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いたみ
僕はランナー
公園の雪解けが気になる
うそではなかった

こつこつと
まともじゃない
ふくよかに枯れる
道つくり物語
散歩
海岸の空
春に立ちたい

戦場の炊事場
市電はフォークの歌詞

春へ
育つ庭
逆光
春のボタ雪景色
赤い月
煮干

微妙な季節
春の田舎


いたみ


みえないほどの小さなトゲも

夢の中では鋭利な割れたガラス

指の先に刺さり 痛い

血は出ていないので

ガラスの美しさが際立って

ジグソーパズルの1片なのかもしれなく

捨てれない

夢から覚めても
指先のいたみが消えない

チョッとのうそをいただければ

この景色のどこかに

パチンと
はめ込めるのかも知れないのに

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僕はランナー


歩道のタイル模様が
どれだけ渦を巻いてようが

まっすぐにひた走る僕は

ランナー

蟻さんは?

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公園の雪解けが気になる


そんな高いところに持ち上げないで

とっても近づきがたくなる

そんな高いところにないと
みつける楽しみがないかのような

雪のすっかり落ちてしまった
木の枝には
また雪が 

いつ落ちるんだろう

遊び上手な公園の雪解けが
宿題を出す先生に影響を与える

そんなところでさえ
上をみては よけて通る人がいる

まだ他には
人の入らない公園なのに

知人に 今 
会いたくって

公園の外ばかりをみてる

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うそではなかった


湖の横に

雨水がアスファルトをおおい
月が写り きれい

今日は湖に入るわけではないので
ゆっくりできるよと月が

水鳥たちは寂しく 
夜空高く月をつかまえに行く

もうすぐ

何も出来なかった夜に
手をのばしてただけだと
気づくけれど

うそではなかった

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こつこつと

石が積み上げられても
古い順ではないのが分かると

こつこつと積み上げることしか
知らない者には

切ない話かもしれない

上に古い石があれば
せめて

一筆の色でも
華やかに

飾ってほしい

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まともじゃない


大きな蛇がものすごい勢いで
こちらを目がけて走ってくる

僕はアスファルトのすき間に
隠れるために 体を分身

その分 一つ一つが小さい

すき間に入れなかった分の僕は
わざわざ
か弱いウサギになって逃げる

10体はいる

やがて 追いつかれそうなので
6体が一つになり お母さんウサギになり

犠牲になる

お母さんを愛せない
子どもがやはりいたんだ

その様子をみてる お母さんウサギは
怒らないんです

気づいたら そのお母さんウサギは
6体ほどに分身をする

自分の子供に似せ
みんな犠牲になる

なんでそんなことができるの ?

心の中でそんな狂気が満たされはじめてるのに
蛇は食べるのをやめようとしない

気持ちが悪い

はやく

目ざめたい

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ふくよかに枯れる


自然に出来たんだろう

ボリュームもふくよかにドライフラワーのような
花の形を残す一株

あちらにも こちらにも

道にそって

ドライフラワーの里?

枯れたとはいっても すてきで

橋を真っ赤な紅で

塗ってあげようか

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道つくり物語


雪のとける前の公園で
新しい道を作る

前の道は雪がとけても
使われないことになりました

この雪を踏みかためたところが
雪がとけても新しい道となります

とても楽しいことをしてる

足跡はたまに道ではなく
あなたの名前を描こうとするので

恥ずかしくなる


車のバックギアーの音が好きだったことを
思いだして 振り向く

ここは車侵入禁止の公園なのに
入りたがってる

ビー玉が雪に落ちただけで
割れるほどの限界点


雪の上に吹き溜まる枯葉の下では
けっこう物語が進んでるそうなんですが

内緒らしいんですよ

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散歩


雪がとけ 
山肌があらわれ

山に さわれるほどの道も
目の前にあらわれる

大発見

川の流れ

聞こえるよ

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海岸の空


砂浜の不確かな足もとの感触を
心の中でつつみ

青い空をもとめた人は
そっと 小枝をひろい

空にむかって描く文字は
地平線にしずむ

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春に立ちたい


電信柱は ほどよい高さ

砕かれた心は廃墟が姿
とっても赤い服は着れそうにない

歌を何曲も混ぜ込めた
うその心強い歌が響く中

電信柱にさわってみても 冷たい

この層でさえまだ冷たい

電信柱の上に立ち 
かっこつけたいけれど

もっといろんな事が温まってほしい

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戦場の炊事場


雪深い草原に
炊事場がポツンとある

毎日そこで大量の食事を僕は1人でつくる

その草原は広くって ず〜っと向こうでは
今日も戦争に明け暮れてる 

この草原が深い雪じゃなかったら
きっとここも戦場になってたかもしれない

あまりにも長い戦争なものだから

毎日 毎日つくるご飯はどちらの兵士達のために
つくってたのかさえ忘れてしまった

だんだんと
どうでもよくなってきてる

しばれる大草原でも
この職場はこんなにも温かい

なぜ僕だけが 
こんな恵まれたところにいれてるんだろう

せめてもと
寝る時にも明かりを消さないようにして

この明かりが
少しでもみえたなら

癒しになれば

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市電はフォークの歌詞


市電の発車のベルが
僕のリュックの中から鳴る

チャックを開けると やはり
市電がちゃっかり入ってる

なにから逃げてきたんだろう

また ベルが鳴る

早くどこかに行きたい
といってるようなので

タクシーに乗って
「ゆっくりでいいですから
安全運転で走ってください」

というと やっと市電が
安心と満足を手に入れたように
うとうとしてる

でも その車内のお客さんたちの
しあわせとふしあわせを

外にこぼれないようにするには

僕が子守唄に 歌って
あげないといけないのかな

市電とフォークソングが
仲良しで

うすよごれたアパートに帰ってた歌を

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春へ


何かきのうまでしてた 
その手をとめて

裏返す

冬という芸術から

春へ

大きく息を吸って 吐いて

これからは

また 少しだけ

遠くへも

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育つ庭


お婆〜 馬車がくるよ

じゃ 馬糞を集めておくれ

うまくやるんだぞ

もう馬車がめずらしくって
みんなに見られてるな

肥やしさ 肥やしさって
さけばなくっても

みんなの家が庭でつながってるんだから
だれもが分かってる〜

いい野菜を作って
おいしそうに育てて

庭越しの話ほど
どうでもいい話も 
ないもんだって

みんなで笑いながら

キューリでも
もごうかね

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逆光


逆光の中

みんなで楽しそうに わざと
むだに写らない写真を撮りあってるけれど

それは 太陽が近づいてて

もうすぐ ネガの中で みんな
燃えてなくなるってことなんだって

気づいてるのは 

そう

右から二番目でうつむいてる 

あなた! だけ

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春のボタ雪景色


よそ様の軒したをおかりして

春のとっても降るボタ雪をながめては

砂絵を消しならす手で

目の前の景色から
なぞった分の雪景色を消し去る

とっても降る雪なのに 

春なので 

ゆっくりともどってゆく
なぞった分の雪景色

犬が吠えても おかまいなし

冬ががんばろうにも おかまいなし

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赤い月


薪が火の中で
真っ赤に変わる

やがて出来るオキはキラキラと
燃える夜景



このまま吸い込まれてしまうよりと

夜空を見あげれば

そこにも

赤い月

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煮干


煮干のしっぽをつかんでみつめる機会なんて
なかなかあるもんじゃない

親指と人差し指でつまんでは
頭を上に向けて持ち上げてみる

下に向けて振ってみる

う〜ん なにか思いつけそうなんだけど

こんなに乾いては すべては遠い過去なのか

思いつかない


なぜなのか 

横や斜めに持つと
後はマヨネーズ醤油唐辛子皿行きの

食べ物としてしかみられなくなる


きっと 味方なんだと思う

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微妙な季節


大きな木があり通行の邪魔

どうにか少しの下りこう配に助けられ
横を通り過ぎると 大きな衣がたなびいている

ガラス窓の向こうなのに

どこから吹き降ろしてくる風なのか

背丈が低く見えるほどの山が遠くに

どうもあそこから吹き降ろしてくるらしい

僕らの足元の雪はとけても

そういうお家へはまだとけない雪と
お山がつながってるのかも知れない

まだまだ 

微妙な季節

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春の田舎


春たずねたくなる田舎

あそこの公園の雪がとけると
ほとんどのところでとけるんだし

雪の下の砂利の感触がぐらぐら

もうすぐ 
足元がしっかりする

思い浮かぶおばあちゃん

その頃咲く花は コブシかチューリップか

桜はまだでしょうか

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