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20 top 19 18 17 16 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 生まれたところが恋しい 現れる 飾られた馬 観てこそ 村によそ者 窓を開ける 姉 滴り落ちる花びら 空 龍の巣 春は広い 忘れてた数字 湖の妖精は描けない たんぽぽ待ち 青が気になる白菜 そよ風を おしゃれ着 石門 つくし 梅 や〜 元気? |
生まれたところが恋しい 京で焼かせました 名品の茶碗でございます また僕の自慢話 気がつけば同じ窯仲間の茶碗たちは みんなもらわれてった さみしい〜 せめて上澄みだけでも水に溶け 窯のそばまで流れてゆきたい 何人の人が迎えてくれるだろうか ____________________ 現れる 真っ赤な薔薇のかけらをティッシュに包み 強く握りしめてみる 赤くにじむ 四角い花壇いっぱいに 四角く咲きほこる青い花たちとは 生きるすべや 現れるということの意味が 違うんだと思う ____________________ 飾られた馬 きれいな花で飾られた馬が通る 花をみてるのか馬をみてるのか 分からない人ばかり 孫が生まれたのか 拝もうとしてる人がいる どうだろうと馬には とっても嬉しい日のようで すてきな 絵描きまでいますよ ____________________ 観てこそ こんなにも お天気な日の景色なのに 今日も僕の用事は この景色の中の少ししかいらない ジュースを入れると沸騰するカップ 沸騰しても小さくならない蟹が 土鍋の中で一つがまるまんま 味噌汁に浸かってる ワタリガニのさばき方を 知らない人のつくる味噌汁もまた 観てこそ 楽しむものなのかも知れない ____________________ 村によそ者 こちらの村の名前は なんとおっしゃるんですか まさか神様がつけた 名前じゃないですよね 昼寝もしたいし 柿泥棒という者もみてみたいし うそでみんなを 笑わせてもみたいし ____________________ 窓を開ける 家の中で死ねば蚊は綿ぼこリ 種が迷い込み 階段に草が生い茂り 段を隠す やはり ここまでしたくなるんだろうな 建物の中に迷い込んだ枯葉が いつまでも 踏まれることもなく 捨てられることもなく なのに風は もっともっと と いたずらもの ____________________ 姉 ゆりの花の色も知らなく 花言葉も知らない でも姉花 どちらが先に 富士にかかる雲を いただくのか ____________________ 滴り落ちる花びら かまわずロウソクのロウが あたりに滴り落ちる ピンク色で桜の花びらのようで お天気のいい日の いたい場所にいれてるような気 ハッピーバースデー ____________________ 空 天干しされたされた衣が 空高く飛んでゆく 今日も降りられない 庭ばかりなんだねと 空をもっと空高く 押し上げて見せてくれても 僕には電信柱の上が限界で それ以上の勇気もない ____________________ 龍の巣 強い花だからと 上にリュックをおくと ひょうが降る 雨が降る 風が吹く 龍の巣は薄青くひかり エレキに満ちる雲の中 雷が光るごとに 巣の中が透けてみえる 内緒ではないような振舞い ____________________ 春は広い 茶色に枯れた クリスマス・ツリー 今度の冬は ここにはいないだろう ままごと遊びの子らが お腹がすいて お家に帰る だれもいなくなった 河川敷で会ったきのうの人は 今日は丘の上 春は広い ____________________ 忘れてた数字 忘れていた数字が 押入れの隅からみつかった おばあちゃんの 誕生日が近い おじいちゃんの 何回忌 軟膏の匂いがなつかしく 肩にはってみる 何から逃げてきたくもなのか 自分の巣を食べてては 若返ってる ____________________ 湖の妖精は描けない 森の中の湖は妖怪 水面のキラキラ 光るのは まやかし こんなところでも まばたきの回数分 世界は消える めの前には いつも お絵かきの時間ばかりの小学校 チューリップなら 抜けば サボれるのにね ____________________ たんぽぽ待ち すてきなお家を造ったので 来てください 分かりました でも 似顔絵がそっくりですね といわないと 入れてもらえないと 聞いたんですが そんな事はないんですけど 僕がいないあいだに たんぽぽが咲き始めたようなので 今日から もどれますから ____________________ 青が気になる白菜 白菜 まん中がどんどん育って周りの傷みを栄養に 新鮮な白菜でいる そしてまたまん中が育ち 周りを栄養にする そして いつまでも白い なぜ空だけがそんなに青いの せめて一泊の お宿に 空高く 漂ってみたい ____________________ そよ風を おしゃれ着 雨にぬれる アスファルトに散る桜の花は 喪服に描かれた華 散ったのだから 着る人の顔が とっても上品なのに まだ なにかを にぎりしめたいと そよ風を長襦袢に おしゃれ着 ____________________ 石門 石つくりの門 何百年も前から 今では人ではなく 川の流れを見守る そして川の流れは滝になり 削りとられた大地 石門でさえ ところどころ削りとられ まるで石像 誰かが表札をはめてみるけれど この先は今では 誰のものでもありません ____________________ つくし つくしに影が出来る前に 抜いてしまえ 抜いたからって僕は 食べ物じゃないんですよ ただそこにいるだけなんです 遊んでいただかなくっても けっこうですし ____________________ 梅 春だというのに これから何を仕込もうか 梅の花色に塗られた屋根 梅雨 水筒が空になったころ降れば めぐみの雨 その軒下で年寄り達の話を 盗み聞くと やはり 梅かい ____________________ や〜 元気? 人の顔がおぼえれないので いつもおなじ歩道を歩く 陽が当たらない向きなのに や〜 元気? ____________________ 20 top 19 18 17 16 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 |
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