大株の植え替え

大株の植え替えは、数年に一度で大丈夫ですが、尺を越える鉢を使用する様な大株は、
地中根が退化して、根鉢が小さく成っている場合が多く、株と鉢のバランスを保つために、
根鉢より大きな鉢を使用する結果になり、用土を多量に使用する事になり、大きな鉢では、
鹿沼土なら2袋以上も入ってしまうことが有ります。

幸いな事に、私は鹿沼土の産地が身近に有り、比較的安価で入手できるのですが、
市販の用土を使用する場合は、用土の費用も負担が大きいと思います。

また全てを鹿沼土などで植えつけると、重量も重くなり移動も困難に成ってしまいます。
その様な事から尺鉢を越える大物の植え付けは、皆さんそれぞれに工夫をされています。

以下に私の知りえるいくつかの方法を、参考までに紹介します。


鉢底に発泡スチロール片を使用する

この方法が一般的で最も多く多くの方に
用いられている様です。

前にも述べましたが、大きな古株では、
地中根は意外と少なくなっている物が多く、
鉢底まで届くほどの根が無いのが実情です。

大きな鉢を使用する場合には、鉢底には
魚箱等に使用される、発泡スチロールを
適当な大きさに割って入れます。

其の上に大粒の用土を敷き詰めてから
巻柏を置いて見て、高さの調節を図ります。

良ければ其の位置から、植え付けの用土を
入れて植えつけます。

 この方法を用いると、用土の節約と軽量化が計れますが、特に大きな株では
巻柏の重量で植え付け時より、幾分沈む場合も有ります。


鉢底に小さな鉢を入れる

この方法を用いると、発泡スチロールが
巻柏の重量で潰れて沈む事が無くなります。

大きな鉢の底に駄鉢を伏せて入れるのですが、
中に入れる駄鉢の縁が、大鉢の鉢底に密着
してしまうと、水が捌けなくなってしまうので、
大鉢の鉢底と駄鉢縁の間に、鉢のかけら等
を入れて隙間を作り、水捌けを計ります。

中に入れた駄鉢の周囲には、鉢の高さより
低めに、発泡スチロール片を入れます。

其の上に大粒の用度を入れて、高さの調節を
計り、良ければ植え土で植え付けます。

私はこの方法を用いています。


植え土を 使用しない方法



この方法は少数の方が実施しております。

全く植え土を使用しないので、用土の費用も
全く掛からず、古い土も出ない訳ですから
市街地にお住まいの方でも、古土の処理に
困る事も無く、良い面もあるのですが、
私の考えとは相いれない部分が有りますので、
私は行って居りません、理由は後述します。

私は実施した事が無く、完成品を拝見して
おおよその手順を推測して紹介するもので、
あるいは誤った部分が有るかも知れませんが、
ひとつの方法として紹介致したく思います。

手順は、厚めの発泡スチロールを用意し、
鉢の内径と巻柏の根塊の太さに合わせて、
左図の様な形に切り抜いて準備します。

巻柏の地中根の部分を切除します。

鉢の中には、水分を含む事の無い軽量な
材料で、巻柏の台になる物を入れます。

台の上に地中根を切除した巻柏を立てて、
前記で準備した発泡スチロールで挟み付け
巻柏が倒れないように押さえつけます。

以上ですが必要に応じて、発泡スチロールの上に、化粧砂等を乗せて押さえ板を隠すと、
見た目には植え付けてある物と同じに見えます。
 
この方法は前記したような利点もあるのですが私の考えには相容れない部分があり、
私は実施に踏み切れません。 

この方法を否定するつもりは有りませんが、私が実施しない理由を以下に記して見ます。

1、湿度を保つ植え土が無く、地中根も無く全く活躍しない訳ですので、根が地中の水分を
  吸い上げて、根塊の湿度を維持保湿する術が無いので、乾燥が激しくなると思われます。

2、頻繁に水を与えられない場合は、乾燥を防止するために、必然的に株間に詰め物を
  する等の対策が必要になります。

3、詰め物を多用する結果になれば、詰め物内で新根が活躍を始め、葉は若返って
  一時期は元気になりますが、機能しなくなった本来の幹(根塊)の死滅を招きます。

4、 特大株の根幹ですから幹(根塊)は太く、死滅しても相当の年数は持ち応えるでしょうが、
   死滅した根塊は、やがては朽ち果て、ばらけて倒れてしまうのではないかと思われます。

5 少しでも地中根が活躍している幹(根塊)は、永久に生き続けると思われますので、
  私は少ない地中根でも大切にしたいと思い、あえてこの方法は実施せず、用土に植えて、 
  地中根が少しでも多くなる事を願いつつ管理しています。

  やむおえず私の手を離れる時が来ても、愛培を引き継いでくれる趣味家の手によって、
  この巻柏が永久に生き続ける事を願って、将来を見据えた管理をしています。
 

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