2011年10月6日 板倉弘実
済州島、友好・連帯のつどいニュース NO・29

10月1日。カンジョンの文化祭。

 顔立ちも、服装も、「都会人」、「活動家」とは違う村人が、拍手で私たちを迎えてくれました。
 「普通の農民、漁民」の、美しい海と、先祖から受け継いで家業を子孫に伝えたいという単純・素朴な願いが、「北朝鮮」とのの緊張が高まる中で、「軍事力強化に頼る安保」、「基地容認と引き換えの地域開発計画」を拒絶し、警察権力の弾圧に耐えて、たたかいを発展させています。
 村人のたたかいが、道議会を動かし、国会を動かし、国際世論も動かしはじめています。
 ハンギレ新聞(10/1)が、「平和の聖地、カンジョンで、米中の戦争の種子を取り除く」として、マサチューセッツ大学のノーム・チョムスキー教授の「基地建設をめぐる済州島の現況は、アジアで起きる可能性がある残酷な戦争の勃発を防ぎ、世界を残酷な紛争に導く根の深い制度的構造と対峙する一番重要な動きだ。全世界の民衆は、済州島の民衆に同調すべきだ」とする発言を紹介しています。
 今、一人でも多くの方に、済州島軍事基地の状況を知っていただきたい。
 聞いてお下さる方があければ、お一人でも出かけます。
 よろしくお願いします。

 韓国で、昨年以来の各種選挙で、「野党の単一候補」が実現して、連敗中政権与党と一部マスコミが、野党単一候補の実現を妨害しようとしています。
 妨害を克服して、無償給食問題で辞任したソウル市長の補欠選挙で「単一候補」が誕生しました。
 政党役員の協議ではなくて、何万人かの市民が参加する「単一候補」選び。
 民主党、民主労働党、無所属の3人の候補が、「国民参与競選」、「TV討論陪審員審査」、「一般世論調査」を経て、無所属のパク・ウォンス弁護士を、野党統一候補に決めました。
 日本では、1980年代以来、「野党の共同・統一」はない。
 日本の権力の凄さに比べて韓国の権力は、まだ、甘いか?
 権力の妨害を越えて、進歩・革新勢力の共同を追求したい。
 長野市民会館、市庁舎問題で、いくつか会派の「共同」が実現しています。
 知恵を働かせて、「共同」のすすめたいものです。

潮風を受け
潮の香りにむせび
波の音を聞き
詩人と語らい、飲み、昼寝をした海辺にはもう行くことができない

 総合運動場から「平和のバス」に乗って、5回目の済州・カンジョン村訪問。
 5日間の滞在中にも、神父、学生、激しくたたかっているハンジン重工業労組役員など、15人が逮捕され、1人が軍人から暴行を受けました。
 
 「天幕などの撤去行政代執行、最後通告」の報道があって、心配していましたが、チョンドック3街の籠城現場は平穏で、若者たちが作った野菜たっぷりの昼食をごちそうになりました。
 逮捕・投獄を覚悟している若者たちは、穏やかで、明るい表情をしていました。

――手を握れば みんな穏やかな人ばかり(ユントンジュ・『看板のない街』)――

  「カンジョン川のアユ、最後の夏――平和の歌声につられて跳躍する銀色、来年も見ることができるのか?」の記事があって、カンジョン川に沿って歩きました。
  だいじょうぶ! 川はフェンスの外、黄色い蝶が2羽、もつれ合いながらフェンスを越えていきました。

「遊ぼう、遊ぼう、カンジョン!」の文化祭(2回目)
10月1日
  陸地(本土)から、船でやってきた600人の「戦闘警察隊」が狭い道にたむろしていて、バイクのおばさんが、「わしら、50年もの間…」、と大きい声で警察官を叱りつけていました。
 会場の入り口に、数十人のカンジョン村民が立って、入場者を拍手で迎えました。
 1000人が夜を徹して文化を楽しむエネルギーに圧倒されました。
 独裁政権打倒直後、延世大学の学生集会など、ほとんど毎回、学生が角棒を振りかざして警官隊を襲い、血を見ることがありました。
 一部言論が「ニュー・ファシスト」と呼ぶ李明博政権下で、米国産牛肉問題以来、弾圧を避けて、文化祭で多数の市民の意識統一、団結を作りだすようになりました。
 昨年、長野の「韓国併合100年のつどい」で知り合った2人の、元国鉄労組員が参加されていました。
 私を取材した『済州道民日報』の若い記者と、「松代大本営と済州島」について、話し込みました。この日、在郷軍人会などの基地誘致賛成派が、50人ほどで集会を開きました。

日本人に海軍基地の実情を知らせ、連帯を進める
 翌日。「平和のバス」で知り合った済州大学の李吉珠講師(インド哲学専攻・若い女性)の提唱で、カンジョン村会会館で「日本人に海軍基地の実情を知らせ、連帯を進める相談会」をしました。
 出席者は、基地対策委員長の高権一さん(漫画家)、済州大学の姜奉秀教授(倫理学教育学部)、李吉珠講師、済州住民自治連帯代表のペ・キチョルさん、日本・平和フォーラムの八木隆次さんなど。昼食をはさむ3時間ほどの話し合いで、基地情報を伝えるホーム・ページをつくること。基地反対だけではなくて、自然を破壊しコンクリートで覆う開発ではなく、自然と共生する農業体験、漁業体験をする観光など地域おこしの実践家、研究者の「共同」をすすめる、日本からの来訪者の宿泊、交流施設などをつくる、などを決めました。

『泣くな クロンビ、 がんばれ カンジョン!』が発行されました。
 まえがき=「平和への道をいっしょに歩きましょう――2011.9.19、済州教導所(監獄)拘束27日目」の姜東均カンジョン村会長が、国民の権利を抑圧し、国民の同意を得ない安保を「砂上の楼閣」とし、「私は、軍事基地に賛成する人たちを非難しない。間違っている部分があるので、直して欲しいと言うだけだ」と述べています。
 監獄で同室したキム・ドンウォン青年が、姜東均会長の「尊敬されなくてもよい、農作業をしたい!」などの言葉を紹介しています。
 警察官になろうとした時、決して許さなかった母親。「済州4・3の傷跡、息子に対する母親の愛情が、姜東均会長の人生を変えた」。
 姜東均会長が逮捕された早朝、夫人の電話で駆けつけた高権一氏が「同伴逮捕」されて、夫人が夫のためにではなく、高権一氏のために涙を流した…。
 カンジョン村民と平和人権家のたたかいは、軍事基地反対・平和だけではなくて、環境保護、人権、地域おこしなどの多彩な要求実現をめざしていて、万一、基地建設を阻止できなかった場合でも、平和と進歩、民主の運動が、大きく前進する展望をもっていることがわかりました。
 たたかっている人たちが、明るく、穏やかな表情をしているわけがわかりました。

クルーズ船のための「観光美港」←→「航空母艦の基地」の詐欺的犯罪断罪
道議会、前国防長官、前国土海洋部長菅、前同知事を告発
 《漢撃山日報電子版10/4》
 済州道議会が「海軍基地関連の行政報告書」を可決した。
 …カンジョン海軍基地の敷地の事前環境検討と環境影響評価協議内容の履行も不実であり、カンジョン海軍基地は、15万トン級のクルーズ船が出入港することはできず、事実上、「軍港」として設計されていたことを明らかにした。

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