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自転車置き場に犬
ぬくもり
奥ゆかしい
誘う枝
自分流
三角定規
光のしっぽ
春待つ つぶやき
小道を行く

イモ
名外科医
恋しい

望むものは
雪の上のナナカマド

この国は 美しい
青い空の下
抱える
お香
波打ちぎわの まばたき

自転車置き場に犬


スーパーのせまい自転車置き場

大きな犬がつながれてて
自転車が置けない 

自転車の少ない冬の風情?

たくさんの自転車の中で
隠れるように座る楽しさは

トウキビ畑でのかくれんぼに似て

春が恋しい

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ぬくもり


秋の落ち葉を布団代わりに
森で寝ると気持ちがいいよと

にせ癒し人がいっても
心地のよいぬくもりは感じられない

一枚の写真にむかって
「時をとめて」

そんなおもいで森にかけてった

かなわぬ帰り道は 

冬景色

雪の中に埋もれた手袋の中のぬくもりが
描ける人に生まれ変わってたなら

すてきなのに

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奥ゆかしい


豪雪ふる里

その川に落ちては流れる雪解け水より
小石に積もる雪帽子こそが今

去年の思いでがとけずに

見えるものすべてに
おおいかぶさろうとするので

重さを感じる

その下で
今年の思いでは 

まだまだ

小さく
奥ゆかしい

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誘う枝


土の代わりなのか

雪の上に枝振りのよさそうな木を
植えた人がいる

僕なら
ありえないところに植えて

土に彼らの限界を見せつけるかも

なのに雪の上

花が咲かないのは
耕すことを知らないから

実を宿さず
妖しげな姿のままで果てる

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自分流


景色のすべてに

めっちゃやたらに
名前をつけたくなる

みんなが呼んだことのない呼び方

映るものは 信じなきゃと

自分流’

でも人と話す時には

みんなとおなじ呼び方をする

そんな時の心の中は箇条書きで

あふれてる

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三角定規


雪のうえに三角定規が2枚落ちてる

それぞれが不規則な角度をさすので

まわりの景色がカシぎだす

だんだんと定規の輪郭が
雪にとけて開放されても

まん中の穴のそんざい意味は残り

さらに景色を丸くのぞかせ

少し 息苦しくさせる

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光のしっぽ


真夜中でも太陽の光は頭上のはるか上を飛んでゆく

でもやはり足元は暗く

光のしっぽから

少しばかり落ちてくる
明かりをたよりに歩く人がいて

キラキラしてて うれしそう

帰り道でのこと

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春待つ つぶやき


とけた雪が凍って氷になり

行く人が歩きづらく難儀いたしております

これは今も昔も変わらないそうで

町内にもこれほどひどい路面の状態の
日数を かぞえたものはありません

年に一回が相場と思ってるのに
違いないのです

昔でさえ 今でさえ
「きのうはひどかったね
あとは春になるだけさ」

の言葉に癒され

つぶやく日のこと

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小道を行く


行きたい道は横にあるのに

日々気をつけなければ
いけない事だらけなので

やはりまっすぐな
いつもの帰り道をえらぶ

気軽に道をえらべる人の後姿は
あ〜なんだと

思わず横に去る後姿に
指をさしそうになる

角をまがって またまがって
次の角で先ほどの人と鉢合わせ

どちらも
見送ってくれる人がいれば

どこかが違ったのだろうか

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イモ


イモの注文がきたので冷蔵庫から
これといった大きさのをとり出し

皮をむくことにする

とっても手に馴染むイモもあって

このイモはイモ畑のどの辺にいたものを
掘り起こされたのかと思ってしまう

畑の一番はずれで羊蹄山の姿を浴びることも出来ず

はずれなので土も薄く寒く

そうだね
今の方が幸せだよね

と なぐさめにならないような小声を
かけながら もう一度きれいに洗ってあげる

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名外科医


リュックのお腹にチャックがついてる

いろんなものが簡単に取りだせる

2度と戻しちゃいけないものもあり

丁重にしまわなきゃいけないものもある

なのに今日も一日手なれてて
なにもなかったように押し込んでチャックをとじる

手術は成功

僕は今日もニセ名外科医

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恋しい


明かりが恋しくって 山から下りてきたけれど

たどり着いたその光は 青白

ならマッチをすってごらん

といわれても 

そんな物語も 寂しいところだけしか知らない

山からは揺れて見えたから 恋しかったのかな

と 切なくなる

忘れられない名はあるのに

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白い上に広がる雪国の冬

誰かの落とした黒いマフラーが カラスのようにヒラヒラしてる

子どもの落とした手袋にはマジックで「なつ」と書いてる

なつちゃんの?

雪で狭くなってる道を「サラダガス」という車が通る

きっと僕の見間違いだろう

白い雪の上の あちらこちらでのことなので

すべてが関連しない



つながらない

鳥がいない

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望むものは


いやなものは片手に

望むものは青空に ふる雪

鳩までが勢いよく訪ねてくるものだから

少し身をかがめてしまう

周りにつかむ物がある日と
ない日がある

慣れなければいけない この道が
明日も僕にしか見えないなら

ふる雪の出どこぐらいは捜せれないと

これからも空を見上げる仕草が

祈りにしか見えないのかもしれない

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雪の上のナナカマド


砂漠に雪がふる

豪雪地帯にかわる

砂漠だったことを知る人は とっくに温かい国へ引っ越してって

残された人たちは来る日も来る日も 雪だるまばかり作ってる

楽しそうだけれど

この白さには ナナカマドは落ちてはこない

あの真っ赤なナナカマド

それならば 明日には僕も
温かいところに引っ越そう

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この国は 美しい


この国は 美しい


小川は狭く川の魚も小さく ほど良く

石や岩に藻が生えた庭も ほど良く

大きくはない池に生き物が ほど良く

小道にかかる木の実が
風に見え隠れしながらも鮮やか

山と人里の道のりが ほど良く

この国は 美しい

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青い空の下


金物屋のスコップや雪かきなど カラフルな色彩で

小さい子が おもちゃなのかな?と 戸惑って

中々そこを離れられないでる

目はキラキラ 親も思わず笑顔

空が青い〜

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抱える


向こうから花束を大切そうに抱えた女性が やってくると思ったら

抱えられてたのは花のような赤ちゃんでした

パチパチパチ

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お香


お香の老舗の前を通ると いつも
その店構えに引き込まれそうになる

目に見えないお香

煙となり漂う お香

山里のなごりなのか
横には大きな木が生い茂り

上からの店構えまでを想像させてくれる

こんなにも優しく
時代がさかのぼったのでは

お香は 癒しの姫

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波の まばたき


パーッと目を開け
すーっと目を閉じる

まるで寄せては帰る波のよう

うちよせる波の下で僕は砂になる

そこまでは分かるけれど

足がないので相変わらず そこにいる

まばたきをすると今日も 
からだに なにかが染みてくる

枯れることなくどんどんしみて

どこかが崩れては旅立つ

もう戻ることはないだろうと

手をふろうにも 気づけば手もない

もう少し待ってみて
そう目を閉じたままでいてみて

きっと夢がすべてをくれるから

夢の中でだけだけれども

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