2012年3月14日 板倉弘実

 ポム島を望む紺碧の海、背後に神秘的にまで美しい漢拏山を抱くクロンビの海岸。
 現地の詩人とマッコルリを飲み、語り、昼寝をしたクロンビの海岸に響き渡る爆破音に悩まされています。
 取り返すことが不可能な自然破壊。
 それにもまして、村民が、済州海軍基地賛成・反対派に分かれて憎しみをぶつけ合う。
 「三無(門、垣根、乞食がいない)」=「一つの家族」のようだった共同体が破壊されてしまって、農薬自殺未遂者があり、大半の住民が神経症を病んで専門家のカウンセリングを受けている苦痛を思い浮かべて、胸が痛みます。

 活動・闘争経験のない村人と、多種、多様な活動家が力を合わせて。
 「たたかいの方針を決め、たたかい、総括する」明確な組織はないようです。
 20年ほど前までの韓国社会では、独裁政権の許す範囲の合法闘争だけでは、社会変革のたたかいをすすめることはできませんでした。
 90歳近い南労働党の老闘士もカンジョンにいて。時に基地を囲むフェンスを乗り越え、穴を開けて進入する人たちもいます。
 40歳代半ばの平和活動家・高由基さんが、むずかしいたたかいの理論的分野を担当していて。

 昨年末、民主統合党の道支部政策室長に転出した時、「板倉氏!私は党中央の政策を正しいものにするため、現地場を離れます」と語っていました

 あいまいだった民主統合党は、「済州海軍基地の工事中止、計画の根本的再検討」を公約に掲げ、野党間野「選挙連帯」を実現しました。

 韓国語、英語による発信があって、イギリス人、アメリカ人、フランス人が村に住みついていますが、日本語の情報発信はなくて、日本人の常住者はいません。
 「私も、転戦したい。ゲバラのように」などと思うことがありますが。
 老兵が、あいまいな気もちで、「修羅場」に行くことなぞ許されません。
 今は、情報を伝えることに専念したいと思って、ニュースをお届けしています。
 何人かの方に、喫茶店、焼き肉店などで話を聞いていただきました。
 そのような機会をお与えください。
 できましたら、団体の機関紙などで、紹介していただきたいと思います。
 (「人民の力」の人たちが、カンジョ村に募金を届け、在日韓国大使館に抗議電報を送ったそうです)。

 今、ニュ−スが入りました。
 【ハンギョレ新聞電子版】
済州海軍基地、パク・クネも、「言葉の変更」
パク・クネ委員長も2007年、「道民の合意が第一」
セヌリ党道支部も2002年に、基地に強力に反対


 李明博大統領も、パク・クネ セヌリ党委員長も、済州海軍基地建設の必要性にはほとんど触れないで、済州海軍基地建設が蘆武鉉政権の時期に始まったこと、民主統合党の韓民淑代表(蘆武鉉政府の国務総理)が、済州海軍基地建設に賛成していたことを指摘し、「今になって反対するのは《言葉の変更》であって、政治家としての資質に欠ける」と激しく批判してきました。
 そのパク氏と、セヌリ党道支部が、済州海軍基地.建設に反対していたことが明らかになったということです。
 烈しい論争が続いています。
 楽天的で、冗談を言い合い、時に激しく討論しあう…
 素手で、「独裁政権的・軍国主義的政権」と闘い続けている カンジョンの人たちの顔を思い浮かべています。
 憲法記念日前後に考えていた「詩と写真と版画(上野誠、森貘郎)による松代本営展と日本国憲法9条展inカンジョン」を延期します。
 その展示会と「済州海軍基地を考えるつどいin松代・長野」の準備のために、月末に済州島旅行をします。
 よろしくお願いします。

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