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季節
町が風に揺れる
いつもは
拍手

朝顔
はるにれの木
そろそろかも
トウキビ遊び
あなたへの電話ですよ

小雨
日陰の花壇の面会時間
風に帯
ぽつんと

焚き火に縄
風にゆれるビニールテープ

しずく
母親への帰路
ふり向けない

看板のフリ
うたた寝


季節


夏の落し物が
拾われることもなく

みんなの熱をためたまま

土とともに

燃える

こおろぎか鈴虫か

熱の引けた公園に

迷いこむころ


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町が風に揺れる


風がふくとビルの壁がゆれる

こんなにも大ごとに
ゆれるものだから

小鳥たちはガソリンスタンドの
においが好きになってしまい

もう 森にはもどれない

いつかは
気づいてほしいけれど

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いつもは


いつもは曇ってる

この町内の空が
今日は青空だ

どうしたんだろう

いつも赤ばかりの信号が
今日は青信号

まさか
あの二件並ぶお家の玄関が
開け放たれてたりしないよね

よかった
いつもの道端にいるバッタが

今日もおなじところから
逃げる準備をしてる

きのうより
羽が少し茶色に
なってるんだけれど

気づかないんだろうな


____________________

拍手


がんばっても がんばっても

拍手が小さくしか鳴らないと

これでいいやと思うようになる

まだ何かが聞こえてきさえする

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朝顔


朝顔のツタが引きずられて
地面の上で咲く

あのすてきな
10頭身に咲く

お姿はなく

忘れられた野イチゴでも

咲かせるつもりでしょうか

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はるにれの木


いつも迎えてくれる大木が2本

その間の根元に立つ僕は 

その子ども

芝生が途切れてますよ

そんな土の上にいます

はるにれの木の樹齢300年

中に空洞ができてて
あぶない

きっと僕が

強くならないと
いけないのでしょう

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そろそろかも


ご主人様に
引いてもらってる

ベビーカーの中にいる犬

思い出したい
メロディーがあるのに

決まってそんな日は
ヘリコプターのプロペラ音の向こうに

飛んでいってしまう

もうそんな上を見上げる
元気などないから

こんなにも長いこと
良くしてくれるご主人様に

最後に

歌ってあげたいのに

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トウキビ遊び


トウキビに美味しそうな
こげめが付かないので

土をまだらに塗ってみる

遊びではないんだろう

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あなたへの電話ですよ


あまりにもみんなが
僕を抜いてゆく

こんな日は
携帯が鳴り響くので

そばにいる人に渡してしまった

「あなたへの電話ですよ」

困ってるようで
動けなくなってしまった

そ〜っと携帯を受取ると

何もなかったように

やはり

抜いてゆく

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小雨


風のない小雨の日

ハンカチを頭にかぶり

モテたいわけじゃないので

これで

OK

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日陰の花壇の面会時間


花壇の入り口には立ち入り禁止の看板が

その看板をつるす針金の中に
僕が巣つく

どれだけの名外科医でも
この腫瘍のような僕を取り除くことは

出来ないようなので

やさしく看板ごと揺すってくれたりしては

面会時間の終わるのを
待ちどうしそうにしてる

日陰の花壇なのに

きのうも今日も

そんな人が来てくれる

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風に帯


きのうも今日も暑いので

風に帯をつけて

浴衣がわり

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ぽつんと


アスファルトに5センチほどの穴が開いてます

では僕が行って咲いてみましょう

1本で寂しいですが先発隊というのは

そういうものだと
うかがった事があるし

枯れ枝が 手の骨だけになった感触で
歩く人の足元にまとわり付いたり

石段の水たまりほどには
踏まれてハラハラしないでよさそうだし

後何本かはいけそうですよ

雪が降る前にいかがでしょう

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焚き火に縄


焚き火に縄をくべる

熱で跳ね返ることもなく

ただ粛々と燃え尽きる

火バサミでつまんでブラブラと

下から燃えてくる

そんな焚き火遊びは
思いつかなかったんだろうか

燃やされることもなく
土に埋れて

化石になれる夢をみてたとも

思えなかったんだろうか

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風にゆれるビニールテープ


僕が道に迷ったのか町が引越したのか

いつもの伐採された木や枝が落ちてない

いつもあるはずのところにあるのは

草や葉ばかり

きのうの雨でか
みずみずしい

それらを縛るビニールテープから

とっても上品な蝶が生まれて

やはり風にゆれて

まるで飛んでゆきそう

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しずく


カップの外にコーヒーのしずくをこぼさない人は

今日はこの町でも雨でしょうと
テレビから天気予報が流れると

せっかくなので隣町にこぼれないように

わが町を縦に拭いてあげる仕草

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母親への帰路


いつまでも見上げるだけの
大きくなれないひまわり

高いところで咲いてみる

そばで見守ってくれてた母親も
あんな風にしか見えない

初めて知る母親の後姿

もう あこにはもどれないだろう

一度子を見失った母親への帰路は

深い迷路

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ふり向けない


斎場の横にあるバス停

人がいるのに乗らない

だれかが通ると

今は何年の何月何日ですか?
何時なんでしょう?

だれもが答えようとせず

教えていいだろう事は

斎場の外で必要なことばかり

と思えば

ふり向けない

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看板のフリ


ソフトクリームの看板を
取り囲むヒマワリたち

風が吹いては

看板のようではいれない

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うたた寝


こちらのお家の夏の窓の

4メーターほどの向かいにも窓があり

開け放たれてて

気持ちのいい風が吹く

ここのイスの位置は 
とってもいい場所にあるので

こちらの住人になると
こんな夏をすごせるのか

あちらのすてきなお家でも
こんなところにイスがあって

眠ってしまって・・・・


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