2011年10月15日  板倉弘実
済州島 友好・連帯のつどいニュース NO・30

政府、クル−ズ船の航路など一部の誤謬認定
キム総理、「15万トン級が出入港ができるよう措置」
海軍側、「済州島の立場を最大限に反映」。再検証提案

の報道がありました(『漢拏日報』、10/13)

 「平素、平和な微笑を浮かべる、恥ずかしがりやで平凡なカンジョンの村人」(米国の映像作家、Alpha Newberry)の、「美しい海を子孫に残したい」、素朴で頑強な願いが、狂暴な権力を追いつめ、一定の妥協を引き出したということです。
 当初(2002年)、和順村を海軍基地の候補地にした時、国防部は、米軍の「対中国・ミサイル防禦」などのための軍事基地であることを隠しませんでした。
 強い反対運動で建設を断念した国防部は、カンジョン村民には、「民・軍複合型観光美港」と称し、「時に軍艦が寄港する、シドニ−港、サンチアゴ港、シンガポ−ル港」のような「観光美港」をつくるとして、海軍基地建設を強行してきました。(「観光美港」建設は、国土海洋部が担当します)。
 権力は、対軍用に「海軍基地」、対済州道民用に「観光美港」とする「対道民、詐欺(道議会・調査委員会報告)的、二重協定」をつくることもしました。
 さらに、「8/24 姜東均村会長逮捕、西帰浦警察署長電撃更迭事件」は、国防省がしかけた「ワナ」だったといわれます。
 この事件で、国防省と一部の右翼団体、言論が、「アカ」「従北(金正日盲従)左派勢力」が引き起こした暴力事件と喧伝し、カンジョンの村人と、平和活動家の分断をはかりました。
 なお、頑強に続けられる反対運動に対して、権力は、「陸地(本土)から「水鉄砲車」、「催涙弾発射車」などを持つ、数百〜千人の戦闘警察隊を投入して、徹底的に弾圧してきました。
 今、政界で検討されている葛藤解決策は、「完璧な観光美港を中心」に、「軍港を従に」とするものです。
 観光美港であっても、カンジョンの海辺をコンクリ−トで固めてしまいます。
 カンジョンのり村人が、これとどのように対峙するか?

 10/1 第2回「遊ぼう 遊ぼう、カンジョン文化祭」の会場で発売が開始された『泣くな クロンビ、がんばれ カンジョン』には、以上の経過に合わせて、「尊敬されなくてもよい、農作業をしたい」、「私は基地誘致に賛成している人たちを非難はしない。あの人たちは間違っているので、それを指摘して、間違いを直してして欲しいだけだ」などとする、姜東均村会長の「獄中対談」などが紹介されています。
 連日、逮捕者が出る状況の中で、活動家、専門家、普通の村人など30人ほどが執筆しているこの本を、みなさんに読んでいただきたくて、翻訳を始めました。
 翻訳を、指導、共同していただける方がありましたら、連絡くださいますよう、お願いします。

済州島カンジョン村から送る平和の声  『泣くな クロンビ がんばれ カンジョン!』発行
一部を紹介します。
カンジョン村の報道の「不便」な真実
 キム・グックサン(済州・住民自治連帯政策室長)

 8月24日。警官と住民の間で、実際に血を流す「戦争」が行われ、何人かの住民が怪我をして連行され、西帰浦警察署長が更迭されました。
場面1:結集
 8月24日。ソウル空港で、大韓民国軍用機CN−235に乗り込んで、済州海軍基地建設現場に向かう一団の人たちがいました。人数はそれほど多くないようでした。(彼らは、言論社の論説委員でした)
場面2:鳥飛梨落(偶然の一致)
 工事現場の正面に、大型、クレーンが2か月間、放置されていました。
 実は、この装備は、6月の暴風雨の日の朝に、こっそり搬入され、分解されていたのです…。
 ところで、8月24日13時30分ころ、奇妙なことに、軍用機に乗ってきた民間人たちが工事現場を見回っていた、その時でした。
…村人たちが、クレーンの祥微結合の作業をはじめようとした作業員たちに、作業をすることは約束違反だとつめ寄り、隠れていた私服警官30人が姜東均村会長を逮捕し…
 国防部がしかけた「ワナ」でした。
 国防部と一部の言論が、「アカ」「従北(金正日盲従)左派」が引き起こした事件だと宣伝しました。


カンジョン村の住民が、国民の皆様に心から訴えます

国民の皆様!
 私たちは、済州島南部カンジョン村に住んでいて、非平和的・非民主的に進められている海軍基地建設に反対して、4年間、苦しい闘争を続けてきました。
 済州島は、生物圏保護地域、世界自然遺産、世界地質遺産のユネスコ3冠王を誇り、「世界7大景観」指定に挑戦するほどの、天然の自然環境を保有している地域です。
 同時に、国家権力の横暴で多数の無この領民が犠牲になった済州4・3の凄絶な痛みと恨(ハン)が残っている場所でもあります。
 このように、天恵の自然環境といっしょに、済州4・3の痛みと恨を抱いている済州島は、いま、生命と平和という人類の普遍の崇高な価値を具現する「生命・平和の島」としての地位を占めなければなりません。この道だけが、済州島と大韓民国の未来を明るくし、済州4・3の犠牲者の霊を慰めることができます。
 ところが、今、済州島では、海軍基地の建設の強行で、天恵の自然環境が破壊され、済州403の痛みと恨が再燃されています。生命と平和が、無残に踏みにじられています。

国民の皆様!
 カンジョンの海は、ユネスコが「生物圏保存地域」に指定し、わが国の唯―のサンゴの群落地の「文化財保護区域」です。カンジョンの海岸には、1.2キロに及ぶひと固まりの溶岩である「クロンビ岩」があり、大規模の遺物埋蔵地であると同時に、絶滅品種の「プルグンバルマルトゥン蟹」の大規模生息地でもあります。また、済州島を一周する「オルレ(ハイキング)・コース」の中で、一番美しいと定評のある道が通っている場所でもあります。
 そのために、特別法によって「絶対保存で地域」にしていされている地域です。
 それなのに、政府は、海軍基地を建設するために「絶対保存地域」を、「ひったくり」のような方法で解除して、カンジョンの海辺をコンクリートで固め、破壊しようとしています。
 済州島の、否、大韓民国の宝物が消え去ろうとしているのです。
 さらに、海軍は、懐柔と買収で村会の意志決定を捏造し、基地立地を決定し、住民を脅迫し。離間させて、工事を強行しています。
 国家権力が、住民を拘束・拘禁し、罰金の爆弾を浴びせています。
 そのために、村の共同体が、完全に破壊されてしまいました。
 西帰浦新聞の「精神健康実態調査」によれば、全体の住民の中で、「強迫症」などの精神異常の所見のある人が75.5%、自殺の衝動にかられたことがある人が43.9%に達するなど、村が荒廃しています。
 3年間、カンジョンの海辺で天幕籠城を続けてきた映画評論家の、ヤン・ユモさんは、工事強行を阻止しようとして拘束され、28日間、生命をかけた獄中断食闘争を継続しています。
 国家安保事業だと称して、10年の間、和順(ファスン)、為美(ウィミ)、カンジョンでの基地立地を企図し、それらの地域の葛藤と破壊を量産してきた海軍基地建設事業は、第2の「済州4・3」の元凶になっています。
 今、政府は「大洋海軍政策」を事実上廃棄する方向での立法を予告しています。
 陸軍士官学校出身の、シン・グボム前済州道知事が、海軍基地建設は、安保を口実にして軍内部で自分たちの勢力の拡張と利益を得ようとする海軍の「身体を太らせる事業」に過ぎないと叱咤しています。

国民の皆様!
 今、強行されている海軍基地建設は、安保を回実にして、天恵の自然環境を破壊し、国民の人権を蹂躙する公権力の横暴に過ぎません。
 私たちは、カンジョンの海辺のクロンビ岩と、海のたくさんの生物の呻吟する声を聞きます。
 また、済州4・3の犠牲者の霊の、胸痛む絶叫が響きわたります。
 ですから、私たちは、公権力の横暴に過ぎない海軍基地建設強行を、生命をかけて防ぎます。
 けれども、私たちの力だけでは、到底、防ぎきることはできません。
 国民の皆様が、一緒に行動して下さらなければ、結局、私たちが犠牲になるだけで終わってしまいます。

国民の皆様に、心から訴えます。
 公権力の横暴である海軍基地建設強行に反対する運動を一緒にすすめてください。
 そして、済州の地から消え去ろうとしている生命・平和の火種に、火が灯るようにしてください。
 国民の皆様が、一緒にすすんで下されば、済州島は、真実の「生命0平和の島」の地位を保って、大韓民国の宝の島になるでしょう。
 国民の皆様が、ご一緒してくださることを、涙を持って、心から訴えます。

カンジョン村会・姜東均会長 他住民一同

TOPへ戻る