2011年10月21日 板倉弘実
済州島、友好・連帯のつどいニュース NO・31


済州海軍基地建設が、一つの山場を迎えたようです。
重ねて、ニュ−スをお届けします。

『泣くな クロンビ、がんばれ カンジョン』の翻訳で苦戦しています。
 私の実力不足にもよりますが、根本的に、国防部・政府の、不法、不当、ずさん、強引な建設工事推進の理由が理解できないことが、苦戦の最大の原因です。
 「ピョンテクの時と比較して」、政府を批判する意見があります。
 ソウルの中心部の龍山にあった米軍基地の車両が女子中学生2人を轢殺して。
 「米軍基地をピョンテクに移転させた時。総理が数十回現場に出かけて、説明、説得したのに。今回は、一度も現場を訪問していない。ニュ−・ファシストと呼ばれることがある李明博政権の本質による」と言うわけです。
 「陸軍士官学校出身の、シン・グボム前済州道知事が、海軍基地建設は、安保を口実にして軍内部で自分たちの勢力の拡張と利益を得ようとする海軍の『身体を太らせる事業』に過ぎないと叱咤しています」という見方もあります(『カンジョン村民の訴え』)。
 さらに、済州・釜岳平和博物館の李館長が「朝鮮戦争時、血を流して韓国を救ってくれた米国への恩返しのため、イラクへの韓国軍の大量派兵は当然」と語ったことがありました。(釜岳平和博物館は、「朝鮮戦争展示場」を併設して、「力による安保」を主張し、名称も「戦争歴史博物館」にかえました)。
 朝鮮戦争が続いていて、「南北」間の武力衝突が繰り返されてきた韓国では、国防省の「米国との軍事同盟強化、軍事力の増強による安保論」を支持する国民が多いようです。

  どうして、農業・漁業のカンジョン村人が、頑強に、基地建設反対を貫くのか?
 カンジョン村会長の姜東均さんは、「力による安保反対、対話による平和論」をはっきりと主張されています(日本国憲法の平和主義と同じ)。
 姜東均さんと獄中で対談した「生命・平和決死巡礼団員」の青年が、「大学を出て済州島に戻って警察官の試験を受けたんだ。一次試験に合格してから母さんに話したら、『警察官になったら母子の因縁を切る』とまでおっしゃったんだよ。それで、警察官にならなかったんだ。警察官になっていたら、今ごろ、カンジョンの村民を逮捕していたかもしれん…。済州4・3事件の傷跡と、息子に対する愛が、姜東均村会長さんの人生を変えたのでしょう。今の村会長さんの姿を見ていては、想像もできません。尊敬していますと言ったら、村会長さんは、『尊敬されなくてもよい。畑仕事をしたい』と言いました」と語っています(『泣くな クロンビ…』)。

 連日、逮捕者が出る状況の中で、村人など、十数人が書いた300ペ−ジのこの本は、内容が多彩・多様で面白い。
 重複する部分もあって、一人の執筆者が解説・説明した物とは違う、翻訳が難しい面があります。
 なんとか、抄訳したいと思います。
 
【メール交信】「バルグンマルトン蟹」⇔ 「平家蟹」
高権一・カンジョン基地対策委員長(漫画家) ― 板倉弘実
 日本を発つ前に、「アユの最後の夏」という記事(ハンギョレ、9月19日)を見て、心配になって、カンジョン川に沿って歩いて見ました。
 川は、フェンスと鉄条網の外にありました。来年も『カンジョン、アユ祝祭』が開かれるでしょう。
 2羽の黄色い蝶が、私の身長の3倍ほどの高さのフェンスを越えて、基地敷地の中に入って行きました。
 そこで、「プルグンバルマルトン(赤い足の馬糞)蟹」に会いました。
 日本では、「平家蟹」と呼ばれているようです。12世紀、貴族の「侍(Servant)」だつた武士が蜂起して、貴族の政権を打倒する過程で、武士の棟梁だった源氏と平家がたたかい、瀬戸内海で敗れた平家の侍が、海底に沈んだ。その怨恨を持ち続けでいる蟹というわけです。
 彼の、怨恨に歪んだ顔。私は親近感を感じました。(私の顔も歪んでいるのかもしれない)
 彼は、言葉なく、日で、「助けて下さいよ」と哀訴して、「横・足早に」たち去りました。
 ホン・ソンダムさんの、「プルグンバルマルトン蟹」は、かわいらしいですね。
 カンジョン儀礼館のフェンスの、「グフム、ハワイ、沖縄と連帯して軍事基地反対闘争をすすめよう」のスローガンを見るたびに、私は、恥かしさを感じます。民主党政権の、普天間基地を「国外に、少なくとも県外に」移転させるは、自分が受けている苦痛を他者に引き受けさせようとするものですから。東北アジアの地図の上で、中国、北朝鮮、韓国、済州道、日本、アメリカの「首領」たちが、火薬庫遊びを巨大な漫画を見るたびに、私は、「哄笑」を感じて、詩を書きました。(この漫画は、高さん、あなたが描かれたんですね)
 私は、テレビに映し出されるピヨンヤンの巨大な壁画、「風にはためく赤旗、まなじりをけっして行進する労働者、農民、兵士…」を思い浮かべました。社会主義リアリズム… クロンビの海辺の彫刻物、「遊ぼう、遊ぼうの文化祭」での、歌、おどり、寸劇… 私には無い、大らかな「ゆとり」を感じて、「カンジョンで暮らしたい」と思ったりします。
(10/18 板倉弘実)

「プルグンバルマルトン蟹」が、日本で、「怨恨を含んだ姿」とみられていることに、ほんとうに驚きました。よく似ている両国の文化の間の異なる姿を見て、勉強になりました。
 私たちは、「プルグンバルマルトン蟹」の姿から、「微笑み」を形象化しますが、日本では同じものから「怨恨」を感じ取られることについて、いろいろ考えて見ました。結論は出ませんが…(笑い)。「ホンネ」と「タテマエ」の代表的事例かもしれないと思ったり、もしかすると、日本の「プルグンバルマルトン蟹」は、笑いながら、顔をしかめているのかもしれないと思ったりしました。
 どの国でも、民衆は、容易に権力者の犠牲になります。
 ウォール街占領・D―dayに、世界の多くの国で、数十万人が示威を行ってことを見ながら、21世紀は、生命重視・共存。平和に向かわなければという使命感を受け取りました。冷戦の時代が終わったことを、公式宣言して、全世界が戦争準備に投入する軍備を、福祉と和合うに使わなければならないと叫び声を上げましょう。ひろみ先生のご健闘を祈念しています。
(10月18日 高権一)


  当初、和順村、為有村に海軍基地建設を提起して、住民に拒絶された国防部は、カンジョン村に、「軍艦が寄港することがある観光美港=民軍複合型観光美港」の建設を提起した。
 「美しい港を子孫に残す」ことを願う住民は、住民投票で、94%が基地建設反対の意志を表明した。
 政府・国防部は、懐柔、利益誘導、「アカ・従北(金正日盲従)左派」などの宣伝、本土からの戦闘警察隊の大量動員などで反対運動を押さえて、基地建設工事を始めた。
 「非暴力・徹底抗戦」の方針を掲げる住民と、平和・環境・人権・宗教団体などの抵抗で、済州道議会が「道民に対する詐欺行為」と断定した「二重協定書(「軍港」⇔「観光美港」)」など、不法、不当、理不尽な権力の姿が暴露され、国会が「計画の再検討」をすることを決めた。
 《漢撃山日報 10/19》


国会 「観光美港」の安全性、再検討
予算決算小委 推薦同数委員で検証して報告を
ウ・済州道知事 「検証ができなければ、工事中止仮処分申請

(要約) 
 19日に開かれた、国会・予算決算委員会の「民軍複合型観光美港(海軍基地)だヽ委員会」が、済州道の15方トン級クルーズ船の同時接岸と旋回などの安全性についての再検討の要求を受け入れた。この会議に参席した、ウ・グンミン済州道知事は、「クルーズ船の出入港シユミレーションの検証が明確に処理されなければ、工事中止の仮処分の申請を考慮する」と強硬な立場を披歴した。
 クォン・ギョンソク委員長は開会あいさつで、海軍基地問題について葛藤解決のための政府の努力不足と、推進過程での問題点を指摘した。
 さらにクォン委員長は、この日の午前に開かれた、「民軍複合型観光美港湾設計並びに船舶調整シミュレーション検証のめの政策懇談」に、海軍側が準備不足を理由に席参しなかつたことを批判し、「疑惑解消についての海軍側の態度に問題が多い。政府と済州道が同数の専門家の検証団をつくつて、船舶調整の安全性を検証して国会に報告するように」と結論づけた。
 民主党側委員は、いくつかの問題点を上げ、問題が解決するまで海軍基地予算の執行を凍結するよう求めた。「観光美港特別勘定新設」が提案され、21日に再度論議することになつた。
 《同日》

新任のチェ・ユニ海軍参謀総長が急遠、済州訪問
知事、基地
工事建設事業団と懇談一抗議する住民ともみ合い
 「クロンビ岩の試験発破」に抗議する知事に、「軍内部の意志疎通を欠いた結果」と釈明、「道の要望を受け入れて、ハワイなど、世界の主要な美港に劣らない良い港にする」と言明。
 建設事業所前で、抗議に駆けつけた住民と警官の間で、もみ合いになつた。
 《同、19日》

軍艦に、別の風速摘用の疑惑
済州道出身国会議員主催の「観光美港 政策懇談会」

 民軍複合型観光美港についての、15万トンクルーズ船の出入港を検証するシミュレーションとは別に、軍艦に適用するシミュレーションが存在することがわかつた。


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