た行 な行の品種
大王閣 (だいおうかく)
平成12年度登録品種です、やや立性の整った常葉の萌黄葉種です。
夏は比較的澄んだ黄色を強めます。
泰黄冠 (たいこうかん)
平成11年度登録品種です、羽衣の変化種と言われ、葉幅が広めの大葉の萌黄葉です。
秋には葉の中ほどから、渋い橙色を乗せ始め、秋の深まりに連れて葉先を残して、
橙色に染めて行きます。
泰平冠 (たいへいかん)
昭和27年度登録品種です、泰平楽の変化種で、黄白色の曙斑を現します。
登録以来高い人気を保ち続ける品種ですが、私はあまり好みではなく、最初から育成して
いた株は、資材費の化けて既に無く、現在は品種確保用の小さな品が数個有るだけです。
泰平楽 (たいへいらく)
昭和18年からの品種で、麒麟獅子の変異種とも言われています。
葉肉は丸みを感じる程極厚く、分岐の少ない立性の葉は、珊瑚樹形とも言われます。
高尾錦 (たかおにしき)
昭和32年度登録品種です、葉幅はやや広めで、葉組みやや粗めの萌黄の常葉種です、
紅葉期は鮮やかな橙色に成ります。
古い銘鑑を遡ると、明治時代と万延元年にも、「高尾錦」の名が見られますが、
現在の「高尾錦」とは、同名異種で無縁の品と言われています。
高 砂 (たかさご)
天保14年からの品種です、葉組みのやや粗い常葉で、固定の白爪斑を有します。
この爪斑は、時に葉先を抱える事から、高砂の翁の持つ熊手になぞらえて、
「高砂」の名が付いたと云われています。
宝獅子 (たからじし)
昭和32年度登録品種です、葉組みが粗く分岐も少ない常葉で、下垂して葉先を根元に
巻き込みます。 宝山の変化種のようで、宝山より葉組みや葉肌が若干荒いのですが、
先祖返りの特性を持つ準固定種で、挿し芽発芽苗の殆どが、先祖の宝山に戻ってしまい、
その特徴を良く現す苗が出来難い品種です。
竹田ノ誉 (たけだのほまれ)
昭和40年度登録品種です、細身で分岐の少ない中型葉です。
一見玉姫龍を思わせる葉形ですが、より大葉の平性で、斑は現さぬ青葉ものです。
龍 頭 (たつがしら)
昭和50年度登録品種です、葉組みのやや粗め常葉に一本葉を交えます、一本葉は
やがて葉先を分岐して、手葉状に成ります。 晩春から黄白色の曙斑を表します。
立 浪 (たつなみ)
万延元年からの古典品種です、葉肉が薄めで葉組みが粗めの、大型の常葉に
黄白色の曙斑を現します。
玉織姫 (たまおりひめ)
昭和25年度登録品種です、中葉の部類でしょうか、平性の常葉に曙斑を現します。
斑は中斑になり秋には葉先に地色を残して、斑の部分が赤橙色に紅葉するのですが、
我が家での本種は、斑乗りの良くない一員で、前記の様に成ってくれません。
玉 葛 (たまかずら)
やや立性の常葉の大葉です、晩春から葉先に乳白色の、曙斑を現し始めます。
玉川染 (たまがわぞめ)
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万延元年からの全ての銘鑑に其の
名が見られる古典品種の名品で、
細やかな感じの常葉に、乳白色の
曙斑を表します。
上の画像の品は兄弟で、全く同じ管理
ですが、ご覧の様な違いが有ります。
挿し芽発芽の苗時から、一部の品に
上のしゃしんの右の様な長めの葉で
育つ個体が生まれます。
幼苗時の多くは写真の左の品の様に、
短い葉を密茂して玉形になりますが、
年月を経るとその姿の維持は困難で
右写真の様な葉姿の成株に成ります。
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玉麒麟 (たまきりん)
一見「八重麒麟」に似た葉姿ですが、下葉が石化状に成る特性を有します。
万延元年からの、ほぼ全ての銘鑑に其の名が見られる本種ですが、私が巻柏を始めた頃は、
現在の葉姿の品は無く、八重麒麟と判別出来ぬ程酷似して、夏に葉先が褐色の玉状に
成る品が「玉麒麟」であると言われ、一説では作落ちの「八重麒麟」説も有ったほどでしたが、
平成に成ってから現在の個体が流通し始め、本種は八重麒麟との違いを識別できる事から、
私も認識を変え、画像の品を「玉麒麟」として扱うように成りました。
玉孔雀 (たまくじゃく)
万延元年からの品種と言われ、万延元年及び明治31年と明治34年の銘鑑に、その名が
見られます。 昭和初期の各銘鑑には、その名は見られず、日本巻柏連合会銘鑑には、
昭和49年度発行の第22号銘鑑から、突然に掲載されるようになります。
その後は昭和58年度まで連続で掲載されますが、昭和59年度の第32号銘鑑以降は、
掲載から外れます。 細身の立性の常葉で青葉物、一説では日作りの「玉孔雀」は、
芽先の多い短葉になり、玉形になるとの事ですが、私の棚での40年近い培養では、
残念ながら其の兆候さえ見られず、現在も大葉のままなのです。
玉獅子 (たまじし)
天保14年の「青海縮緬」が本種の始まりと言われ、万延元年から「玉獅子」名で、
全ての銘鑑に掲載される古典品種で、青物の代表種です。
品種の特徴は何方も良くご存知のはずですので、私の下手な説明は不要ですね。
玉手箱 (たまてばこ)
万延元年からの品種で、全ての銘鑑に其の名が見られる古典品種ですが、人気度は
今一のようです。 葉幅広めの常葉で、晩春から乳白色の曙斑を現します。
葉の伸びた「金牡丹」に葉姿や斑の感じが似ている事から、葉の伸びた金牡丹を、
玉手箱と呼ぶ方も居られるようですが、両種は全く異質の品種です。
玉 錦 (たまにしき)
昭和35年度登録品種ですが、昭和49年より「雲上錦」に統合されたと言われています。
手持ちの書籍で「玉錦」に付いて調べると、『「玉錦」は葉先が下垂して巻き込み、玉形と
なるのに対し「雲上錦」は下垂するだけなので・・・以下略 』との記述が見られます。
玉姫龍 (たまひめりゅう)
昭和25年度登録品種です、細身で葉組みが粗く、分岐の少ない短い葉を下垂させて根元に
巻き込みます。 晩春から乳白色の曙斑を現します、また稀に金龍の様な一本葉を、突然
現すこともあります、しかしその様な一本葉は、数を増やす事無く数年後には消滅しますが、
その様な個体を何度か目にしているので、本種の持つ潜在的特性なのかもしれません。
丹 頂 (たんちょう)
天保14年からの古典品種の名品です、扇形の短い葉の葉先から、白の曙斑を春から現し
始めます。 比較的生育の遅い品種で、中々大きくならないのですが、古株になっても葉が
伸びる事は無く、芽に大小が生じないのも本種の特徴でしょう。
私が巻柏を始めて以来、本種は高い人気度を保っており、生育が遅い事もあり高価な為に、
私の所持した古株は 、全て資材費に効率的に化けてしまい、現在は品種保存の為に、
画像クラスの小さな品が、数株有るだけです。
千代田染 (ちよだぞめ)
昭和55年度登録品種です、分岐が少なく葉組みの粗い立性の葉に、黄色の刷毛込斑を
持つ葉を交えます、秋には緑の葉が、真っ赤な紅葉を見せてくれます。
司金龍 (つかさきんりゅう)
昭和27年度登録品種です、手葉を多目に有する金龍です。
この他に何と説明すれば良いのでしょうか?、ねえ、誰か教えて。
金龍も個体によっては、多少の手葉を有しますので、其の線引きは議論の対象になるで
しょうが、定義は無いようですので、手葉の数を見た目の感じで判別する他は無さそうです。
司牡丹 (つかさぼたん)
平成8年度登録品種です、黒牡丹の変化種で、白の刷毛込斑を有します、青葉の部分は
黒牡丹と同様ですが、白斑を多く持った葉は、長く伸びる傾向にあり、青葉とのバランスを
崩し、葉姿が多少乱れます。
鶴之舞 (つるのまい)
昭和58年度登録品種です、葉幅が広めで分岐が少なく葉組みも粗く、すこし撚れのある
大葉です、晩春から黄白色の曙斑を表します。
天黄冠 (てんこうかん)
昭和50年度登録品種です、墨染錦の胞子発芽種とも言われ、葉形は似て居ますが、
葉肉は厚く地色は萌黄色です、強日に耐えられぬ性質の為に、消滅させた株が多かった
のでしょう、一時期は幻の草とも云われましたが、近年は日照に強めの固体が出現し、
普及し始めておりますので、以前よりは入手も容易になったようです。
天賜冠 (てんしかん)
平成12年度登録品種です、玉獅子の変化種で、玉獅子よりは多少葉丈は長く、
春から乳白色の曙斑を現し、初夏には全葉を斑で染めますが、夏以降は緑を戻します。
天司宝 (てんしほう)
昭和49年度登録品種です、天龍の変化種と言われ、葉幅の狭い扇形の常葉に、
黄白色の曙斑を表します。
天照冠 (てんしょうかん)
平成13年度登録品種です、白晃麒麟の変化種と言われ、色彩は白晃麒麟を思わせますが、
葉を下垂させて葉先を葉元に、強く巻き込む特性を有します。
日光には弱いようで、葉焼けを起こしやすく、我が家では傷みが生じ、サッパリ大きくなり
ませんが、挿し芽の発芽率は良く、巻き込んで丸くなった葉を、どのように置けばよいのかと
迷う程ですが、どのように置いても乾燥させなければ、高確率で発芽して苗が得られます。、
天神龍 (てんじんりゅう)
昭和43年度登録品種です、錦昇龍を思わせる葉形ですが、より葉幅が広めで、
常時僅かに茶色を帯びています、黄白色の曙斑も僅かに現します。
天 龍 (てんりゅう)
昭和27年度登録品種です、檜葉形の大葉に、手葉及び手葉になる一本葉を交えます、
晩春から黄白色の曙斑を表しますが、我が家での斑乗りは今一です。
東海錦 (とうかいにしき)
画像は有りません。
昭和12年からの品種で、日本巻柏連合会銘鑑には、昭和22年の第1号銘鑑より、
第21号〔昭和48年〕まで、銘鑑の比較的高い位置に掲載されますが、昭和49年に
花車に統合されたと聞いています。
次の事は、同じく花車に統合された、「木曽錦」の項でも述べていますが、
花車の数株の親葉を挿し芽して小苗を育成すると、多少異なる葉形も見られます、
柔らかで丸みを感じる葉や、硬直感の有る葉などが生まれます、しかしその微妙な
違いを細分化しては切が無く、私は皆は同じに扱います。
その様な理由から、改まって「木曾錦」を入手しなかったので、私の基準との特徴の違いを
把握していませんが、「花車」の葉形を、葉先が円弧状の団扇形に例えると、「木曽錦」は
縦長の小判形で、「東海錦」は葉先の先端が高く菱形の様であった、とも聞き及んでいます。
現在は「花車」系の葉形は色々あり、「大和錦」や一般に「雲上錦」名で流通している細葉を
挿し芽しても花車になるが、気分的にか葉が細めの感じを受けます、葉重ね良く葉先に
丸みがあり、柔らか味を感じる苗を得たい場合は、親葉の厳選を要すると思う昨今です。
吐玉泉 (とぎょくせん)
上下の画像は、どちらも「吐玉泉」ですが、画像から葉形の違いをお解り頂けるでしょうか?。
「吐玉泉は」昭和63年度登録品種で、玉姫龍の変化種と聞いていますが、玉姫龍に比べ
葉幅の広い葉ですが、本種には上下の画像のような、2種類の葉形が有ります。
どちらも同じ登録元の出身と聞いていますが、始めに流通していた品は上の画像のタイプで、
葉形は玉姫龍に良く似ていますが、挿し芽の発芽率は極めて悪く、また成長も極めて遅く、
入手は困難で、当然の如く高価になりました。
その後に上の画像のタイプが見られるようになり、近年流通して居るのは下の画像の
タイプです、こちらは葉先の分岐が少し多く、晃玉龍を極小葉にしたような葉形ですので、
画像を詳細に見比べれば、葉形の違いがお解り頂けると思います。
記述の便宜上、仮に上の画像のタイプを A として、下の画像のタイプをBとすると、
葉形の違うAB両タイプは、葉形の違いと同様に性質も若干違います。
前述の通りAのタイプは、何方も繁殖が困難だったらしく、殆ど目にする事は無くなって
しまいましたが、その後に流通し始めたBタイプは、挿し芽繁殖も容易で成長もまずまずで、
現在「吐玉泉」で入手出来るのは、殆どがBのタイプです。
現在はAのタイプを繁殖されている方は、居られないのではないかと思われ、所持する方は、
登録当初に入手して消滅させる事なく愛培している方か、繁殖に成功した品を運よく入手
された方だけではないかと思います。
常盤ノ光 (ときわのひかり)
昭和48年度登録品種です、雲井鶴の変化種と聞いています、葉組みが粗めの常葉で、
平性と言うより下垂気味で、半球形の葉姿に成ります。
これは皆様ご存知の、石岡巻柏研究所様のお話で知った事ですが、
その葉姿から登録以前には、「逆さ雲井」と呼ばれていたそうです。
栃 錦 (とちにしき)
昭和47年の登録品種ですが、独立した品種としては最短命で、
新登録の僅か3年後には「紅玉錦」に統合されます。
画像の品は随分前に、ある先輩から「栃錦」として小さな苗を頂いた物です、頂いた品は
私の認識する「紅玉錦」と全く同じですが、一応「栃錦」として扱われた品の子孫です。
登録当時を知る方から聞いた話では、登録当初から普通の「紅玉錦」だったと、聞いた事も
ありますが、一口に「紅玉錦」と言っても、葉性は極短葉のものから「玉織姫」に近い物まで
あります、登録時の説明文は、『紅玉錦の枝変りにして、非常に優美で八つ房の如くかたまり、
紅葉も優美なり』と成っておりますので、この事から登録された方は、極短葉の物に当名を
冠したものと推測します。
轟 (とどろき)
昭和50年度登録品種です、明星の太葉変化種で、葉幅が広い常葉は少し撚れ性があり、
明星同様の斑を現します。
友白髪 (ともしらが)
天保14年からの古典品種で、天保14年「諸白髪」、万延元年「友しら賀」、明治31年銘鑑
以降は「友白髪」となっています。 緑地の大葉に、白の刷毛込斑を現します。
錦 木 (にしきぎ)
万延元年からの古典品種です、葉肉厚めで葉組みやや粗めの平性の常葉で、
黄白色の曙斑を深く現します。
西ノ有明 (にしのありあけ)
本種は文政12年に発刊された、「草木錦葉集」に図入りで紹介された5種の内の、
「弥七岩ひば」がその始まりと言われ、その後は江戸時代及び明治時代の銘鑑の、
「四季の曙」が本種と言われていますが、昭和初期の銘鑑には全く掲載が無く、
日本巻柏連合会銘鑑には、昭和49年度の第22号から掲載され始め、その後は
連続で掲載されています。
檜葉形の大葉に、春から乳白色の曙斑を現します、斑は後眩みの春の曙斑で、
夏以降は緑を戻します、本種の最大の特徴は、軽く触れても葉先を飛散させる事にあり、
思わぬ所に発芽している事があります。
日 光 (にっこう)
昭和42年に新登録され、昭和48年度銘鑑まで掲載されますが、その後の銘鑑に掲載は
有りません。
私が巻柏を始めた時からの参考書籍である、主婦の友社発刊(編者 日本巻柏連合会)の
「いわひば育て方のコツ」の「友白髪」の項には、『斑の良く出たものを「日光」と呼んで
いましたが・・(中略)・・昭和四十九年から「友白髪」に統一される事になりました』とあり、
別の書籍にも同様の記述が見られます。
画像の品は、葉全体に斑を乗せた「友白髪」で、つまりは「日光」と言う事に成ります。
ただ、このように葉全体に深く斑を乗せた友白髪は、挿し芽をしても発芽は困難で、
上手く発芽しても中々育たず、親芽自体も年々衰退してしまう傾向にあります。
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