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13ページ top 12ページ 11ページ 10ページ 9ページ 8ページ 7ページ 6ページ 5ページ 4ページ 3ページ 2ページ 1ページ 小さな階段 乳母車 雪ふる空へ 集会場 ぬいぐるみ 明るいところと暗いところ 守り神様 大型犬 顔 冬支度 冬の泡 みんなで復唱 落ちた時間 のんきな氷 優しさ? 峠 枯葉 煙突 ナナカマド 異星人 |
小さな階段 マラソンコースにどうしても通りたい小さな階段がある そこさえ通れるなら 雪だモノどんなにコースが変更されてもかまわない そんなかたくななおもいでいる夜中に 僕の人生をも心配してくれる電話がなる 受話器の向こうから聞こえる親身になってくれる声に その階段を登って振り返り 元気に 笑顔で手をふりたくなる ____________________ 乳母車 小さな商店街の洋服屋さんに いつまでも売れずに 一番目立つところに おばあちゃん用の冬着が立て掛けられてる この商店街の守り神様のよう こんなに雪なのに むこうから ベビーカーを一生懸命に押す お母さんがやってくる そのおばあちゃん用の冬着の前にソリの付いた乳母車が お好きにお使いください とメモが付けられて置かれてる もう一枚めくると 子供が大きくなるのは早いのよ 今’使ってあげてちょうだい って ____________________ 雪ふる空へ 雪の降る日に飛ぶカラスがいる 深々と降る 雪が好きなのか まるで初雪の朝に開けた カーテンの間からみえる景色分だけで その日を満足しそうにみえないのは 幸せを下界に見るくせがあるからなのか それでも こんな日は もっと もっと 高く飛びたい ____________________ 集会場 南国から越してきたのが分かる集会所 カタカタと風にゆれる一重窓は寒そうで 外からも内からもいたたまれない 薄緑色の木枠 ところどころペンキがはがれてる 今までの雨を吸って これから起こるここでの集会に集まる人たちの 上手く渋い窓を開けれた人が 今日のヒーロー そして敗れたものは拭いても拭いても 取れないテーブルの黒ずみを 習字に例えて 窓の薄緑色の木枠に塗り込んでは 不気味に微笑む 北国では 使いこなされることのない建物なのかもしれない ____________________ ぬいぐるみ フリースジャケットのチャックを ず〜っと上までしめる 温かい 次は ぬいぐるみの頭をかぶるのが自然な流れ 今日は何をかぶろうか 雪の上に犬の足跡があるので その通りよつんばになり なぞり歩いてみる まだ上手くない 人間が入ってるんだって 分かられてしまうと思う 動物のぬいぐるみをかぶる気がしない日もある そんな日は何もかぶらないですごしてみる チョッと 辛い ____________________ 明るいところと暗いところ 電球に傘が付くと 明るいところと暗いところをつくる 光と影のある部屋 ゆるす人がいて ゆるされる人がいる そしてどちらも うつむき 表情は 影の中に消える ____________________ 守り神様 早く春になれ 楽しいことだけ解けずに残り 拾い放題 悲しいことがまだ体に残ってたら 再発しないように 背中に感じる守り神様に祈る ____________________ 大型犬 昨日までが雪に覆われて白い もう飽きるモノや まだ心に合わないモノ チョッと掘れば まだ緑残る草が顔を出し いろいろな色があらわれるのを知ってる 大型犬 ズ〜ッと向こうから振り返ると 掘り起こしたはずのこちらは やはり白く見えるのも知ってるような大型犬 その雄々しい彼らには 服は似合わない ____________________ 顔 粗相の後片付けをご主人様にまかせ 振り向く犬の顔は 狸かアライグマか 向こうからやってくる カラスの鳴き声をマスターしたおばさんも 僕とおんなじことを思ったようで そんな犬の顔をみながら 両手で口を押さえて笑う せっかく手で顔を隠さなくっても 恥ずかしくないくらいに カラスの鳴き声が出きるようになったのに もう笑いがとまらないようで 手で顔を覆ってはカラスの笑い声 それをみてる犬と僕はきっと 同じ顔をしてたんじゃないだろうか ____________________ 冬支度 来春も人目につく花と 人にみられることもない花 冬支度中の庭職人は隔てなく手入れをする 花の名を書いた立て札まで引っこ抜くのはそのため 冬支度という未知の言葉が 植えられたばかりの種に ゆりかごのように 心地よく響く 土の中 ____________________ 冬の泡 アスファルトの隙間から育った藻 とても柔らかそうで 清い水だけで育ったかのようで そこにナナカマドが落ちてくる 渇いた喉でみる そんな景色はとっても水々しい 裸足になろうか 水溜りの氷が解けるとき泡がでるけれど 春のおたまじゃくしの泡じゃないよ 冷たいんだから 裸足になるのはおやめなさい ____________________ みんなで復唱 ナナは薄青 カマは燃える赤 ドは土気色 ナナカマド みんなで復唱してみたいけど きっと あの子は 笑いころげるんだろうな〜 ____________________ 落ちた時間 落ちてさらに枯れる枯葉に 枯れて朽ちた花びらを ほぐして 散りばめる 寒気に 吐く息の白さが妖しく 呪文をとなえる ここを通ることに使われた人たちの落ちた時間が 再び気をもたげては 枯葉の表面に草露に姿を変え キラリと光る それだけで土の中に帰ってゆく 土産話にじゅうぶんなことが出来たと 口々に ささやき合いながら そんなにも 人々の日々の使われた時間というものは 輝くことに憧れながら落ちてゆくものなのか ____________________ のんきな氷 自転車のスパイクタイヤで 砕かれた氷は 行き場を知らないはずなのに いい気なもので もう はじかれたところでおさまる のん気者 悲しいことがないわけでもなく どこかに溶けた水溜りがあれば それは 熱湯を注がれた花瓶の中の生花の夢 去る季節も くる季節も まだまだ魅力なし ____________________ 優しさ? 薄っすらと雪の敷き詰められた河川敷に もう人は来ないだろうと思ってか 魚が川から上がってきたような後が残る 人の足跡と犬の小さな足跡があるのに 一つの足跡の中に入ってみたけど次の足跡はその向こう 理解できてない 誰か自転車のタイヤの1本線後を川に向かって 付けに通ってあげればいいのに でも それは優しさというのだろうか ____________________ 峠 峠なんて行ったことがない じゃり道 馬車の後 がんばって歩いては 峠のばあさんがいる団子や 涼風が気持ちがいい さ〜そろそろ行こうかね 後は下りだけじゃよ 急いじゃったから土産話を聞くのを忘れちゃったね そうだね わっはっはっは もうひとふんばり もうひとふんばり 知らない街の宿までもうひとふんばり 温泉が評判らしいよ そうかい それはいいや〜 こんな峠 どこかに ありますか? ____________________ 枯葉 枯葉があって当たり前な外から逃げては 部屋の窓から見える秋 風にも飛ばされ 毛糸にもまとわり付くのだから 終着点がステレオの上の日もあり スイッチを入れるまでもなく ミディアムに響く オータム リーブス ____________________ 煙突 煙突から煙が立ち昇るのを最近みましたか レンガで積み重ねられた煙突は危ないので もうつくられてませんよ どれだけがんばろうが雲の下 いわし雲のマネなど出きないし 悔しさに みつめられた僕は月 部屋の机の上には煙のために小さな煙突が用意され そこから立ち上ることになった煙は月に見守られながら 今日も心地よく煙を吐く たまに爪楊枝で煙突掃除をしてあげる いいな〜 とっても 癒される ____________________ ナナカマド 冬ごもりの公園 飲み水がとめられてる 寂しい この実を食べてと いうけれど 届かない微妙な背丈のナナカマド すでに葉は落ち まるで実が花のよう 雪の上に落ちる時までがんばれ 僕はおかげで 喉が渇く ____________________ 異星人 最古の遺跡 こんなにも大きな石はどうして運んだのだろう 石だって燃えカスになれば軽いのさ そう思えば運べる そう告げる祈祷師がいたに違いない そして祈祷師の懐には 今でも作れなさそうなほどの精密な図面が 異星人か 13ページ top 12ページ 11ページ 10ページ 9ページ 8ページ 7ページ 6ページ 5ページ 4ページ 3ページ 2ページ 1ページ |
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