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北国人のやさしさ
番人
気合がない

風が吹く〜
サッポロの冬朝
飛び込み台

吠える犬

さびは遠く

曇り空
地図に人は写らない
テーマ曲に吸い込まれる

綿雪
地球の終わりのような夜
今日の一歩
霜凍るガラス窓
冬のお地蔵さん
未来の冬への備え

一文字消える
想い

北国人のやさしさ


晴れの日に行きたい坂道がある

曇り空の日に行くとアスファルトなのに
膝までぬかり歩きづらい

そんなおもいで歩いてるのを
すれ違う人に気づかれると
恥ずかしいので

「白樺 倒れてなお深い雪の中
白樺 倒れてなお生い茂る草の中」
と小歌を口ずさみながら

ぬかる足を持ち上げては
次の一歩に前へ

そんな時の
白樺の小歌が聞こえた人は

倒れた白樺はどこ
焚き木にいいのさね 
父ちゃんと今度拾いにこよう

と遠くに目線を流す

それが北国人のやさしさ


____________________

番人


公園の小山がなくなったのは
子ども達が大きくなったから?

ピアノ教室がギター教室になったのは
往来の顔ぶれが変わったから?

ひとつ ひとつ景色のパーツが減っていく

おかげでとっても歩きやすい世界になって

帰った家には掃き集められた景色たちが所狭しと
巣くってるだろうから

今日も家のドアノブを開ける
だいぶ手前の寒空で手袋を脱いで 

シャキッとすると
なにもいない部屋にひとり

この街の番人のような夢をみれるはず

夢に出てきた雪山と
春の葉の芽ぶいた山の大きさを話題にしては

訪ねてくる人たちをはぐらかし
早々に帰ってもらう夢ばかりで

こんなにも居場所がいとおしい
番人なものだから

かっこが悪すぎる

____________________

気合がない


走ってみても足元からなえていく

べつに砂浜を走りたいわけじゃないけど
気合のなさを感じる

走りながらのあくびは
むずかしいし

どこをどう走ろうが
どれだけ走ろうが

帰るのは家へで

お風呂に入って

寝ることだし

____________________

風が吹く〜


風が吹く〜

やがて
端っこの方はみんなについていく力はなく

しょぼしょぼ

お年寄りなのか 幼なすぎるからなのか

落ちた先への土産話を盗み聞きしたいけれど

一度で終わる会話術のようで

聞き逃してしまう

なんと 
思わせぶりなこと

____________________

サッポロの冬朝


さびたシャッター
そしてこの寒さで凍ってる

無理やり押し上げる音は
中にいる怪獣の
雄たけびかと思うほどの
言えもしない音

空に舞い上がろうにも
ふくらまされた事のない折鶴が
雪の上に立てずに
横たわってるので

またぐことが出来ない

きのうも雪解けに反射する光だまりを
またぐことが出来なかったばかり

半開きシャッタ−で頭をぶつけた傷跡と
記憶を引きずりながら

シャンプーと爪の掃除を
同時にできる自慢のひと時をと

風呂からの仕切りなおし

____________________

飛び込み台


向こうのビルの屋上からは飛び込み台のようなものが見える

とっても高いな 

あんな高いところから飛び込めるもんなのかな

見渡すとマンションの屋上からも飛び込み台と思えるものが見える

その隣の建物からも  

この辺では建物を建てるときの決め事なのか

この足元に広がる
人っ子一人いないスーパーの駐車場は

なに?

____________________

吠える犬


よく吠える犬の声が聞こえなくなって
しばらくたつ町内の一角

亡くなったんだろうか

だとしたら通行人には
突然なこと

だいだい色に変わりはじめた
ナナカマドの実も

白い雪に落ちれば 

まだまだ
赤いナナカマドでいれる

人に生まれ変わるなら

掘りだした石に
片足をかけた立ち姿が

攻撃的でない者へと

生まれ変わって欲しい

____________________




地中のはるか下の
泥を固めて住まう 物の怪たちの
地上に出ては はいかいする

雪の白さにまだらに現れる
土気色の足跡を

春のおとずれと
勘違いする人がいるけれど

解ける雪 
濡れるままの地上にふりそそぐ
太陽の光が 乱反射

おもわず まぶしい

それこそが 春

____________________

吠える犬


よく吠える犬の声が聞こえなくなって
しばらくたつ町内の一角

亡くなったんだろうか

だとしたら通行人には
突然なこと

だいだい色に変わりはじめた
ナナカマドの実も

白い雪に落ちれば 

まだまだ
赤いナナカマドでいれる

人に生まれ変わるなら

掘りだした石に
片足をかけた立ち姿が

攻撃的でない者へと

生まれ変わって欲しい

____________________




地中のはるか下の
泥を固めて住まう 物の怪たちの
地上に出ては はいかいする

雪の白さにまだらに現れる
土気色の足跡を

春のおとずれと
勘違いする人がいるけれど

解ける雪 
濡れるままの地上にふりそそぐ
太陽の光が 乱反射

おもわず まぶしい

それこそが 春

____________________

さびは遠く


Look at me

うんうん

川の 流れ 一筆書き〜


I'm as helpless as a kitten up a tree

うんうん

汚れた縄紐が大きな樹の周りに垂れ込めてる


I can't understand I get misty just holding your hand

う〜んうんうん

縄紐がしだれる大樹 なんて素敵な響きの言葉として
心にひびく


う〜あ〜 ん〜ん〜

さびは

まだまだ 遠く

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曇り空


曇り空の日に書いた友からの手紙がとどく

今日はこちらも曇り空なので
ていねいに何度も読み返し

晴れの日には引き出しの中

曇り空の日には取り出して読む

空に飛んでいけば最後の一枚なのに

風は吹かないので

僕の日記帳の一ページに

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地図に人は写らない


あってる あってる

この家の屋根の色 あの松の木の育ち加減

初めての自転車でぶつかった電信柱も木製のまま

1本うらには めだかがいた小川

その向こうには神社が

長いじゃり道で大変だったんだけど

うれしい そのままだ

みんなで相撲をとる土俵を土に
ま〜るく線をひいたんだけど

そのままになってる

なつかしい

この地図は正確だな 

今度は ず〜っと後の地図を手に入れてみようか

いや この頃のだけでいいかな〜

____________________

テーマ曲に吸い込まれる


物語が終わり
テーマ曲が流れる

曲を聴く僕が今

主人公

だんだんとスクリーンが
すり鉢状になってゆく

底には ポッカリと穴があらわれる

出口なのか入り口なのか
歌詞にはヒントはなく

ないままに曲が終わり

スクリーンはもとの平らな形になり
消えてゆく

穴だけを残す

けっして丸ではないんだと
化けてゆく穴の形に

なすすべもない

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綿雪


ちぎった小枝に綿雪をからめ

大切そうなのに 片手で持つのが形

こんな寒い日は軽い雪なのでいいけれど

落としてしまっては 終わってしまう

いやな雲を 
やり過ごしたくなる心が
今日は目ざめません

ごほうびでしょうか

通りすぎる家の窓という窓から
こちらをのぞきこむ住人の目が赤く

雪うさぎのようです

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地球の終わりのような夜


紫とも赤ともいえない色のテーブルクロス

この色が好きで広げる

おかれた お気に入りのグラス越しに
テーブルクロスの色が透けてみえ

テーブルクロスの色に包まれた
空のグラス

静か

地球の
終わりのような夜

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今日の一歩


ささやかな水たまりの横の
断崖絶壁の上から

はみ出る靴の
先端部分が映る

このスクリーンのすみっこに

祈りを忘れたままでは
無事はおぼつかないと臆したのか

今日は一歩があまりに
むちゃな事に思えて

立ちつくす

それでも行かなきゃと思うと

不快な引きずる足音に
なやまされそうな気までする日

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霜凍るガラス窓


白く美しく
霜凍るガラス窓

その窓を通る光は

キラキラフレアに 

ふりそそぎ

部屋の壁には

白い花が映しだされ

ガラス窓を
解けたしずくが

つたえば

白い花からは

光のしずくが

落ちる

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冬のお地蔵さん


今日は
まだ薄暗い頃から歩きました

ここの
町内会長さんに言いたいことがあるんです

お地蔵さんのことなので

どっちでもいいというわけには
いかないと思うのです

考えてる間 もう少し歩いてきます

お地蔵さんの後ろに着くように帰ってきます

町内会長さんに
ハッとしてもらえるようにしますので

気づいてください

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未来の冬への備え


寒い冬には月も凍る
と思われてた

石器や わら縄もない頃を
すごし生きてきた 

その末裔の僕らは

石器でさえ 
わら縄でさえも持たない

今でもどこかで大切にされてるんだろうか
語りつがれてるのだろうか

でなければ やがてめぐりくる原始の時代の
冬が越せそうにない

せめて木炭だけでも
忘れられることのないように

語りつがれてほしい

ひゅ〜

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一文字消える


いつでも
会えると思ってた友と

もう
この歳になってまで

会ってない

流れる時は

一文字残し 一文字消え 
一文字消え 一文字残し 一文字残し

こんなにも
あいだを空けて過ぎるのかと
今になっておもう

そして そのすべてが
ひと昔の中でのこと

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想い


空中に浮く素敵なモノがある

質量を持たず 何にでも
染みてゆく魔力をもつ

夕日にくっ付いては 夕日という名に身をゆだねて
染みてゆく

冬の花は暑さも日光もにがて

その花の名を読む人がいれば
宙に放たれた花の名にくっ付いて染みてゆく

質量をもたないこのシロモノは
それだけでは名も持たないのだろうか

感じたままに ゆらゆら

得意なのは時を振り返ることだったとも

聞いたことがある

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