文へ |
24 top 23 22 21 20 19 18 17 16 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 季節 町が風に揺れる いつもは 拍手 朝顔 はるにれの木 そろそろかも トウキビ遊び あなたへの電話ですよ 小雨 日陰の花壇の面会時間 風に帯 ぽつんと 焚き火に縄 風にゆれるビニールテープ しずく 母親への帰路 ふり向けない 看板のフリ うたた寝 |
季節 夏の落し物が 拾われることもなく みんなの熱をためたまま 土とともに 燃える こおろぎか鈴虫か 熱の引けた公園に 迷いこむころ ____________________ 町が風に揺れる 風がふくとビルの壁がゆれる こんなにも大ごとに ゆれるものだから 小鳥たちはガソリンスタンドの においが好きになってしまい もう 森にはもどれない いつかは 気づいてほしいけれど ____________________ いつもは いつもは曇ってる この町内の空が 今日は青空だ どうしたんだろう いつも赤ばかりの信号が 今日は青信号 まさか あの二件並ぶお家の玄関が 開け放たれてたりしないよね よかった いつもの道端にいるバッタが 今日もおなじところから 逃げる準備をしてる きのうより 羽が少し茶色に なってるんだけれど 気づかないんだろうな ____________________ 拍手 がんばっても がんばっても 拍手が小さくしか鳴らないと これでいいやと思うようになる まだ何かが聞こえてきさえする ____________________ 朝顔 朝顔のツタが引きずられて 地面の上で咲く あのすてきな 10頭身に咲く お姿はなく 忘れられた野イチゴでも 咲かせるつもりでしょうか ____________________ はるにれの木 いつも迎えてくれる大木が2本 その間の根元に立つ僕は その子ども 芝生が途切れてますよ そんな土の上にいます はるにれの木の樹齢300年 中に空洞ができてて あぶない きっと僕が 強くならないと いけないのでしょう ____________________ そろそろかも ご主人様に 引いてもらってる ベビーカーの中にいる犬 思い出したい メロディーがあるのに 決まってそんな日は ヘリコプターのプロペラ音の向こうに 飛んでいってしまう もうそんな上を見上げる 元気などないから こんなにも長いこと 良くしてくれるご主人様に 最後に 歌ってあげたいのに ____________________ トウキビ遊び トウキビに美味しそうな こげめが付かないので 土をまだらに塗ってみる 遊びではないんだろう ____________________ あなたへの電話ですよ あまりにもみんなが 僕を抜いてゆく こんな日は 携帯が鳴り響くので そばにいる人に渡してしまった 「あなたへの電話ですよ」 困ってるようで 動けなくなってしまった そ〜っと携帯を受取ると 何もなかったように やはり 抜いてゆく ____________________ 小雨 風のない小雨の日 ハンカチを頭にかぶり モテたいわけじゃないので これで OK ____________________ 日陰の花壇の面会時間 花壇の入り口には立ち入り禁止の看板が その看板をつるす針金の中に 僕が巣つく どれだけの名外科医でも この腫瘍のような僕を取り除くことは 出来ないようなので やさしく看板ごと揺すってくれたりしては 面会時間の終わるのを 待ちどうしそうにしてる 日陰の花壇なのに きのうも今日も そんな人が来てくれる ____________________ 風に帯 きのうも今日も暑いので 風に帯をつけて 浴衣がわり ____________________ ぽつんと アスファルトに5センチほどの穴が開いてます では僕が行って咲いてみましょう 1本で寂しいですが先発隊というのは そういうものだと うかがった事があるし 枯れ枝が 手の骨だけになった感触で 歩く人の足元にまとわり付いたり 石段の水たまりほどには 踏まれてハラハラしないでよさそうだし 後何本かはいけそうですよ 雪が降る前にいかがでしょう ____________________ 焚き火に縄 焚き火に縄をくべる 熱で跳ね返ることもなく ただ粛々と燃え尽きる 火バサミでつまんでブラブラと 下から燃えてくる そんな焚き火遊びは 思いつかなかったんだろうか 燃やされることもなく 土に埋れて 化石になれる夢をみてたとも 思えなかったんだろうか ____________________ 風にゆれるビニールテープ 僕が道に迷ったのか町が引越したのか いつもの伐採された木や枝が落ちてない いつもあるはずのところにあるのは 草や葉ばかり きのうの雨でか みずみずしい それらを縛るビニールテープから とっても上品な蝶が生まれて やはり風にゆれて まるで飛んでゆきそう ____________________ しずく カップの外にコーヒーのしずくをこぼさない人は 今日はこの町でも雨でしょうと テレビから天気予報が流れると せっかくなので隣町にこぼれないように わが町を縦に拭いてあげる仕草 ____________________ 母親への帰路 いつまでも見上げるだけの 大きくなれないひまわり 高いところで咲いてみる そばで見守ってくれてた母親も あんな風にしか見えない 初めて知る母親の後姿 もう あこにはもどれないだろう 一度子を見失った母親への帰路は 深い迷路 ____________________ ふり向けない 斎場の横にあるバス停 人がいるのに乗らない だれかが通ると 今は何年の何月何日ですか? 何時なんでしょう? だれもが答えようとせず 教えていいだろう事は 斎場の外で必要なことばかり と思えば ふり向けない ____________________ 看板のフリ ソフトクリームの看板を 取り囲むヒマワリたち 風が吹いては 看板のようではいれない ____________________ うたた寝 こちらのお家の夏の窓の 4メーターほどの向かいにも窓があり 開け放たれてて 気持ちのいい風が吹く ここのイスの位置は とってもいい場所にあるので こちらの住人になると こんな夏をすごせるのか あちらのすてきなお家でも こんなところにイスがあって 眠ってしまって・・・・ |
文へ |