ジャマイカ孤児院レポート(2003年10月発行の活動報告より)


チャリティ・レゲエ・コンサートの収益金で子供暴力防止クリニックにワンウェイミラー等を寄付。


昨年10月に岸和田市(大阪府)で行ったチャリティーコンサートの収益金をマスタードシード孤児院への車椅子の寄付に充てる予定でしたが、下記のように、車いすはピースボードより寄付されますので、当会では西インド大學のブラウン教授らがボランティアで運営する子供暴力防止クリニックでカウンセリングのために必要な物品を寄付することにしました。

性や暴力の虐待を受けた子供たちをカウンセリングする際に、子供たちの様子を隣の部屋から観察するための、ワンウエイミラー(マジックミラー)や音声を聴くためのマイクなどが必要という要請を受けたためです。現在、彼らは大学内の小さな古い小屋を使って活動していますが、同じ大学内の別の場所に新しくクリニックを建設することになりました。

その新しいクリニックに要請のあった物品を寄贈します。

NGOピースボートから車いすと紙おむつ、文房具など到着

8月15日、日本のNGOピースボートの船がモンティゴ・ベイに到着。車いす88台をはじめ、紙おむつ、文房具など大量の支援物資を届けてくださいました。これらはピースボードがジャマイカのマスタードシード孤児院、ベストケア・ロッジ・ブロッサムズ孤児院などの障害者や子供たちのために日本で集めてくださったものです。

まだ免税通関の手続きが終わっていませんので、それらの施設には届いていませんが、その手続きのお手伝いをし、無事に届けられるのを見届けたいと思います。





ジャマイカ・ナチョナル・チルドレンズ・ホームに学費寄付


8月28日、例年通り、国連NGO WFWPと共同でジャマイカ・ナショナル・チルドレンズ・ホームの5人の子供たちに学費を計US$1000寄付しました。皆様のご寄付、本当にありがとうございました。

ナショナル孤児院には週に一度訪問し、新聞でかご作りや折り紙や日本語を教えたり、子供たちと孤児院周辺のゴミ拾いなどをしました。






セントフランシス幼稚園の卒園式に参加。


貧困地域になるこの幼稚園に、2001年9月より国連NGO、WFWPと共同で毎月US$120の経済支援を行っています。6月15日、卒園式に参加しました。誇らしげにガウンと防止をかぶった子供たち。9月からはそれぞれ小学校に進んで勉強しています。








国連NGO WFWP Jamaica のモラル教育を支援


WFWPJamaica では、学校や警察官のユースクラブ、教会などでモラル教育を行っています。

特に10代の若者が未熟なまま性関係を持ち、妊娠、出産するケースがかなり多いのがこの国の問題の一つです。厚生省でも「10代の若者には他にすることがたくさんある。適切な時まで性関係を持つのは待とう」とか「コンドームやエイズや望まぬ妊娠から身を守ろう」というような内容のポスター掲示やテレビ、ラジオでの啓蒙活動にかなり力を入れています。

12歳から15歳位の子供たちが妊娠するケースもよくあり、診療所などには必ず「低年齢の妊娠は母子ともに危険である」という内容のポスターが貼られています。

WFWP Jamaica のモラル教育は「コンドームを使おう」というような内容ではなく、「結婚まで性関係を持たない。結婚までに自分の人格を高めることが大切。特に自己中心、個人主義に生きるのではなく、人のために生きることのできる人間になってこそ初めて配偶者との良い関係が築け、適切に子供を育てていくことができる」というような内容で講義を行っています。

当会では講師のサーモン氏の活動費として毎月1万円を寄付しています。講義は大変好評で最近では首都キングストンだけでなく、モンティゴ・ベイ、オーチョリオス、セント・メリーなど遠方からも講義の要請が増えています。上記の問題だけでなく、エイズや性病が急激に増えている状況を解決するためにも重要な活動だと感じます。


ストリートチルドレン・・・ジャマイカの問題点

ジャマイカの新聞にストリートチルドレンの母親のインタービューが掲載されていました。

ジャマイカの新聞にストリートチルドレンの母親のインタビューが掲載されていました。その女性は11人の子供がおり、うち3人の男の子がランチ代、バス代がなく学校に行くことができなくなり、毎日道路で信号待ちの車のフロントガラスを拭いたり(1回J$20 約40円)、金銭を乞うという、ジャマイカのストリートチルドレンになっているというものでした。

その女性が言うには、出産後、父親である男性に逃げられ、子供に食べさせるためのお金がないから、収入を得るために別の男性と関係を持ち、妊娠してしまうことを繰り返しているうちに子供が11人になってしまったというのです。

そしてその3人の男の子たちの稼ぐお金は1日計J$3000(約6000円)にもなるらしいのですが、そのお金を母親に差し出しても彼女は受け取りません。受け取ってしまうとまた学校に行かず稼いでこようとするから・・・というのですが、そのお金で彼らはガンジャ(マリファナ)を買ったり、ギャンブルをしたりしているというのですから、本当に怖いことです。それでもその母親は「孤児院に預けようとは思わない。一緒に暮らしていつかは学校に行かせてやりたい」と語っています。

何人かの孤児院の館長に、ジャマイカではどうして孤児が多いのかという質問をしてみました。

「まず第一に家族計画(避妊)をしていないからだ。経済力がないのに、次から次へと子供を産む。ひどい親になると、娘に売春をさせたり、息子にゲイの男性に体を使ってお金を稼がせたりする者まででてきた」「診療所に行けばコンドームは無料でもらえる。ピルも安く買える。それでもジャマイカの女性たちは避妊をせずに子供を産み、男性に逃げられ、次の男性をつかむためにその男性の子供を産む。前の教訓から学ぶことをせず、何度も同じことを繰り返している。それで結局育てられなくなり、孤児院に預けることになる」というような答えが返ってきました。

この問題は計り知れなく解決のめどもないようにも見えます。

しかし、教育によって必ず道は開けると思っています。私たちの支援はあまりにも小さいものですが、ジャマイカの子供たちの将来のために、できることを続けていくつもりです。

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ジャマイカ孤児院レポート(2003年4月発行の活動報告より)

2003年2月のジャマイカのニュースによると、ジャマイカのストリートチルドレンを含む、各孤児院や施設に収容されていて親が死亡、あるいは教育を放棄している子供はジャマイカ全土で6,503人とのこと。全人口約260万人という数字から考えるとどう見ても少ないとはいいがたいものがあります。かなり発展を見せ、アメリカと変わらぬ裕福な生活をしている人も多い同国ですが、やはり半数の人は貧しく、その日一日生活するお金があればいいという感じです。それにもかかわらず、次々とパートナーを変え、性関係を持っては子供を産む若者も多く、結局育てられなくなると、施設に預けることになります。法的に結婚している人が半数しかいないといわれるこの国では、結婚、家庭の概念が私たちの感覚とはかなり異なるものがあるようです。今回、孤児院を訪問するたびに、元気だけれど、どこか寂しげで耐えることに慣れてしまったような子供たちを見て、思いっきり甘えられる自分だけの親がいるということの重要性をひしひしと感じました。愛されて育って初めて人間は本当の意味で人を愛し思いやり、規律を守って、助け合っていく社会を創っていけるのだと思います。(平松)

ジャマイカナショナル チルドレンズ・ホーム
今回、さらに新しく2002年から学費を寄付することになった3人のうちの2人に会うことができました。2人とも素直で明るい女の子です。こちらのページで紹介しています。

セントフランシス・ベーシック・スクール
よくガンマンの打ち合いがあったりする治安の悪く、貧しいこの地域のキリスト教会の裏にある小さなベーシック・スクール。2001年1月に亡くなった元園長のマックライモント女史がボランティアで始めた学園。1ヶ月の月謝はJ$500(約1200円)と本当に安いが、それでも払えない親がいて、教師の給料も滞りがちでした。元園長の要請に応えてWFWP大阪第7連合会から毎月約1万円、当会から約5〜6千円(毎月計US$120)を支援しています。わずかな寄付ですが、本当に重要視されています。 授業が終わって食事の準備の前にお祈りをします。だいたいどこの学校でもジャマイカの国家を歌い、お祈りをして授業を始めるようです。同国の学校のしつけは結構厳しく、静かに先生の話を聞いていないと、ものさしやベルトで手足やおしりをビシッとたたかれ、カツを入れられます。3歳から算数の簡単なものや文字も教えています。 驚いたのは、首相の名前や、さらに各省の大臣の名前も子供たちに覚えさせていることです。「ジャマイカの首相の名前は?」と先生が聞くと、皆いっせいに「Mr. P.J. パターソン!」(03年当時)と答えていました。

ウオルトリーホーム
7歳から17歳の女の子ばかり20人が暮らしています。1918年からと歴史は古く、近くのキリスト教会が支援しています。2002年に初めて訪問し、衣類を2箱寄付しました。4人のスタッフがいて、館長を含む2人は住み込みで子供たちの世話をしています。「朝4時半から起きて食事の用意をしなければならない。休む暇もない」と館長がおっしゃっていました。



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