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さわやかな朝
ホタテ

僕は水飲み場を探せない
松ぼっくり枝つき
漏れるのです
もうひとりの私
小さい子のお父さんへ
チョークでもいいですか

雲から隠れる
消える
乾いた土が欲しい
サンバ拭き
What
なにも考えない
What
春の曇りガラス窓
そば屋の横の水車
夜桜縛り
最後は桜といいたい
割れても持っていたいお皿

さわやかな朝


すき間だらけに刈り取られた
柵の向こうが見えすぎる

なのに今日も
道端に消臭剤が吊るされてる

その効果なのか

小学校の時計が
真新しい入学式の日を
くり返し

僕はさわやかに
ペダルをこぐ

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ホタテ


新鮮なホタテを死亡させてしまった

塩水が濃すぎたのか 

それとも自殺なのか

ぽっかり開いてる

貝の中でもがいていた僕の

長い夢が今とける 

桶の底には はいた砂でつづられた文字のように

生前わたし達は
刺身だったんだと思います

この亡き殻は
メモ書きにお使いください

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水飲み場を探せない


川の水が茶色に濁ってる

どうりでむこうのお山が小さく見えるはず

水平線を描く定規が流れてゆく

海に向かって

僕は水飲み場を探せない

黒く冷たく 
近寄れなくなる前に

すべてを
休ませてあげなければ

____________________

松ぼっくり枝つき


松ぼっくりはいかが〜

今なら枝もついてますよ

松の枝を両手にやさしく持てば
お家までもうすぐ

こんな日は

落花生の薄皮をみても

今日はこんな日なんだと

おもえる

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漏れるのです


山の中腹で

勇退した機関車がどしっと
下界を見渡す

触れてみたくなるけれど
最近の僕は小鳥を連れて歩く

いろいろなことが漏れだすので

しょうがない

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もうひとりの私


生まれてからの この世界

そこから見つめただけなので 自然体

すぐ後ろにいつも感じる

その事もあたり前

少しばかりずれると

重なってた
もうひとりの自分が映る

こうなっては 
見つめる目は2人分なのに

その姿でさえ 自然体

なにも変なことじゃなく

もうひとりの私が生まれてました

拍手さえ待ち遠しい

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小さい子のお父さんへ


子どもが自転車で遊んでる最中なのに
泥がつくとすぐ拭きたがるお父さんへ

ひっくり返ってるクルミは
空だと思いますか

白いペンキのはがれ風に舞うのは
どう思いますか

でも

雨降りの子どものカッパは

可愛いのにして
あげたんですね

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チョークでもいいですか


まだ芽生えない花壇なので

いろいろな色のチョークをさすと
開く前の花

こんなことで供養になるんだろうか

今年も気づかないうちに
たくさんの蟻さんを踏みつけるんだろうね

気持ちだけでも伝えたい

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雲から隠れる


昇り竜のような
みごとな雲が立ち昇る

そして龍のしっぽが大好物な
雲があらわれパクッ

わたしのはいた息は

どこかへ
隠れる

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消える


雲の消えるところがみたい?

そちらでは花は枯れるんですね

こちらでは枯れないんですよ
造花ですから きれいですよ

ふまれてつぶれて痛々しそう

こちらとの境目は 
その石の水車

いやいや
石になってしまった水車
なんですがね

水車の作り方を知りたいと?

時間がありません

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乾いた土が欲しい


雨よけに木の下

乾いた土
でも

ビニールハウスの中の乾いた土を
うらやましがる

小さい子で
温かいところが好きな子

ハウスの中で乾いたさらさらな土に
手をあてて


おとうさんの子でよかった

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サンバ拭き


雪がとけ階段があらわれて雪坂が姿を消す

窓越しにみる地図も階段表記になってる

ガラス窓が曇ると不安になるのに
拭けばふくほど減ってゆくガラス

ステップ場よろしくでテープをかけながら踊る
今年も公園に現れては待ちきれずスコップで雪かきをはじめた
5mほどおじさん

このおじさんの休憩ついでのガラスのひと拭き

上手なんだよ サンバ

みんな拭いてほしがってる

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What


朝 仕事を終え家に帰るだけの
僕の周りの景色や登場人物たちは

すべて プログラミングされた世界で
僕のことは言語にない

深入りしようとすると警笛が鳴る

滑るように通り過ぎるのがコツらしい

凹凸間がないのだから

夕方仕事場に向かう僕は

その日のプログラミングのWhat

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なにも考えない


川のほとりの小鳥小屋も
サーモン館の水槽の横の小鳥小屋も

同じ色なんです

いいんでしょうか

あいだを流れる川の水の
一番素敵な色に似た橋の上からは

小魚がみえて

僕の顔が映ってて

なにも考えない顔をしてる

____________________

What


朝 仕事を終え家に帰るだけの
僕の周りの景色や登場人物たちは

すべて プログラミングされた世界で
僕のことは言語にない

深入りしようとすると警笛が鳴る

滑るように通り過ぎるのがコツらしい

凹凸感がないのだから

夕方仕事場に向かう僕はその日のプログラミングのWhat

____________________

春の曇りガラス窓


クマの出そうな生い茂る山は深海

道からも見晴らしがよく ずっと向こうまで
なだらかな傾斜の山肌は遠浅な海

曇りガラス窓に
何層にも横にひろがる影が

海水を真水にろ過してくれるのか

開けてみると はるか向こうの山に緑色の松ノ木があるだけ

曇りガラス窓のいい加減さが

なんか丸〜い

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そば屋の横の水車


そば屋の横におかれた水車

小川が流れてるのでもなく
回ることなくおかれてる

なんの木で作られてるんですか
重たいんですか
いつまで働いてたんですか
お若いんですか

知ってるものには
きしむ音まで思いだせて

きれいに塗られた黒光りだけが
現役時代にはかなわなかったこと

口ぐせは きっと

任せてください

だったんだろうね

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夜桜縛り


灯篭が置かれ

中には裸電球

妖しい文字が浮かびあがり

訪れるものたちの背中へ

買ってもらったおもちゃは置いてけ

明日お前の家の
庭の木につるしといてやる

一晩おらの子に遊ばせろ〜

物の怪のお楽しみ

夜桜縛り

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最後は桜といいたい


突然鏡が現れて
僕を見つめる

葉の付かないこの時期の木は老いて見え

今が一番水のいらない時にみえる

僕の中の水分を保とうとする鏡はじつは雨が嫌い

鏡に向かいながらする生け花は

すてきな遊び

そんな世界も 雨が降れば

夜汽車の窓

桜の花びら舞うむこうに

立ちつくす僕が映る

なにか気づかないといけないはずなのに

どこに着いたからなのかさえ分からない

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割れても持っていたいお皿


風に頼みごとをすると何でもかないそうで

きれいなお皿を
盗むのをやめる

盗もうと差し出した手は
震えはおさまり

両手を広げ 空に広げ

透明なんだから
落ちずに宙に浮いててもいいのにと
雨に広げ

もし そんなことが出来たら

あのほしかったお皿も宙に浮く

屈折された光景に質量が

落ちて割れる音だけは

むこうのお山に吹き飛ばしてほしい

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