Příhody lišky Bystroušky

利口な女狐の物語

フクバルディ女狐作曲     1921-23年
初演     1924.11.6. ブルノ国民劇場
       (日本初演: 1977.11.8 大阪厚生年金会館二期会関西支部)
演奏時間  第1幕29分、第2幕39分、第3幕34分
台本     チェスノフリデックの新聞連載小説「狐のピストロウシカ」による作曲者自身の台本(チェコ語)
時と場所   時不定、ボヘミヤの森とその近くの村

登場人物  
猟場番(Br)
女狐ビストロウシカ(S)
男狐(Ms)
校長/蚊(Tr)、
神父/穴熊(Bs)
行商人ハラシタ(Bs)
猟場番の妻/ふくろう(A)
パーセック(Tr):宿屋の主人 他

あらすじ

第1幕

第1場 

 森の峡谷、暑い夏の日の午後
 ・女狐ビストロウシカが、猟場番に捕まる。

 ほろ酔い気分の猟場番が木陰で昼寝を始める。すると猟場番を刺そうと蚊が、その蚊を狙って蛙が、その蛙を捕らえようと雌の子狐ビストロウシカが、次々に 登場する。狐に気付いた蛙は驚いて猟場番の上に落ちる。目を覚ました猟場番は子狐を捕まえ、子供のペットにと喜んで家へ連れ帰る。

第2場

 秋の午後、猟場番の庭
 ・女狐ビストロウシカと飼犬ラパークの会話
 ・女狐ビストロウシカ、雌鶏を扇動する。
 ・女狐の逃亡

 犬小屋の前で女狐ビストロウシカが寂しさのあまり泣いている。飼犬ラパークが女狐を慰め、自分の身の上を語る。
 そこに猟場番の息子ペピイークがやってきて、女狐を棒でつついて悪戯をするが、女狐は逆に噛付いてやり、駆けつけた猟場番に縛られてしまう。夜が更け、 ビストロウシカは、さめざめと泣いている。間奏。
 やがて夜が明け、雄鶏と雌鶏がやってくる。女狐は人間の威を借りて雌鶏を支配している雄鶏に腹をたて、雌鶏達に「古いしきたりを破り、新しい世界を創造 しよう!」とアジ演説を行うが、嘲笑されてしまう。怒ったビストロウシカは隙をついて鶏達に次々に噛付く。鶏の悲鳴を聞いて猟場番の女房と猟場番が駆けつ けるが、女狐は縄を噛み切って森へ逃げていく。

第2幕


第1場

 秋の午後、森の中、穴熊の穴の前。
 ・女狐ビストロウシカが、穴熊の巣穴を横取りする。
 
 穴熊が女狐ビストロウシカに巣穴を覗かれて腹を立てる。女狐は、穴熊のけちな態度を非難し森の動物達の賛同を得る。女狐は嫌がらせに巣穴へ放尿する。い たたまれなくなった穴熊は憤慨して立ち去り、女狐はまんまと巣穴をものにする。

第2場

 夜、村の宿屋「ウ・パースクー(パーセックの店)」。
 ・猟場番、校長、神父のやり取り

 猟場番、校長、神父がカードに興じている。校長は蚊のように細く、神父は穴熊そっくりの風貌である。猟場番は逃げられた女狐に、校長は昔の恋人に苦い喪 失感を抱いている。鶏が朝を告げ各々家路につく。


第3場

 夜明け前の森の中、上り坂の小径。
 ・昔を回想する校長、神父。猟場番の銃から逃げる女狐。

 校長が過去を思い出しながら千鳥足で家に向かっている。道端に倒れた校長が、ふと垣根の向日葵を見上げると、そこに女狐の眼が光っている。その眼を、か つて愛したジプシーの娘テリンカと見間違え駆け寄るが、女狐は逃げ、校長は垣根に倒れ込む。
 一方、神父も若き日の苦い恋を回想しながらやってくる。すると突然、銃声がする。猟場番が女狐を見つけて撃ったのだ。だが、女狐は逃げおおせ、後には呆 然とした三人の男が残される。

第4場

 夏の夜、女狐ビストロウシカの穴の前。
 ・雄狐の求愛、狐の婚礼。

 ハンサムな男狐ズラトフシュビーテクが女狐に求愛する。女狐は男狐の愛を受け入れ、二匹は森の動物達の祝福の下で結婚する。

第3幕

第1場

 秋の午後、森の茂みのへり。
 ・女狐ビストロウシカの死

 行商人ハラシタが、鶏の入った籠を背負って歩いていると、猟場番と出会う。ハラシタは猟場番に近々テリンカと結婚すると告げる。猟場番は、罠を仕掛けて 立ち去り、そこに大勢の子狐を連れたビストロウシカ一家が通りかかって罠を見破る。ハラシタは女狐に鉄砲を向けるが、逆に翻弄され持っていた鶏を奪われ る。怒ったハラシタはビストロウシカを撃ち殺す。

第2場

 村の宿屋「ウ・パースクー(パーセックの店)」の庭。
 ・猟場番と校長のやりとり。

 いつになく静かな宿屋の庭先。猟場番が空になった狐の巣穴を見つけたことを校長に話している。校長は、今日、ハラシタとテリンカが結婚するので元気がな い。宿屋の女房が、テリンカが新しい狐の襟巻きを持っていたと二人に話す。

第3場

 夕方、冒頭と同じ場所
 ・猟場番、循環する森に生命に感動する。

 猟場番が過去を回想しながら居眠りしている。ふと目を覚ますと傍らにビストロウシカそっくりの女狐がいる。捕まえようと手を伸ばすが、結局、捕まったの は子供の蛙である。ところがその蛙が語るところによると、その子蛙は以前、猟場番が出会った蛙の孫だという。猟場番は時の流れと循環する森の生命に深く感 動して幕となる。
※写真は、フクヴァルディの女狐像(池田和生さん撮影、提供。ありがとうございました。)


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