂漠に消えたのだろうか 少しばかり熱風を感じる なにかが負けて なにかが勝った そんな跡なのだろうか ____________________ いく面への想い 僕が寝ると夢が目をさます 今すてきな夢 やがて静かな景色だけが 白黒に姿を変えてまで そ〜っと残り その中のいく面かは よほどの想い それを 消し去ろうとする 鋭い力も 僕の中にあるモノのよう 夢の中でエスカレーターをさがす なにかから逃げるんだと思う どこまでも ____________________ 希薄に見える 地面から離れるほど空気が薄くなるから? ビルの非常階段の赤い電気が上の階にいくほど薄暗く見える 地上から近い階はバリアーで囲まれてる お祭りがあっても 祝いがあっても 上にいくほど無味になってゆく 遠くから見つめる僕なのに 東京の裏小路のようなその景色の中 サンバだって地面から離れると 踊りを忘れるのかもしれないねと 犬が しっぽをふりながら 散歩に出かける もう夕方 ____________________ 僕はめでたい虫 寒いといっても 寒いだけに上から雪どけ水が 落ちてくるわけじゃないし 直射日光のきらいな僕は 雪を通したこのぐらいの光が好きな 虫 地球が爆発してなくなっても 確率では生き残れるものがいるはず その時ぼくは 宇宙を 漂う だから その時も今も 僕には まわりのすべてが 便利 ____________________ ハルニレの木 北海道らしい木 女の子が赤いリボンを付けてゆく お友達になれたのか? その辺を歩いてみたら そして振り返ると ハルニレの木 北海道らしい木 ____________________ 坊主にされてた子 幼稚園に通わなかったので スキップがにがてで 幼稚園から見た外の景色をしらない あの服を着てみたい あの帽子をかぶってみたい 僕も小学校には いけるの? それとも 戦争にいくの? ____________________ 冬の公園 小高い丘の上を あんなにすいすいと 歩く人たちを 見上げると 足元の雪だけが とけたそうで とけた雪は下にたまり こどもたちがさわると 氷になる ひとしきり遊んでは 小高い丘をめざし 大人になりすぎては とけて また子供になる この公園の冬は その繰り返しなのが たのしい ____________________ リュックをまわる リュックのまわりを ぐるぐるまわる ご婦人は 雪の中でも ぐるぐるまわる 雪の途切れたくぼみで その大きさに合わせて ぐるぐるまわる すこし 照れてるように見える そんな日差しの中 ____________________ サンタの赤い帽子がすてれない すてきな映画が終わり拍手 せめて僕の周りの方たちと よかったねと 言いあいたいのに 下が小川だと信じたものは流れてしまった サンタの赤い帽子を置いて 人を喜ばせることを知らない 映画館にこそ 置いてあげたい モノだろうに ____________________ 思い出せない 僕が なにかを思い出そうとしてる なのに言葉が雨になりふり続ける そのどれかをすくい上げればいいのか それとも輝くことばのふるのを 待つものなのか たしか どこかに 書き損じたページがあるはずと 引き出しを深く深く探しまさぐる なにも思い出せれないから 言葉の切れっぱしだけでもいい 指先に触れたい ____________________ 元気 僕のようなモノが通り過ぎてゆく とってもていねいに跳ねてゆく きっとまた 帰ってくる道だからなんだろう こわす事なくもどれば 光の反射も 鏡に移る虚像も 僕のヒジの後ろ 前には振らない 後ろに振るのが 元気 ____________________ みちびかれる 白い雪の上に はがれ落ちた樹皮が 化石になるためには 今が一番と思って 落ちるのか だれに教わったのだろうか この世を みちびくモノが やはり いるのだろう ____________________ |
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