消えた男の日記 Zápisník zmizelého

関根 日出男

ブルノの日刊紙リドヴェー・ノヴィニは、1916年5月14日と21日の日曜版に2回に分け、“独学の徒の筆になる”詩を掲載した。内容は「謎めいた手記を残し、ジプシー娘を追って失踪した若者」の物語である。簡潔で力強い詩は、ヤナーチェクの生地ラシュスコ地方の東南、ヴァラシュスコ地方の方言で書かれていた。
永年この作者をめぐって論議されてきたが、1997年に、地元の中学校教師で、1970年代からこの問題を追求していた文学史家イジー・デメルと、ヤン・ミケスカ注1によりつき止められた。彼らは、詩人のオゼフ・カルダ注2 が、友人の作家マトゥラ(1885~1953)に、自分のいたずらを打ち明けた1916年6月8日付書簡を、プラハの文学資料館で見つけたのだ。その内容は1997年1月と5月にラジオで放送され、プラハの音楽学会誌やブルノの音楽雑誌オプス・ムジクムなどに公表され、ミケスカはこの作家のモノグラフを出版した。

注1:ミケスカ(1948年生)。チェコ製薬会社のマネ―ジャー、化学者、民俗学者。ブルノ、プラハ、ペルッジャなどで学び、多くの論文を発表。少年時代はルハチョヴィツェ温泉の北、約20キロにある小村ザードヴェジツェで過ごした。郷土の民俗文化を研究、「ヴァラシュスコ住民のテキサス州への移民史」などの論文を、国内外の雑誌に寄稿している。

注2:オゼフ本名ヨゼフ・カルダ(1871~1921)。6歳から12歳まで、上記ザードヴェジツェ村の祖母のもとで過ごした。その後プラハなどで学び、1893年からプラハ鉄道管理局の役人として働く。ヴァラキア方言を用いた作品も書き、読者層に早くから人気があった。37歳で18歳年上の女性と結婚したが、晩年は神経を冒され、カルロヴィ・ヴァリとルハチョヴィツェの温泉で療養、プラハのオルシャニ墓地に葬られた。ジプシーを主題にした作品は数編あり、1904年作の「子供たち」は、クシチカ(1882~1969)により1918年にオペラ化されている。

 
この詩が掲載された当時、ヤナーチェクは「イエヌーファ」のプラハ初演などで忙しかったが、翌1917年の誕生日7月3日に、例年のように単身、東モラヴィアの温泉地ルハチョヴィツェを訪れ、余暇の読物として上記の詩の切抜きを持参した。彼が泊ったヴラスチミラ荘の向かいのジョフィーン荘には、カミラ・ステッスロヴァー(1891~1935)という若い人妻が1歳の息子と滞在していた。彼女に一目惚れしたヤナーチェクはバラの花束と手紙を送り、死ぬまで11年間の交際がはじまる。

妻のズデンカとの間が冷え切っていたヤナーチェクにとって、教養はあまりないが、黒髪で浅黒い肌をしたカミラは、「消えた男の日記」のジプシー娘に投影され、この作品を書く動機となった。

休暇を終えブルノに戻ったヤナーチェクは、早速この作品のスケッチにかかるが、その状況はカミラ宛の最初の手紙に記されている。しかし他の作品に忙殺されたため、全体の半分までゆかぬところで中断し、最終稿が完成したのは1919年後半、オペラ「カーチャ・カバノヴァー」の作曲にとりかかる直前だった。彼は間奏を含め23節ある原詩をわずかに変え、10節と11節を一つにし22節とした。

カルダもしばしばルハチョヴィツェを訪れていたから、ヤナーチェクと出会った可能性もあるが確証はない。でもヤナーチェクの蔵書の中にはカルダの「みやまねず」があった。デメルはこの作品の最終節と「消えた男の日記」の第20番との類似性を指摘している。

1年以上も木箱にしまわれていたこの作品の草稿を、弟子の指揮者B・バカラ(1897~1958)が見つけ、法律家のJ・レツィアーンと2人でヤナーチェクに歌って聴かせた。作曲者はファルセットで歌うテノールの高音域を書き改め、ソプラノをアルトに変えた。

初演は1921年4月18日(カルダの死の3ヶ月半後)、ブルノのレドゥタ劇場で作曲者臨席のもと、K・ザヴジェル(T)、L・クヴァピロヴァー(A)、バカラ(P)により行われた。同年10月18日には同じ顔ぶれで、プラハのモーツァルテウムで歌われ、翌1922年にはベルリン、ロンドン、パリでもとりあげられた。

この作品は劇的内容から“ミニ・オペラ”と看做され、作曲者も「ステージは薄暗く照明を赤くし、アルト歌手は8番が歌われている間に、気づかれぬように登場、9、10番の女声合唱(SSA)は舞台裏に置き、アルト歌手は11番のアダージオ(終りから26小節目)で、気づかれぬよう退場」と指定している。

舞台での上演は1926年10月28日ルブリャナで、Z・クニトル(T)、V・ティエリ(A)、バカラ(P)により行われ、1943年6月26日にはプルゼニュで、O・ジーテク(1892~1956)とV・セドラーチェク(1879~1944)のオーケストレーションによる舞台上演が行われた。

オペラ監督で指揮者のカシュリークは1969年にテレビ映画を作り、映画監督イレシュも1980年に映画化している。

完全4度+長2度(As~Des+Es、Es~As+B)音の組み合わせが、全篇を貫く郷愁をそそる旋律の核となっており、民俗楽器ツィンバロムを模したピアノ伴奏により、物語の背景が叙情的、劇的に描写されている。4~5番、9~10番、13~14番、17~18番、20~21番にかけてはアタッカ、6、11、13、18、19、21番の後に、長い休止が指示されている。

テノール独唱(うぶな若者ヤン)が主体だが、9番から11番にかけてアルト独唱(誘惑するジプシー娘)が加わり、9番と10番には、静かな女声3部(SSA)合唱が入り、妖しげな森中の情景を描写する。13番のピアノ間奏を経て、18番で若者は激情を爆発させ、20番で悦びは頂点に達する。この舞踏音型は21番に持ち越され、22番のテノール高音Cの叫びで終る。


※譜例はこちらのページを参照ください。
  譜例中の番号は曲番号です。




参照CD:

1)コロムビア・ミュージック・エンターテインメントCOCQ 83827(2004年7月発売)
 a) B・ブラフト、S・シチェパーノヴァー、J・パーレニーチェク「1956年録音」
 b) N・ゲッダ、 V・ソウクポヴァー、 J・パーレニーチェク「1984年録音」

2)スプラフォン SU 3378 – 2931:
 P・ストラカ、D・ペツコヴァー、M・ラプシャンスキー、「1998年録音」

3)ヤナーチェク財団1998年、非売品:
V・プシビル、L・マロヴァー、M・マーシャ「1969年ブルノ放送録音」


対 訳:

ゼフカ、女声合唱の表示あるIX~XI以外のI~VIII, XIV~XXIIはヤン(テノール)

I
Potkal sem mladou cigánku, 
nesla se jako laň,
přes prsa černé lelíky
a oči bez dna zhlaň.
Pohledla po mně zhlboka,
pak vznesla sa přes peň,
a tak mi v hlavě ostala
přes celučký, celučký deň. 

I
俺は若いジプシーに出会った、
雌鹿のように歩む娘に、
黒いお下げ髪は胸をおおい
底なしにきれいな目。
俺をじっと見つめてたが、
切株を飛び越えて消えた、
だがその残像は俺の頭に
日がな一日こびりついてた。
II
Ta černá cigánka
kolem sa posmětá -- 
proč sa tady drží,
proč nejde do světa ?
Byl bych snad veselší,
gdyby odjít chtěla :
šel bych sa pomodlit
hnedkaj do kostela.

II
黒髪のジプシー娘は
あたりをうろつく・・
なぜここにとどまり
遠くへ行かない?
俺は陽気になれるのに、
あれが立ち去る気になれば:
そしたらすぐに教会へ
懺悔の祈りに行けるのに。
III
Svatojánské mušky tancija po hrázi,
gdosi sa v podvečer podle ní prochází.
Nečekaj, nevyjdu,nedám já sa zlákat, 
mosela by po téj má maměnka plakat.
Měsíček zachodí, nic už vidět není, 
stojí gdosi stojí v našem záhumení.
Dvoje světélka zářija do noci.
Pane Bože, nedaj! Stoj mi ku pomoci!

III
蛍が堤で乱れ舞う
夕暮れそこを歩む人影。
待つな、行かぬぞ、誘われはせぬ
行けばおふくろは泣いちまう。
月は落ち、もう何も見えない
うちの裏庭に誰かが立つ。
夜闇に輝く二つの光。
神様、どうか!俺を助けて!
IV
Už mladé vlaštúvky
ve hnízdě vrnoží,
ležal sem celú noc 
jako na trnoži.
Už sa aj svítání
na nebi patrní,
ležal sem celú noc
jako nahý v trní.

IV
もうツバメの雛は
巣の中で囀ってる、
俺は一晩じゅう横になってた
横木の上にいるように。
もう暁の光が
空を朱に染めてる、
俺は一晩じゅう横になってた
裸で棘の上にいるように。

V
Těžko sa mi oře,
vyspal sem sa malo,
a gdyž sem odespal:
o ní sa mi zdálo !


V
畑を耕す体は重い
よく眠れなかったから、
眠ったかと思うと、
あの娘が夢に現れて!
VI
Hejsi, vy siví volci,
bedlivo orajte, 
nic vy sa k olšině
nic neohledajte!
Ode tvrdéj země
pluh mi odskakuje,
strakatý fěrtúšek
listím pobleskuje.
Gdo tam na mne čeká,
nech rači zkamení, 
moja chorá hlava 
v jednom je plameni.

VI
おい、灰色の牛たち、    
気をつけて耕せ、
ハンの木林になど
目を向けないで!
固い地面にぶつかり
鋤が飛びはねる、
派手な色の前掛が
葉がくれにきらめく。
あそこで俺を待つ奴は
石になっちまえばいい、
おかしくなった俺の頭は
一気に燃えあがる。

VII
Ztratil sem kolíček,
ztratil sem od nápravy, 
postojte volečci, postojte,
nový to vyspraví.
Půjdu si pro něho
rovnú já do seče.
co komu súzeno,
tomu neuteče.

VII
俺は木釘をなくした
鋤を止めてた木釘を、
牛たちよ、ここにいてくれ、
新しいのを作るまで。
そいつを作りにゆこう
まっすぐ森の空地へ。
定められた宿命から、
だれも逃れられない。
VIII
Nehled‘te, volečci,
tesklivo k úvratím,
nebojte sa o mne,
šak sa vám neztratím !
Stojí černá Zefka 
v olšině na kraju, 
temné její oči
jiskrú ligotajú.
Nebojte sa o mne
aj když k ní přikročím,
dokážu zdorovat
uhrančlivým očím.


VIII
牛たちよ、悲しそうに見るな、
耕地のはずれの方を、
俺のことを心配するな
姿を消しはしないから!
黒髪のゼフカが立ってる
ハンの木林のはずれに、
彼女の黒い瞳は
火花を散らしてる。
俺のことを心配するな、
あいつに近づいても
負けはせぬ
誘うような眼差しに。
IX
[ゼフカ ]
„Vítaj, Janíčku,
vítaj tady v lese !
Jaká št’astná trefa
t’a sem cestú nese ?
Vítaj, Janíčku !
Co tak tady stojíš,
bez krve, bez hnutí,
či snad sa mne bojíš ?“

IX
[ゼフカ]
「ようこそ、ヤンさん
森へよく来てくれたわね!
どんな幸運が、あんたをここへ
小道を通って連れてきたの?
ようこそ、ヤンさん!
何でそこに突っ立ってるの、      
血の気も失せ、身動きもせず、
きっとあたしが怖いのね?」

[テノール]
„Nemám já sa věru,
nemám sa koho bát,
přišel sem si enom 
nákolníček ut’at !“

[ゼフカ]
„Neřež můj Janíčku,
neřež nákolníčku!
Rači si poslechni cigánskú pěsničku !“

[女声合唱]
Ruky sepjala,smutno zpívala,
truchlá pěsnička srdcem hýbala.


[テノール]
「何で俺が怖がる、
怖い者なんかいない、
ここへ来たのは、ただ
木釘にする木を切るためだ!」

[ゼフカ]
「今、切ることないわ、ヤンさん、
木釘なんか切り出さないで!
それより耳を傾けてジプシーの歌に!」

[女声合唱]
彼女は両手を握りしめ、 悲しげに歌った
切ない歌は彼の心をゆり動かした。

X
[ゼフカ]
„Bože dálný, nesmrtelný,
proč ‘s cigánu život dal ?
By bez cíle blúdil světem,
štván byl jenom dál a dál ?“
„Rozmilý Janíčku, čuješ - li skřivánky ?“

[女声合唱]
Smutná pěsnička srdcem hýbala.

X
[ゼフカ]
「彼方にいます不死の神様
ジプシーに命を授けたのはなぜ?
あてもなくこの世をさまよい
遥か遠くへ追われゆくため?」
「いとしいヤンさん、ヒバリの囀りが聞こえて?」

[女声合唱]
切ない歌は彼の心をゆり動かした。

[ゼフカ]
„Přisedni si přeca podlevá cigánky!“
„Bože mocný! milosrdný !
Než v pustém světě zahynu,
daj mi poznat, daj mi cítit !“

[女声合唱]
Smutná pěsnička srdcem hýbala

[ゼフカ]
「さあ、近くに坐ってジプシー娘のすぐそばに!」
「偉大にして慈悲深い神様!
空しいこの世を去る前に
すべてを知り感じさせて!」

[女声合唱]
切ない歌は彼の心をゆり動かした。

[ゼフカ]
„Pořád tady enom
jak solný slp stojíš,
všecko mi připadá,
že sa ty mne bojíš.
Přisedni si blížej,
ne tak zprovzdaleka,
či t’a moja barva
preca enom leká ?
Nejsu já tak černá
jak sa ti uzdává,
gde nemože slnce
jinší je postava !“

[女声合唱]
Košulku na prsoch 
krapečku shrnula,
jemu sa všecka krev
do hlavy vrhnula.

[ゼフカ]
「あんたはずっとここに
塩の柱みたいに立っている、
そうだわきっと
あたしが怖いのね。
もっと近くへ坐って
そんなに離れてないで、
あたしの肌が黒いから
きっと怖がってるのね?
あたしそんなに黒くはない
あんたが思ってるほどにはね
陽に当たらないところは
違った風に見えてよ!」

[女声合唱]
彼女は胸のブラウスを
ほんの少しはだけると
彼の血はすべて
頭にのぼった。
XI
Tahne vůňa k lesu
Z rozkvetlé pohanky,

[ゼフカ]
„Chceš-li Janku vidět,
jak spija cigánky ?“

[テノール]
Halúzku zlomila,
kámeň odhodila. 
„Tož už mám ustlané,“
v smíchu prohodila.

XI
森にただよう芳香は
咲き誇るソバの花から。

[ゼフカ]
「ヤンさん、見たいでしょ
ジプシー娘が寝るさまを?」

[テノール]
娘は邪魔な小枝を手折り
大きな石を払いのけた:
「これで寝床はもうできた」
笑顔を浮かべ話し続ける:

[ゼフカ]
„Zem je mi za polštář,
nebem sa přikrývám,
a rosú schladlé ruce
v klíně si zahřívám.“

[テノール]
V jednej sukénce
na zemi ležela 
a moja poctivost‘
pláčem usedala.


[ゼフカ]
「大地が枕で 
空が上掛け、
露に濡れて冷えた手は
太ももの間で温めるの」

[テノール]
スカート1枚だけの娘は
そのまま大地に横たわる
うぶな俺は
泣きながら腰を下ろした。
XII
Tmavá olšinka chladná studénka,
černá cigánka bílé kolénka:
na to štvero, co živ budu,
nikdy já už nezabudu.


XII
薄暗いハンの木林に冷たい泉、
黒髪のジプシー娘に真っ白な膝:
この4つを生きてる限り
俺は決して忘れまい。

XIII
klavír sólo

XIII
ピアノ間奏
XIV
Slunéčko sa zdvihá,
stín sa krátí.
Oh! Čeho sem pozbyl,
gdo mi to navrátí ?

XIV
陽は高く昇り
影は短くなる。
ああ、俺が失った物を
だれが返してくれよう?

XV
Moji siví volci, 
co na mne hledíte ? 
Esli vy na mne, 
esli vy povíte !
Nebudu já biča 
na vás šanovat,
budete to potem
budete banovat !
Nejhorší však bude,
vrát’a sa k polednu,
jak já jen maměnce
do očí pohlédnu !

XV
俺の灰色の牛たちよ
何でそんな目で見る?
まさか俺のことを皆に
ばらすんじゃなかろう!
そんなことしたら鞭を
遠慮なくふるうぞ
そしたらお前らは
泣きをみるんだぞ!
だが一番困るのは
昼近く家へ帰るとき
俺はおふくろの目を
まともに見れようか!
XVI
Co sem to udělal ? 
Jaká to vzpomněnka !
Gdyž bych já měl pravit
cigánce maměnka.
Cigánce maměnka,
cigánu tatíček,
rači bych si ut’al
od ruky malíček !
Vyletěl skřivánek,
vyletěl z ořeší,
moje truchlé srdce
nigdo nepotěší.

XVI
俺はいったい何をした?
何という思いだ!
こう言わねばならぬとは
ジプシー女を母さんと。
ジプシー女を母さんと
ジプシー男を父さんと、
いっそ手の小指を
切り落とした方がまし!
ヒバリが一羽飛び立った
クルミの木から飛び立った
俺の悲しいこの心を
だれも慰めてはくれない。  

XVII
Co komu súzeno
tomu neuteče.
Spěchám já včil často
na večer do seče.
Co tam chodím dělat ?
Sbírám tam jahody.
Lísteček odhrňa,
užiješ lahody.


XVII
定められた宿命から
だれも逃がれられない。
いましばし俺は急ぐ
夕べの森の空地へと。
そこへ何をしに?
イチゴ摘みにさ。
葉っぱを一枚払いのけ
楽しみを味わうのさ。
XVIII
Nedbám já včil o nic,
než aby večer byl,
abych já si Zefkú 
celú noc pobyl.
Povšeckým kohútom
hlavy bych zutínal,
to aby žádný z nich svítání nevolal.
Gdyby chtěla noc na věky trvati,
abych já na věky mohl milovati.


XVIII
いま俺の頭にあるのは
夕べが訪れることだけ
ゼフカといっしょに
夜いっぱい過ごせるから
雄鶏の首を
みんな刎ねちまいたい
どの雄鶏も暁を告げないよう。
夜がずっと続いていれば
俺はずっと愛してられる。
XIX
Letí straka letí
křídlama chlopotá,
ztratila sa setře
košulenka z plota.
Gdo jí ju ukradl,  
aj, gdyby věděla,
věckrát by se mnú  
řečňovat nechtěla. 
Oh, Bože, rozbože,  
jak sem sa proměnil,
jak jsem své myšlenky 
ve svém srdci změnil. 
Co sem sa modlíval,  
už sa hlava zbyla,  
jak gdyby sa pískem  
zhlybeň zařútila !  

XIX
泥棒カササギが飛ぶ
羽ばたきながら
妹のブラウスが消えた
垣根に干してたのに。
ああ、だれが盗んだか
妹が知ったら
俺とはもう決して
口をきくまい。
ああ、神様、何て
俺は変っちまった
心の中の考えを、何と
変えちまったんだ。
祈ってきたことで
何がいま頭に残ってる
それは砂の中深く
埋もれちまったのか!

XX
Mám já panenku,
ale po kolenka  
už sa jí zdvíhá
režná košulenka. 


XX
俺の恋人
膝上高く
まくりあげてる
粗地の肌衣。
XXI
Můj drahý tatíčku, 
jak vy sa mýlíte,  
že sa já ožením, 
kterú mi zvolíte.
Každý, kdo pochybil, 
nech trpí za vinu: 
svojemu osudu   
rovněž nevyminu ! 

XXI
いとしい父さん
あんたの当ては外れた
俺が嫁にするのは
あんたが選ぶ娘じゃない。
過ちを犯した者はみな
その罪に苦しまねば:
これからの運命も
俺は避けない!
XXII
S Bohem, rodný kraju,   
s Bohem, má dědino ! 
Navždy sa rozlúčit, 
zbývá mi jedino.
S Bohem, můj tatíčku, 
a i vy, maměnko,
s Bohem, má setřičko, 
mých očí poměnko !
Ruce vám obtúlám, 
žádám odpuštění,
už pro mne návratu
žádnou cestou není ! 
Chci všecko podniknút,
co osud poručí ! 
Zefka na mne čeká,
se synem v náručí !
XXII
さらば、生まれ故郷よ   
さらば、わが村よ!
永遠の別れ、それが
俺に残された唯一の道。
さよなら、父さん
それにあなた、母さんも
さよなら、妹よ
俺の目の勿忘草よ!
みなの手に口づけし
願うはただ許しのみ
俺には引き返す
道はもうない!
何でもやるつもり
運命が命ずるままに!
ゼフカが待ってる
俺の息子を腕に抱いて!

Home