自作 (アマチュア無線)

自作(じさく)はアマチュア無線の本来の楽しみ方で、自らアマチュア無線に使用する機器やアンテナなどを製作することである。自作によって技術の向上を図ることはもちろん、自作の無線機器を用いての交信は格別の楽しみがある。

戦後のアマチュア無線の黎明期(昭和27年=1952年〜昭和30年代)には、市販のアマチュア無線機器は無かったため、必然的に自作や、旧日本軍・米軍の放出品などの改造によって無線設備を調達していた。昭和40年代から市販のアマチュア無線機器が増え、自作の技術・経験が無くてもアマチュア無線局の開局が容易になった。 しかし、自作の必要性は決して無くなったのではなく、現在でも多くのアマチュア無線家によって無線機器の自作、および関連する技術研究が行われている。また、既存の機器を改造して楽しむこともできる。これら利用者による機器の自作や改造による無線局の運用は、業務無線などでは困難である(業務無線機の筐体を開く事は電波法令で禁じられており、ほぼ不可能と言ってもよい)。

送信機の自作
送信機のうち最も自作が簡単なものが電信の送信機である。搬送波(キャリア)を電鍵のオン/オフによって断続し、モールス符号を送る仕組みである。また、振幅変調(AM)の送信機の自作も比較的容易であり、振幅変調の運用が行われている事実上唯一のバンドである50MHz帯において自作機の使用が多い。

大出力の送信機ほど製作が難しくなるため、小電力(QRP)の送信機の自作から始めるのが通例である。また、送信機の出力電力をさらに増幅するためのリニアアンプ(ブースター)の自作も多く見受けられる。

送信周波数の安定性を確保するため、長波・中波帯の一部を除いては水晶発振回路(水晶振動子を用いて非常に高い周波数安定度の電気信号を発生する回路)が用いられる。

概して、採算が取れずメーカーが量産しないような種類の送信機が自作される。


送信機の改造
輸出用市民ラジオ(CB無線)を、周波数の近い28MHzのアマチュア無線機に、一部の400MHz業務用無線機を430MHzのアマチュア無線機に改造することがある。さらには1970年代の古い短波(HF)無線機に、当時はなかった10MHzや18MHzといった、通称「WARCバンド」が送信できるように改造したケースもある。

受信機の自作
受信機の自作は、真空管が全盛の時代にはラジオの自作としてアマチュア無線家以外にも広く親しまれていた。

受信関係の機器で、手持ちの受信機では受信できない周波数帯を受信するためのクリスタル・コンバータ(周波数変換器―既存の受信機に取り付けることによって別の周波数帯の受信を可能とする装置)は、受信機本体よりも自作が容易である。この例として、かつては、28MHz帯の周波数を有する無線機に接続して、無線機単体では送受信できない50MHz帯や144MHz帯の周波数に変換して送受信を行う、トランスバータという周波数変換装置の自作も多く行われていた。


アンテナの自作
送信機、受信機に比べると、アンテナの自作は実用性が高く、今でも市販品に対しての競争力は失っていない。また、性能の良し悪しが電波の強さに比例するため、性能改善が出来たときは実利面での満足感が得られる。ある程度の測定や調整の技術を修得すれば、自分の運用スタイルに合ったアンテナを設計・製作することもできる。アマチュア無線家によって開発されたアンテナ(HB9CV、ヘンテナなど)もある。

周辺機器の自作
上記以外にも、アマチュア無線の運用には電波の送信・受信に直接関係する機器だけでなく、数多くの周辺機器が必要であり、それらの自作の楽しみもある。

自作・改造機による開局等の手続き
上記自作・改造送信機は、当然のことながら技術基準適合証明を受けていないため、空中線電力が200W以下の場合、保証認定業務を行う「TSS(株)」を経由して開局等の手続きを行うことになる。 アマチュア局の開局手続きも参照。