*以下の声明は、4月7日に韓国済州島・カンジョン村で記者会見を行い、済州島側と沖縄側の参加者によって発表される予定でした。しかし前日の4月6日、仁川空港
に到着した沖縄側参加者が入国拒否にあってしまいました。そのために、両者がそれぞれ記者会見を行い、声明を発表しました。以下に声明の全文を記載します。
また「琉球朝日放送」のインターネットサイトに、沖縄での記者会見の様子がUPされています。アドレスは以下の通りです。
http://www.qab.co.jp/news/2012040934858.html


済州−沖縄・平和のための済州島海軍基地建設に反対する声明

  韓国・済州島の海軍基地建設が進められようとしているカンジョン(江汀)村では、毎日まるで戒厳令下のような緊張と対立が続いている。もはや、この村では基本的な人権や常識さえ通用しない。60余年前の済州4・3道民虐殺事件を想起せざるを得ない状況だ。

 沖縄では米軍政下、住民の人権が蹂躙・剥奪された。済州島の米軍政下でも4・3虐殺事件があった。アフガニスタンの米軍政下、トラボルからヘルマンドにかけても虐殺事件が起きている。イラクの米軍政下では、ファル−ジャで虐殺があった。米軍の軍政への戦闘教範は、最初は1940年代にイタリア、アフリカ北部の占領地域で作られ、沖縄において完成された。そして、韓国で再び実施され、現在まで続いている。まるで判で押したかのように、米軍政統治が行なわれている所ではどこでも、軍政の最終段階である親米政権樹立のための選挙のその直前に、大量虐殺が行なわれている。これは米軍の戦闘教範による必然的な結果なのだ。沖縄と済州島の歴史的悲劇は、同じ加害者によってもたらされたものだ。

 1990年、湾岸戦争で劣化ウラン弾が使われた。1995年、沖縄で劣化ウラン弾の誤射事故が起きた。1997年、韓国の京畿道ヨンチョンで劣化ウラン弾の暴発事故が起きた。1998年、ハワイ停泊中の米軍艦から劣化ウラン弾が誤って発射された。韓国の京畿道スウオンとオサン、忠清北道チョンジュの基地、沖縄の嘉手納基地の弾薬庫には、300万発の劣化ウラン弾が貯蔵されていることが明らかになっている。これはイラクで使われた劣化ウラン弾の3倍以上の量だ。核トマホークを搭載した原子力潜水艦は、ハワイと沖縄のホワイト・ビーチを経由し、韓国のチネ(鎮海)に寄航する。もはや、これらの米艦船が済州島の海軍基地に寄航するのは自明のことだ。米軍の駐留基地周辺では例外なく、レイプ(性暴行)事件が頻発している。米軍基地周辺ではこれまた例外なく、騒音やガソリン流出など環境破壊が頻発している。沖縄と済州島で起きている今現在の悲劇の加害者もまた、同一だ。

 韓国・日本・沖縄・済州島を結ぶ最も重要な環は国連軍司令部だ。1951年9月8日、日米安保条約と同時に締結された「吉田・アチソン交換公文」には、「日本政府は韓国での国連軍の活動を支援するために、全ての施設と役務を提供する」となっている。この公文書により、横須賀米海軍基地、横田米空軍基地、キャンプ座間、佐世保米海軍基地、沖縄の嘉手納空軍基地、普天間米海兵隊基地、ホワイト・ビーチが国連軍司令部の後方基地と指定された。国連軍司令官の作戦統制範囲は38度線の非武装地帯から沖縄に至る範囲であり、日米韓の軍事同盟は単なる抽象的概念ではなく、たった1人の司令官が指揮・統制する軍事機構なのだ。

 日本と韓国、そして沖縄と済州島の国境は、米軍にとっては何の意味もなく、単なる一つの戦場にすぎない。沖縄と済州島が同じ歴史、同じ悲劇、同じ目標を共有せざるを得ない理由がここにある。日・韓・沖縄・済州島の運動が連隊を越え、連合へと発展せざるを得ない理由がここにある。

 われわれは、カンジョン村に作られようとしている「軍民複合美港(民間用・軍事用複合港湾施設)」の建設に、憂慮を表明せざるを得ない。軍事基地と民間施設が一緒に建設されることは、常識的に理解できないことである。これは、動く弾薬庫ともいえる軍艦で発生する偶発的事故や、他国による偶発的攻撃に、無責任にも民間人をさらすことになる。

 われわれは、日韓中の全ての市民生活に必要なエネルギー源をもたらす海洋輸送路が、緊張関係の中に置かれることを望まない。緊張に備えるという口実で、軍事態勢の強化そのものが緊張を作り出すからだ。「海洋大国」の膨張戦略は沿岸国の脅威となる、沿岸国としては無理な海洋軍備競争に追い込まれる状況を生み出す。海洋輸送路の軍事化が強化されれば、脅威を受けるのはわれわれの市民生活だ。

 われわれは、日韓中の新しい建設的な海洋制度の樹立に逆行する済州島の海軍基地建設に反対する。韓国側が明らかにしたように済州島の海軍基地はイオ島の水域防備を目標にしているため、韓中における海洋衝突の導火線となる。イオ島は韓中の排他的経済水域が重なり合うため、韓国海軍は済州島を海軍基地建設の予定地とした。そもそも「海洋法に関する国際連合条約(国連海洋条約)」によれば、排他的経済水域とは日本や米国等の海洋覇権国に立ち向かう第3世界の諸国が、海洋管轄権を拡大するのに成功した歴史的成果と言えよう。確かにこの制度の適用過程で、日韓中の東北アジア海洋水域で軍事的緊張が高まっていることも事実だ。だが、日韓中は互いの漁業協定を締結し、東北アジアの海洋制度を作る最終段階に至っている。東北アジアにおける海洋制度の構築は軍事力でなく、平和的に、また交渉を越える信頼によって完成されるものだ。各国がこれまで積み上げられてきた忍耐と譲り合いそして信頼を打ち壊す軍事力重視では、決して東北アジアの海洋平和を推し進められず、国連海洋法条約に真っ向から挑戦するものである。

 われわれは、カンジョン村民とそれを守ろうとする人々の人権を侵害し、表現の自由を奪う弾圧を直に中止することを求める。住民生活と直結する問題提起や抗議は、全ての韓国の憲法で認めれている市民の当然な権利だ。違法行為が予想されると決めつけ、事前に制裁を加えるなどということは明々白々な脱法行為であり、法治国家の根幹を揺るがす暴挙だ。このような戒厳令の下においても、あってはならないことだ。

 われわれは、これまでの歴史的経験により済州島と沖縄、日本と韓国の問題は決して国境の向こうの他人事とは考えられず、次のように主張する。

―欺瞞的で危険な軍民複合港湾建設に反対する。
―東北アジア海上輸送路における軍事的緊張を増幅する海軍基地建設に反対する。
―東北アジアの平和的海洋秩序の構築に逆行する海軍基地建設に反対する。
―住民同士の衝突を助長する海軍基地建設に反対する。
―人権を侵害し、表現の自由を奪い、弾圧をする警察庁を糾弾する。
―人権の自然文化遺産を破壊する不法工事の強行を中断せよ。

済州海軍基地建設反対! 沖縄−済州、日本−韓国平和連隊行動
呼びかけ:沖韓民衆連隊/普天間基地爆音訴訟団/日韓民衆連隊全国ネットワーク/
ストーン・ウオーク・コリア/韓国原爆2世患友会

*この呼びかけには、平和フォーラムも賛同しました。

 


TOPへ戻る