た行 な行の品種
大王閣 (だいおうかく)
![](img330.jpg)
平成12年度登録品種です、やや立性の整った常葉の萌黄葉種です。
夏は比較的澄んだ黄色を強めます。
泰黄冠 (たいこうかん)
![](img331.jpg)
平成11年度登録品種です、羽衣の変化種と言われ、葉幅が広めの大葉の萌黄葉です。
秋には葉の中ほどから、渋い橙色を乗せ始め、秋の深まりに連れて葉先を残して、
橙色に染めて行きます。
泰平冠 (たいへいかん)
![](img332.jpg)
昭和27年度登録品種です、泰平楽の変化種で、黄白色の曙斑を現します。
登録以来高い人気を保ち続ける品種ですが、私はあまり好みではなく、最初から育成して
いた株は、資材費の化けて既に無く、現在は品種確保用の小さな品が数個有るだけです。
泰平楽 (たいへいらく)
![](img333.jpg)
昭和18年からの品種で、麒麟獅子の変異種とも言われています。
葉肉は丸みを感じる程極厚く、分岐の少ない立性の葉は、珊瑚樹形とも言われます。
高尾錦 (たかおにしき)
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昭和32年度登録品種です、葉幅はやや広めで、葉組みやや粗めの萌黄の常葉種です、
紅葉期は鮮やかな橙色に成ります。
古い銘鑑を遡ると、明治時代と万延元年にも、「高尾錦」の名が見られますが、
現在の「高尾錦」とは、同名異種で無縁の品と言われています。
高 砂 (たかさご)
![](img335.jpg)
天保14年からの品種です、葉組みのやや粗い常葉で、固定の白爪斑を有します。
この爪斑は、時に葉先を抱える事から、高砂の翁の持つ熊手になぞらえて、
「高砂」の名が付いたと云われています。
宝獅子 (たからじし)
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昭和32年度登録品種です、葉組みが粗く分岐も少ない常葉で、下垂して葉先を根元に
巻き込みます。 宝山の変化種のようで、宝山より葉組みや葉肌が若干荒いのですが、
先祖返りの特性を持つ準固定種で、挿し芽発芽苗の殆どが、先祖の宝山に戻ってしまい、
その特徴を良く現す苗が出来難い品種です。
竹田ノ誉 (たけだのほまれ)
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昭和40年度登録品種です、細身で分岐の少ない中型葉です。
一見玉姫龍を思わせる葉形ですが、より大葉の平性で、斑は現さぬ青葉ものです。
龍 頭 (たつがしら)
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昭和50年度登録品種です、葉組みのやや粗め常葉に一本葉を交えます、一本葉は
やがて葉先を分岐して、手葉状に成ります。 晩春から黄白色の曙斑を表します。
立 浪 (たつなみ)
![](img339.jpg)
万延元年からの古典品種です、葉肉が薄めで葉組みが粗めの、大型の常葉に
黄白色の曙斑を現します。
玉織姫 (たまおりひめ)
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昭和25年度登録品種です、中葉の部類でしょうか、平性の常葉に曙斑を現します。
斑は中斑になり秋には葉先に地色を残して、斑の部分が赤橙色に紅葉するのですが、
我が家での本種は、斑乗りの良くない一員で、前記の様に成ってくれません。
玉 葛 (たまかずら)
![](img341.jpg)
やや立性の常葉の大葉です、晩春から葉先に乳白色の、曙斑を現し始めます。
玉川染 (たまがわぞめ)
![](img342.jpg)
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万延元年からの全ての銘鑑に其の
名が見られる古典品種の名品で、
細やかな感じの常葉に、乳白色の
曙斑を表します。
上の画像の品は兄弟で、全く同じ管理
ですが、ご覧の様な違いが有ります。
挿し芽発芽の苗時から、一部の品に
上のしゃしんの右の様な長めの葉で
育つ個体が生まれます。
幼苗時の多くは写真の左の品の様に、
短い葉を密茂して玉形になりますが、
年月を経るとその姿の維持は困難で
右写真の様な葉姿の成株に成ります。
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![](img343.jpg) |
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玉麒麟 (たまきりん)
![](img344.jpg)
一見「八重麒麟」に似た葉姿ですが、下葉が石化状に成る特性を有します。
万延元年からの、ほぼ全ての銘鑑に其の名が見られる本種ですが、私が巻柏を始めた頃は、
現在の葉姿の品は無く、八重麒麟と判別出来ぬ程酷似して、夏に葉先が褐色の玉状に
成る品が「玉麒麟」であると言われ、一説では作落ちの「八重麒麟」説も有ったほどでしたが、
平成に成ってから現在の個体が流通し始め、本種は八重麒麟との違いを識別できる事から、
私も認識を変え、画像の品を「玉麒麟」として扱うように成りました。
玉孔雀 (たまくじゃく)
![](img345.jpg)
万延元年からの品種と言われ、万延元年及び明治31年と明治34年の銘鑑に、その名が
見られます。 昭和初期の各銘鑑には、その名は見られず、日本巻柏連合会銘鑑には、
昭和49年度発行の第22号銘鑑から、突然に掲載されるようになります。
その後は昭和58年度まで連続で掲載されますが、昭和59年度の第32号銘鑑以降は、
掲載から外れます。 細身の立性の常葉で青葉物、一説では日作りの「玉孔雀」は、
芽先の多い短葉になり、玉形になるとの事ですが、私の棚での40年近い培養では、
残念ながら其の兆候さえ見られず、現在も大葉のままなのです。
玉獅子 (たまじし)
![](img346.jpg)
天保14年の「青海縮緬」が本種の始まりと言われ、万延元年から「玉獅子」名で、
全ての銘鑑に掲載される古典品種で、青物の代表種です。
品種の特徴は何方も良くご存知のはずですので、私の下手な説明は不要ですね。
玉手箱 (たまてばこ)
![](img347.jpg)
万延元年からの品種で、全ての銘鑑に其の名が見られる古典品種ですが、人気度は
今一のようです。 葉幅広めの常葉で、晩春から乳白色の曙斑を現します。
葉の伸びた「金牡丹」に葉姿や斑の感じが似ている事から、葉の伸びた金牡丹を、
玉手箱と呼ぶ方も居られるようですが、両種は全く異質の品種です。
玉 錦 (たまにしき)
![](img348.jpg)
昭和35年度登録品種ですが、昭和49年より「雲上錦」に統合されたと言われています。
手持ちの書籍で「玉錦」に付いて調べると、『「玉錦」は葉先が下垂して巻き込み、玉形と
なるのに対し「雲上錦」は下垂するだけなので・・・以下略 』との記述が見られます。
玉姫龍 (たまひめりゅう)
![](img349.jpg)
昭和25年度登録品種です、細身で葉組みが粗く、分岐の少ない短い葉を下垂させて根元に
巻き込みます。 晩春から乳白色の曙斑を現します、また稀に金龍の様な一本葉を、突然
現すこともあります、しかしその様な一本葉は、数を増やす事無く数年後には消滅しますが、
その様な個体を何度か目にしているので、本種の持つ潜在的特性なのかもしれません。
丹 頂 (たんちょう)
![](img350.jpg)
天保14年からの古典品種の名品です、扇形の短い葉の葉先から、白の曙斑を春から現し
始めます。 比較的生育の遅い品種で、中々大きくならないのですが、古株になっても葉が
伸びる事は無く、芽に大小が生じないのも本種の特徴でしょう。
私が巻柏を始めて以来、本種は高い人気度を保っており、生育が遅い事もあり高価な為に、
私の所持した古株は 、全て資材費に効率的に化けてしまい、現在は品種保存の為に、
画像クラスの小さな品が、数株有るだけです。
千代田染 (ちよだぞめ)
![](img351.jpg)
昭和55年度登録品種です、分岐が少なく葉組みの粗い立性の葉に、黄色の刷毛込斑を
持つ葉を交えます、秋には緑の葉が、真っ赤な紅葉を見せてくれます。
司金龍 (つかさきんりゅう)
![](img352.jpg)
昭和27年度登録品種です、手葉を多目に有する金龍です。
この他に何と説明すれば良いのでしょうか?、ねえ、誰か教えて。
金龍も個体によっては、多少の手葉を有しますので、其の線引きは議論の対象になるで
しょうが、定義は無いようですので、手葉の数を見た目の感じで判別する他は無さそうです。
司牡丹 (つかさぼたん)
![](img353.jpg)
平成8年度登録品種です、黒牡丹の変化種で、白の刷毛込斑を有します、青葉の部分は
黒牡丹と同様ですが、白斑を多く持った葉は、長く伸びる傾向にあり、青葉とのバランスを
崩し、葉姿が多少乱れます。
鶴之舞 (つるのまい)
![](img354.jpg)
昭和58年度登録品種です、葉幅が広めで分岐が少なく葉組みも粗く、すこし撚れのある
大葉です、晩春から黄白色の曙斑を表します。
天黄冠 (てんこうかん)
![](img355.jpg)
昭和50年度登録品種です、墨染錦の胞子発芽種とも言われ、葉形は似て居ますが、
葉肉は厚く地色は萌黄色です、強日に耐えられぬ性質の為に、消滅させた株が多かった
のでしょう、一時期は幻の草とも云われましたが、近年は日照に強めの固体が出現し、
普及し始めておりますので、以前よりは入手も容易になったようです。
天賜冠 (てんしかん)
![](img356.jpg)
平成12年度登録品種です、玉獅子の変化種で、玉獅子よりは多少葉丈は長く、
春から乳白色の曙斑を現し、初夏には全葉を斑で染めますが、夏以降は緑を戻します。
天司宝 (てんしほう)
![](img357.jpg)
昭和49年度登録品種です、天龍の変化種と言われ、葉幅の狭い扇形の常葉に、
黄白色の曙斑を表します。
天照冠 (てんしょうかん)
![](img358.jpg)
平成13年度登録品種です、白晃麒麟の変化種と言われ、色彩は白晃麒麟を思わせますが、
葉を下垂させて葉先を葉元に、強く巻き込む特性を有します。
日光には弱いようで、葉焼けを起こしやすく、我が家では傷みが生じ、サッパリ大きくなり
ませんが、挿し芽の発芽率は良く、巻き込んで丸くなった葉を、どのように置けばよいのかと
迷う程ですが、どのように置いても乾燥させなければ、高確率で発芽して苗が得られます。、
天神龍 (てんじんりゅう)
![](img359.jpg)
昭和43年度登録品種です、錦昇龍を思わせる葉形ですが、より葉幅が広めで、
常時僅かに茶色を帯びています、黄白色の曙斑も僅かに現します。
天 龍 (てんりゅう)
![](img360.jpg)
昭和27年度登録品種です、檜葉形の大葉に、手葉及び手葉になる一本葉を交えます、
晩春から黄白色の曙斑を表しますが、我が家での斑乗りは今一です。
東海錦 (とうかいにしき)
画像は有りません。
昭和12年からの品種で、日本巻柏連合会銘鑑には、昭和22年の第1号銘鑑より、
第21号〔昭和48年〕まで、銘鑑の比較的高い位置に掲載されますが、昭和49年に
花車に統合されたと聞いています。
次の事は、同じく花車に統合された、「木曽錦」の項でも述べていますが、
花車の数株の親葉を挿し芽して小苗を育成すると、多少異なる葉形も見られます、
柔らかで丸みを感じる葉や、硬直感の有る葉などが生まれます、しかしその微妙な
違いを細分化しては切が無く、私は皆は同じに扱います。
その様な理由から、改まって「木曾錦」を入手しなかったので、私の基準との特徴の違いを
把握していませんが、「花車」の葉形を、葉先が円弧状の団扇形に例えると、「木曽錦」は
縦長の小判形で、「東海錦」は葉先の先端が高く菱形の様であった、とも聞き及んでいます。
現在は「花車」系の葉形は色々あり、「大和錦」や一般に「雲上錦」名で流通している細葉を
挿し芽しても花車になるが、気分的にか葉が細めの感じを受けます、葉重ね良く葉先に
丸みがあり、柔らか味を感じる苗を得たい場合は、親葉の厳選を要すると思う昨今です。
吐玉泉 (とぎょくせん)
![](img361.jpg)
![](img362.jpg)
上下の画像は、どちらも「吐玉泉」ですが、画像から葉形の違いをお解り頂けるでしょうか?。
「吐玉泉は」昭和63年度登録品種で、玉姫龍の変化種と聞いていますが、玉姫龍に比べ
葉幅の広い葉ですが、本種には上下の画像のような、2種類の葉形が有ります。
どちらも同じ登録元の出身と聞いていますが、始めに流通していた品は上の画像のタイプで、
葉形は玉姫龍に良く似ていますが、挿し芽の発芽率は極めて悪く、また成長も極めて遅く、
入手は困難で、当然の如く高価になりました。
その後に上の画像のタイプが見られるようになり、近年流通して居るのは下の画像の
タイプです、こちらは葉先の分岐が少し多く、晃玉龍を極小葉にしたような葉形ですので、
画像を詳細に見比べれば、葉形の違いがお解り頂けると思います。
記述の便宜上、仮に上の画像のタイプを A として、下の画像のタイプをBとすると、
葉形の違うAB両タイプは、葉形の違いと同様に性質も若干違います。
前述の通りAのタイプは、何方も繁殖が困難だったらしく、殆ど目にする事は無くなって
しまいましたが、その後に流通し始めたBタイプは、挿し芽繁殖も容易で成長もまずまずで、
現在「吐玉泉」で入手出来るのは、殆どがBのタイプです。
現在はAのタイプを繁殖されている方は、居られないのではないかと思われ、所持する方は、
登録当初に入手して消滅させる事なく愛培している方か、繁殖に成功した品を運よく入手
された方だけではないかと思います。
常盤ノ光 (ときわのひかり)
![](img363.jpg)
昭和48年度登録品種です、雲井鶴の変化種と聞いています、葉組みが粗めの常葉で、
平性と言うより下垂気味で、半球形の葉姿に成ります。
これは皆様ご存知の、石岡巻柏研究所様のお話で知った事ですが、
その葉姿から登録以前には、「逆さ雲井」と呼ばれていたそうです。
栃 錦 (とちにしき)
![](img364.jpg)
昭和47年の登録品種ですが、独立した品種としては最短命で、
新登録の僅か3年後には「紅玉錦」に統合されます。
画像の品は随分前に、ある先輩から「栃錦」として小さな苗を頂いた物です、頂いた品は
私の認識する「紅玉錦」と全く同じですが、一応「栃錦」として扱われた品の子孫です。
登録当時を知る方から聞いた話では、登録当初から普通の「紅玉錦」だったと、聞いた事も
ありますが、一口に「紅玉錦」と言っても、葉性は極短葉のものから「玉織姫」に近い物まで
あります、登録時の説明文は、『紅玉錦の枝変りにして、非常に優美で八つ房の如くかたまり、
紅葉も優美なり』と成っておりますので、この事から登録された方は、極短葉の物に当名を
冠したものと推測します。
轟 (とどろき)
![](img365.jpg)
昭和50年度登録品種です、明星の太葉変化種で、葉幅が広い常葉は少し撚れ性があり、
明星同様の斑を現します。
友白髪 (ともしらが)
![](img366.jpg)
天保14年からの古典品種で、天保14年「諸白髪」、万延元年「友しら賀」、明治31年銘鑑
以降は「友白髪」となっています。 緑地の大葉に、白の刷毛込斑を現します。
錦 木 (にしきぎ)
![](img367.jpg)
万延元年からの古典品種です、葉肉厚めで葉組みやや粗めの平性の常葉で、
黄白色の曙斑を深く現します。
西ノ有明 (にしのありあけ)
![](img368.jpg)
![](img369.jpg)
本種は文政12年に発刊された、「草木錦葉集」に図入りで紹介された5種の内の、
「弥七岩ひば」がその始まりと言われ、その後は江戸時代及び明治時代の銘鑑の、
「四季の曙」が本種と言われていますが、昭和初期の銘鑑には全く掲載が無く、
日本巻柏連合会銘鑑には、昭和49年度の第22号から掲載され始め、その後は
連続で掲載されています。
檜葉形の大葉に、春から乳白色の曙斑を現します、斑は後眩みの春の曙斑で、
夏以降は緑を戻します、本種の最大の特徴は、軽く触れても葉先を飛散させる事にあり、
思わぬ所に発芽している事があります。
日 光 (にっこう)
![](img370.jpg)
昭和42年に新登録され、昭和48年度銘鑑まで掲載されますが、その後の銘鑑に掲載は
有りません。
私が巻柏を始めた時からの参考書籍である、主婦の友社発刊(編者 日本巻柏連合会)の
「いわひば育て方のコツ」の「友白髪」の項には、『斑の良く出たものを「日光」と呼んで
いましたが・・(中略)・・昭和四十九年から「友白髪」に統一される事になりました』とあり、
別の書籍にも同様の記述が見られます。
画像の品は、葉全体に斑を乗せた「友白髪」で、つまりは「日光」と言う事に成ります。
ただ、このように葉全体に深く斑を乗せた友白髪は、挿し芽をしても発芽は困難で、
上手く発芽しても中々育たず、親芽自体も年々衰退してしまう傾向にあります。
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