2012年4月11日 板倉弘実
済州島、有効・連帯のつどいニュース NO・36

 ニュースをお届けします。
 私は、韓国・カンジョンを訪問すると、身体内に沈殿しいていた何かが溶けて、心身が軽やかになる思いをしていました。
 かぎりなく美しい自然と、人々の濃い情(じょん)のせいです。
 今回、「第二の済州4・3事件〉「戒厳令下」「戦場」など言われ、書かれているカンジョンから帰って一週間、心も身体も重いままでいます。

 昨夜。与党セヌリ党のパク・クネ非常対策委員長の総選挙最終演説は、「野党の連合が国会議員の過半数を占めようとしている。〈北〉がミサイルを発射しようとするなど、緊張が高まっている時、韓米FTA協定の見直し・破棄など、韓米同盟を崩そうとしている野党が国会の多数を占めたら、わが国の安全はどうなるか?」と言う趣旨のものでした。
 彼女は、済州島を訪れた時に、「海軍基地は李明博政権がはじめた。当時、賛成した政治家が、今になって反対するのは二枚舌」と言う趣旨の話をしました。済州海軍基地に対する自らの政策はない?
 独裁者、パク・チョンヒ大統領の娘のクネ氏は、射殺された父親の恨みを晴らし、遺志をつごうとするのでしょか? 父親が殺害された悲しみ,恨みを思うことが強いようですが、父親が、独裁政治に反対する多数の国民の生命を奪ったことに対する感慨を述べることはないようです。
 私には、「大統領になりたい思い」はつたわりますが(今も、世論調査で、大統領候補者の中で支持率がトップです)、この国をどのようにつくっていくのか、ビジョンがないように見えます。
 反独裁闘争で投獄された経験がある民主党統合党の韓民淑代表の演説は、「投票に参加して、政治を変革しよう」と言う趣旨でした。
 日本と同様。野党もだらしがないと言うので、無党派が激増。前回の大統領選挙は、投票率が50%以下でした。
 投票率が高くなれば野党に有利になるというので、マスコミが、朝から「雨が降る投票日の投票率」について報道しています。
 カンンジョンに常駐して、活動経験のない村民と活動家をつなぐ「理論、政策的面」を担当していた高由基さんが、昨年末に、民主党道支部の政策室長に転出して、「党中央の反基地政策を正すために努力する」と語っていました。
 数カ月の間に、民主党の「海軍基地建設計画の根本的再検討」の公約を実現させました。
 私が帰国する4日の朝、超多忙の高さんが時間を割いて下さって、1時間程話し合いました。
 選挙で、「野党連帯」が負ければ、絶望的。
 勝利すれば、基地建設を阻止する可能性が開ける。
 けれども、民主党内には,「観光美港を受け入れる」潮流が少なくない。
 観光美港も海をコンクリートで埋めるので、カンジョン村民は受け入れることができない。今は、戦術的に、「観光美港の欺瞞追求に力点をおいている」ということでした。
 高さんが心配しているのは、カンジョン現地での、「村民と活動家の間の乖離」でした。
 村民と活動家を繋ぐ組織がなくて、今まで,それぞれが思いのままに活動する「勝手連式活動」で大きな成果をあげてきました。
 今、海軍のクロンビの岩爆破の蛮行に対する怒りが爆発して、海軍基地内に進入して逮捕され、けがをする人が後を絶たない。逮捕・投獄された活動家の救援にも大きなエネルギーが使われます。
 独裁政権が定めた法の範囲内の行動では、反独裁闘争は闘えなかった。独裁政権打倒直後のソウルで、学生や労働者の集会は,戦闘警察隊の催涙弾による弾圧で終わるのが通例でした。
 反独裁闘争の「法の規制を越える闘争方式」が引き継がれているようでした。
 カンジョンで今までに、逮捕された人は500人に達するか? 
 一部活動家が「逮捕者、1000人を目標」などと言い合っているそうです。
 仕事を奪われ、逮捕されることを恐れない活動家だけでは、基地建設阻止闘争に勝利することはできません。
 活動家と村人との乖離がすすんでいるようです。
 このようなことについての明確な方針を持てないでいることが、人々を心理的に苦しめる。
 多くの活動家が、専門医のカウンセリングを受けていて、最近、2人目の自殺未遂者を出しました。

 八木氏の他に、カンジョンを訪問したことがある日本の小学校の婦人教師が、他の地域の観光のために訪れた釜山の金海空港で入国を禁止される事件もありました。
 狂気じみた韓国の政権。
 日本領事の応対もけしからんというので、韓国の婦人が、日本領事に対する抗議の「一人示威」をしました。
 「板倉を容易に入国させるのは、彼の活動が、政権を怖がらせるほどになっていないから」だそうです。
 権力は、カンジョンでの実態を知られることを恐れています。
 カンジョンの実態を知らせ、カンジョンとの連帯を強めたい。
 よろしくお願いします。
 4/11 板倉弘実

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