2012年1月16日 板倉弘実
済州島、友好・連帯のつどいニュース NO・34

皆様へ
済州島・カンジョンの海軍基地関連のニュ−スをお届けします。
村人の、「美しい海を守り、子孫に譲り渡したい」、素朴で強い願いが、権力も術策・強圧を超え、逆に権力を追いつめています。
村人は、長期のきびしたたかいを経て、国防部の「力による安保論」を否定し、「対話による安保」を求め始めています。
数年前、済州島でも結成された「(日本国憲法)9条の会」が、民衆の中に根づく可能性ができました。
「ハワイ、グアム、沖縄と連帯して海軍基地建設を阻止しよう」のスロ−ガンは、「基地の苦痛を他所に」を越えて、西太平洋に展開する米軍の戦略と対峙するものになっています。
海軍基地反対のたたかいの主戦場は、4月に行われる国会議員選挙、済州道議会議員補欠選挙、11月に行われる大統領選挙の場に移りつつあるようです。
昨年。ソウルの市長選挙などで、「革新民主陣営の候補単一」を実現し、勝利して民衆は、今回も、民主・革新民主勢力の共同を強く求めています。
日韓両国の権力、緊密に連絡しあい、共闘しています。
両国の民衆の友好・共同・連帯をすすめたと思います。
よろしくお願いします。


《漢撃日報電子版、1/15》
【要約】
統合進歩党、「済州海軍基地、全面・白紙化せよ!」
 14日、済州道庁で、統合進歩党が記者会見をして、「道民の世論が、海軍基地工事中断の方向に集まってきている。基地工事を即時中断して、事業自体を全面白紙化すべきだ」とする方針を明らかにした。
 イ・ジョンヒ共同代表は、「海軍は、今年の予算が90%以上削減されたのに、2月の予算で、道民が賛成することができない不法な工事を継続している。住民と衝突することがあり得る工事をやめて、国会の構成を静かに待つのが、国防部がとるべき態度だ」と批判した。
 ユ・シミン共同代表は、「2007年当時、軍基地を済州島に適合するように、『民軍複合型』にしようとするのが私の立場だったが、その後、道民の世論が大きく変わったので、中央政府の軍事戦略判断基準もあるだろうけれども、住民の意思もそれに劣らず重要なので、この2つを見ながら進めていかなければならない」と語った。
 シム・サンジョン共同代表は、「民主統合党は、民軍複合港にする『再設計しよう』という立場だが、それは不可能だ。だが、『再設計』などの推進は、基地白紙化につなげることができるという点で、国会議員選挙、大統領選挙での野党の連携過程で議題にして、政策的合意を得ることに努める」と語った。同党は、国会議員選挙西帰浦選挙区(カンジョン村を含む)に、ヒョン・エジャ前議員(女性)を立候補させてたたかう。
 民主統合党は、同じ選挙区から、ム・デリム前道議会議長、コ・チヤンホ前西帰浦市長を立候補させる。総選挙と同時に、道議会議員済州島の補欠選挙も行われる。
 ソウル市長選等の経験を生かして、「野党候補の単一化」を求める声が高まっている。
(統合進歩党=民主労働党+国民参与党+新進歩統合連帯。民主党統合党=民主党+市民統合党)


予算大幅削減、カンジョン海軍基地建設工事中断ヘ
野党の強硬な主張で、韓国国会が来年度済州海軍基地建設予算を大幅に削減した。

 原案=1,327億ウオン  削減=1,278億ウオン(96.5%)
 確定=38億ウオン(4.5%) (「陸上設計費」・38億+「補償費」11億)


基地周辺地域発展事業の予算も大幅に削減され、「果樹団地造成」(1億ウオン)と、「カンジョン村コンミュニテイセンター(22億ウオン)だけが認められた。
 「これによって、済州海軍基地に対する国費支援によってカンジョン村の葛藤を解消することをねらった、ウ・グンミン知事の『ウイン・ウイン戦略』は破綻した」(「漢撃日報」、12/31)。


「海軍基地に頼らず、自然と共生する地域発展政策」を掲げて
 姜東均(カンジョン村会長)、権一(基地反対対策委員長)、高由基(基地阻止と平和の島実現汎道民委員会共同委員長)たちは、済州島海軍基地建設に反対するだけでなく、平和公園建設、ユネスコ平和学校誘致などを含む、「自然と共生する村興し」を考えていて、この面でも日本の市民との交流を強く望んでいる。
 新たに、「民主統合党済州支部政策室長」に就任した高由基さんが、「民主統合党の中央次元で、カンジョン基地問題解決の公約づくりのために努力する」と、メールを送ってきた。
 「政治圏のカンジョン済州海軍基地解決策」は、基本的に、「軍港中心をやめて、観光美港を中心に」とするもののようである。
 「観光美港」も、クロンビの海をコンクリートで埋める。
 たたかいが、新しい段階に入った。


済州・カンジョン村を守る「平和の配流者」
 「不法な」村総会が済州海軍基地受け入れを決めた後、18人の村人が、「美しい海を守ろう」と、基地建設反対運動をはじめた。凶暴な弾圧に抗して、たたかいつづけて4年余、権力を追いつめつつある人たちを紹介する本が出版された。『クロンビの歌を聞け――カンジョン村を守る平和の配流者たち』
 平和の配流者たちは、「軍事基地建設阻止」だけではなく、「平和な生活=何のために、どのように生きるか」を模索して、松代・長野の市民との友好・連帯を強く求めている。

姜東均(カン・ドンギュン)さん(カンジョン村会長)
 警察官になろうとした時。母親が、「警察官になったら、親子の縁を切る」と叱った。(済州4・3事件の記憶)
 大阪を中心に11年間、下水工事に従事(長野市でも)。カンジョン村に帰ってから、農地を借りてミカン栽培をしてきた。獄中対談=「村会長さんは尊敬されるでしょう」、「尊敬されなくてもよい。早く畑仕事をしたい」。国防部の「力による安保論」を批判し、「諸国民との対話による安保論」を主張している。自分の主張が日本国憲法の平和の理念に通じることを認めている。

高権一(コ・ゴンイル)さん(カンジョン村海軍基地反対対策委員長)
 漫画家。独り暮らしの母親の世話をするために帰村した。
 村の儀礼会館の塀の壁に、「西太平洋の地図上で中国・北朝鮮・韓国・済州島・日本・アメリカの指導者が火遊びをしている漫画」、「ハワイ・グアム・沖縄と連帯して基地反対運動をすすめよう!」のスローガンを描いた。これは西太平洋に展開する米軍の戦略と対峙するものになっている。「この基地反対闘争は、韓国だけではなくて、世界中の多くの人に、平和を守るためにどのような努力をしなければならないかを、苦痛を伴って考えさせている」と語った。

高由基(コ・ユギ)さん(海軍基地阻止と平和の島実現のための汎道民委員会共同委員長)
 済州市出身。15年間、平和運動を継続。
―済州の基地問題を話す時、「平和の島」、「軍備縮小」などの「理論」を持ち出すが、実は、このことよりは、カンジョンの何人かの村人を思い浮かべて、こみ上げるある種の憐憫の情、痛み、これらを支える憤怒のようなものが私の原動力である。
―どのように生きるのか? 自由に生きるとは、どういうことか? 世間の枠にはまらないで、自由を追求して生きたら、島への「配流」は正統であり、私はいつでもそのようなことを求めている。
 活動経歴のない、姜東均会長、権一委員長と組んで、村人と多彩な平和活動家の力を結集する困難な仕事を的確に進めている。

チェ・ソンヒ(画家 女性)
 公務執行妨害で、懲役8か月、執行猶予2年。
「尊敬する裁判長様。私の耳には、ロッキード、ボーイング、レイシオンなどの軍事産業資本家が、シャンペンで乾杯している声と、カンジョン住民と済州島民の悲鳴の声が聞こえます(最終陳述書)」


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