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小さな階段
乳母車
雪ふる空

集会場
ぬいぐるみ
明るいところと暗いところ
守り神様
大型犬

冬支度

冬の泡
みんなで復唱
落ちた時間

のんきな氷

優しさ?

枯葉

煙突
ナナカマド
異星人

小さな階段


マラソンコースにどうしても通りたい小さな階段がある

そこさえ通れるなら

雪だモノどんなにコースが変更されてもかまわない

そんなかたくななおもいでいる夜中に

僕の人生をも心配してくれる電話がなる

受話器の向こうから聞こえる親身になってくれる声に

その階段を登って振り返り

元気に 笑顔で手をふりたくなる

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乳母車


小さな商店街の洋服屋さんに

いつまでも売れずに 一番目立つところに
おばあちゃん用の冬着が立て掛けられてる

この商店街の守り神様のよう

こんなに雪なのに むこうから
ベビーカーを一生懸命に押す
お母さんがやってくる

そのおばあちゃん用の冬着の前にソリの付いた乳母車が

お好きにお使いください とメモが付けられて置かれてる

もう一枚めくると

子供が大きくなるのは早いのよ
今’使ってあげてちょうだい って

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雪ふる空へ


雪の降る日に飛ぶカラスがいる

深々と降る

雪が好きなのか

まるで初雪の朝に開けた
カーテンの間からみえる景色分だけで

その日を満足しそうにみえないのは

幸せを下界に見るくせがあるからなのか

それでも こんな日は

もっと もっと

高く飛びたい

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集会場


南国から越してきたのが分かる集会所

カタカタと風にゆれる一重窓は寒そうで
外からも内からもいたたまれない

薄緑色の木枠 ところどころペンキがはがれてる

今までの雨を吸って

これから起こるここでの集会に集まる人たちの
上手く渋い窓を開けれた人が 今日のヒーロー

そして敗れたものは拭いても拭いても
取れないテーブルの黒ずみを

習字に例えて

窓の薄緑色の木枠に塗り込んでは
不気味に微笑む

北国では
使いこなされることのない建物なのかもしれない

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ぬいぐるみ


フリースジャケットのチャックを
ず〜っと上までしめる

温かい

次は
ぬいぐるみの頭をかぶるのが自然な流れ

今日は何をかぶろうか

雪の上に犬の足跡があるので 

その通りよつんばになり なぞり歩いてみる

まだ上手くない 人間が入ってるんだって

分かられてしまうと思う

動物のぬいぐるみをかぶる気がしない日もある

そんな日は何もかぶらないですごしてみる

チョッと 辛い

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明るいところと暗いところ


電球に傘が付くと
明るいところと暗いところをつくる

光と影のある部屋

ゆるす人がいて

ゆるされる人がいる

そしてどちらも うつむき

表情は 影の中に消える

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守り神様


早く春になれ

楽しいことだけ解けずに残り

拾い放題

悲しいことがまだ体に残ってたら
再発しないように

背中に感じる守り神様に祈る

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大型犬


昨日までが雪に覆われて白い

もう飽きるモノや まだ心に合わないモノ

チョッと掘れば まだ緑残る草が顔を出し
いろいろな色があらわれるのを知ってる 大型犬

ズ〜ッと向こうから振り返ると

掘り起こしたはずのこちらは 
やはり白く見えるのも知ってるような大型犬

その雄々しい彼らには

服は似合わない 

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粗相の後片付けをご主人様にまかせ
振り向く犬の顔は
狸かアライグマか

向こうからやってくる
カラスの鳴き声をマスターしたおばさんも

僕とおんなじことを思ったようで

そんな犬の顔をみながら
両手で口を押さえて笑う

せっかく手で顔を隠さなくっても
恥ずかしくないくらいに
カラスの鳴き声が出きるようになったのに

もう笑いがとまらないようで
手で顔を覆ってはカラスの笑い声

それをみてる犬と僕はきっと
同じ顔をしてたんじゃないだろうか

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冬支度


来春も人目につく花と 
人にみられることもない花

冬支度中の庭職人は隔てなく手入れをする

花の名を書いた立て札まで引っこ抜くのはそのため

冬支度という未知の言葉が

植えられたばかりの種に

ゆりかごのように

心地よく響く

土の中

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冬の泡


アスファルトの隙間から育った藻

とても柔らかそうで 
清い水だけで育ったかのようで

そこにナナカマドが落ちてくる

渇いた喉でみる
そんな景色はとっても水々しい

裸足になろうか

水溜りの氷が解けるとき泡がでるけれど
春のおたまじゃくしの泡じゃないよ

冷たいんだから 

裸足になるのはおやめなさい

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みんなで復唱


ナナは薄青

カマは燃える赤

ドは土気色

ナナカマド

みんなで復唱してみたいけど

きっと あの子は

笑いころげるんだろうな〜

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落ちた時間


落ちてさらに枯れる枯葉に

枯れて朽ちた花びらを

ほぐして
散りばめる

寒気に 吐く息の白さが妖しく
呪文をとなえる

ここを通ることに使われた人たちの落ちた時間が
再び気をもたげては

枯葉の表面に草露に姿を変え

キラリと光る

それだけで土の中に帰ってゆく

土産話にじゅうぶんなことが出来たと
口々に ささやき合いながら

そんなにも 
人々の日々の使われた時間というものは

輝くことに憧れながら落ちてゆくものなのか

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のんきな氷


自転車のスパイクタイヤで
砕かれた氷は

行き場を知らないはずなのに

いい気なもので もう
はじかれたところでおさまる
のん気者

悲しいことがないわけでもなく

どこかに溶けた水溜りがあれば

それは 熱湯を注がれた花瓶の中の生花の夢

去る季節も くる季節も

まだまだ魅力なし

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優しさ?


薄っすらと雪の敷き詰められた河川敷に

もう人は来ないだろうと思ってか

魚が川から上がってきたような後が残る

人の足跡と犬の小さな足跡があるのに

一つの足跡の中に入ってみたけど次の足跡はその向こう

理解できてない

誰か自転車のタイヤの1本線後を川に向かって
付けに通ってあげればいいのに

でも それは優しさというのだろうか

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峠なんて行ったことがない

じゃり道 馬車の後

がんばって歩いては 
峠のばあさんがいる団子や

涼風が気持ちがいい

さ〜そろそろ行こうかね

後は下りだけじゃよ

急いじゃったから土産話を聞くのを忘れちゃったね

そうだね わっはっはっは

もうひとふんばり もうひとふんばり

知らない街の宿までもうひとふんばり

温泉が評判らしいよ

そうかい それはいいや〜

こんな峠 

どこかに ありますか?

____________________

枯葉


枯葉があって当たり前な外から逃げては

部屋の窓から見える秋

風にも飛ばされ 毛糸にもまとわり付くのだから

終着点がステレオの上の日もあり

スイッチを入れるまでもなく

ミディアムに響く

オータム リーブス

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煙突


煙突から煙が立ち昇るのを最近みましたか

レンガで積み重ねられた煙突は危ないので
もうつくられてませんよ

どれだけがんばろうが雲の下

いわし雲のマネなど出きないし

悔しさに みつめられた僕は月

部屋の机の上には煙のために小さな煙突が用意され

そこから立ち上ることになった煙は月に見守られながら

今日も心地よく煙を吐く

たまに爪楊枝で煙突掃除をしてあげる

いいな〜

とっても 癒される

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ナナカマド


冬ごもりの公園

飲み水がとめられてる

寂しい

この実を食べてと いうけれど

届かない微妙な背丈のナナカマド

すでに葉は落ち 

まるで実が花のよう

雪の上に落ちる時までがんばれ

僕はおかげで 喉が渇く

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異星人


最古の遺跡

こんなにも大きな石はどうして運んだのだろう

石だって燃えカスになれば軽いのさ

そう思えば運べる

そう告げる祈祷師がいたに違いない

そして祈祷師の懐には
今でも作れなさそうなほどの精密な図面が

異星人か


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