延算寺について

延算寺の由来

 当山は今から1,200年程前に弘法大師(空海)によって創建され、一時は国立寺院に指定されたこともあります。又、伝説によれば小野小町が「かさ」という病気(今の天然痘)にかかられ、本尊様の夢のお告げで薬水を授かり、病気平癒の利益を得られ、水の出るほとりに本尊の御分身を祀られました。これが当山東院の本尊で有名な「かさ神薬師」といわれ、日々濃尾平野一帯より参詣する人が、跡を立ちません。

薬水(東院水屋形)

 今から、1,200年程前、伝教大師(最澄)というお坊さんが、中国(唐)から帰ってきて、因幡の国(鳥取県)の岩井というところの温泉に泊まり、一体の大きな楠の木で、三体の薬師如来像をきざまれました。二対は比叡山等にそれぞれ、おまつりされましたが、あとの一体は「美濃の国に霊泉(ふしぎな泉)があるから、そこにおまつりするとよい」といい残して旅に出られました。ちょうどその頃、この美濃の岩井で一人の僧が座禅をしていると、仏様がどこからか飛んでこられた夢を三日も続けてみました。するとある夜、山や谷がゴーゴーと鳴り出しひどい暴風雨となり、僧が座禅をしている小屋も壊れるくらいでしたが、やがて風雨もやみ、静かになったので目をあけてあたりを見渡すと、夢の中に出てきた仏様が金色の光を放って立っておられたので、もったいないと思い自分の小屋の中におまつりしようとしましたが、仏様を祀るような台もなく困っていると、村人たちが、新しいたらい(洗濯をするおけ)を持ってきてくれたので、その上にのせて、おまつりをしていました。そのことがあってか、この仏様をたらい薬師ともいうそうです。
それから、しばらくたってから、ってから、弘法大師(空海)というお坊さんが、この地にこられてこの仏様をご覧になり、これではもったいないということで、立派にお寺をおつくりになり、延算寺という名前をつけられたということです。座禅をしていた僧は弘法大師の弟子となり観日と名のって延算寺の二番目の住職になりました。

本院本堂(県重要文化財)

延算寺の本尊薬師如来(国指定重要文化財)