ヤナーチェク関連映画
ヤナーチェクに関する映画を紹介します。
■「白いたてがみのライオン」
ヤロミル・イレッシュ監督 ルディック・ムンファー 1986年 チェコ映画 136分
事実にフィクションを織り交ぜたヤナーチェクの伝記映画。「イェヌーファ」完成から晩年までが描かれており,前半は「イェヌーファ」がプラハ上演に漕ぎ
着けるまでの苦労,後半はカミラ夫人との老いらくの恋がストーリーの中心となっている。ドヴォルザークとの交流,語り旋律の探求,ヴィオラダモーレに対す
る執着等,ヤナーチェクにまつわる様々なエピソードを要領良く盛り込んでいて,筋に沿った音楽シーンも豊富。逆境の中,無為に老いていくヤナーチェクの焦
り,頑固で癇癪持ちの夫に泣かされている妻ズデンカの悩みが切実だ。ヤナーチェク,ドヴォルジャーク役の俳優がそっくりなのに驚かされる。クラシックディ
スク・ファイル(音楽之友社 ONTOMO MOOK)のなかで佐川吉男先生が詳しく紹介している。パステルビデオから発売されていたが現在は廃盤。
ヤロミル・イレッシュは,1931年生まれ。チェコヌーベルバーグを代表する映画監督の一人。代表作は,クンデラの「冗談」を映画化した「受難のジョー
ク」等。音楽映画を幾つか手掛けており,68年には「ヤナーチェクの思い出」,73年にはヤナーチェクに関する2本目の作品を撮っている。また,マルチ
ヌーに関する作品や,ドヴォルジャークに関するテレビ番組も制作している。
※以前、パステルビデオからビデオ発売されていたが現在は廃盤。
■「存在の耐えられない軽さ」
フィリップ・カウフマン監督 ダニエル・デイ・ルイス ジュリエット・ビノシュ 1988年 アメリカ映画
チェコ出身フランス在住の作家ミラン・クンデラの同名の小説の映画化。「プラハの春」を背景にした男女の物語。熱烈なヤナーチェキアンであるクンデラの 意を汲んだのか全編に渡ってヤナーチェクの音楽(「おとぎ話」「ヴァイオリン・ソナタ」「草陰の小径にて」「弦楽四重奏第1番」等)が使用されている。
■「レオシュ・ヤナーチェク」
Leoš Janáček: Intimate Excursions
ブラザーズ・クエイ監督 1983年 イギリス映画 27分
「ストリート・オブ・クロコダイル」「ベンヤメンタ学院」等,幻想的な作品を撮り続けているイギリスの奇才ブラザーズ・クエイの短編。マラー・ストラナ
(プラハの旧地区)やオペラのキャラクター,故郷フクバルディの風景,カミーラ・シュテスロヴァーの肖像等,ヤナーチェクに関するイメージが断片的に挿入
されながら,彼の主要作品(「ブロウチェクの旅行」「利口な女狐の物語」「マクロプロス事件」「消えた男の日記」「死者の家から」「グラゴル・ミサ」等)
が,ヤナーチェクのモノローグとともに紹介されていく。画面は暗めで,人形の動きはぎこちなく,内容もわかりにくいが,一見の価値はある。
ちなみにクエイには,チェコの幻想映像作家ヤン・シュワンクマイエルについての短編作品もある。ビデオテープがダゲレオ出版から発売されていた(タイトル:「ストリート・オブ・クロコダイル」)。
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隊長ブーリバ
J. リー・トンプソン 監督 トニー・カーティス/ ユル・ブリンナー/ クリスティーネ・カウフマン/ ペリー・ロペツ/ サム・ワナメイカー/
ブラッド・デクスター 1962年 アメリカ映画 125分
ヤナーチェクの同名管弦楽曲の題材、ゴーゴリの小説「タラス・ブーリバ」を映像化したハリウッド往年の文芸スペクタクル大作。監督は「ナバロンの要塞」の
J.リー・トンプソン、音楽は「陽のあたる場所」のフランツ・ワックスマン、主演はこの手のエキゾチックな作品には常連のユル・ブリンナー。ロケ地である
アルゼンチンの大草原を人・馬が埋め尽くす様
は壮観です。