か行(くけこ)の品種



孔雀ノ舞 (くじゃくのまい)  


昭和36年度登録品種です。 葉組みの粗い立性の常葉に、砂子斑系の散り斑を現します、
鱗の粗い葉肌で、葉に若干撚れを感じ、荒々しさを感じる葉姿です。 


百済之誉 (くだらのほまれ) 


平成20年度登録品種、つまり昨年度の登録品種で、最も新しい登録品種ですので、未だ
所持しておりません、以前の私なら登録品種は即入手したはずですが、最近は新種や
珍品の入手にも、以前ほど意欲が無くなっており、早急に入手するつもりは有りません。

画像は、昨年あるお棚にお邪魔した折に、本種が有ったので撮影させて戴いた画像です。

所持しておらず現品を見たのは、この時と秋の全国展での2度だけなので、
特徴やその他は全く解りませんが、長年の経験から受けた印象では、
葉姿は雲仙を若干細身にしたような感じで、斑の感じも春の曙斑の様な印象でした。


雲井鶴 (くもいづる)


昭和31年度登録品種です。 丹頂に似ていますが、丹頂に比べると、葉幅が若干広めで、
白曙斑もより深く乗せます。
古い銘鑑を遡ると、江戸時代や明治時代の銘鑑にも、「雲井鶴」の名が見られますが、
これらは現在の「雲井鶴」とは、無縁の品種だと言われています。
 

群青錦  (ぐんじょうにしき) 


平成2年度の登録品種です。 小型の檜葉形で平性です、濃い鮮やかな緑色から
「群青」の名を付けられたと、名付けた方から聞いています。

基本的には青葉物ですが、画像の一部に見られる乳白色の斑を、個体によっては現します。
ただ、斑乗りの悪い我が家では、斑の出た品を入手しても消えてしまい、
再度出現する事はありません、本種の斑の出現は、個体もさることながら、
管理環境にも大きく左右されるようです。


群龍王 (ぐんりゅうおう)


平成2年度登録品種です。 鱗の粗い葉で一本葉と手葉が混在します、手葉は分岐先を
更に伸ばします、そのため一見その殆どが、一本葉で構成された株に見えますが、
実は一本葉に見える中には、分岐先の長くなった手葉も多く含まれて居ます。

管理環境によっては、新しく伸た葉には、白系の曙斑を現すのですが、
残念ながら私の棚では、その斑を見る事が出来ません。


月光 (げっこう)


昭和50年度登録品種です。 高尾錦の変化種と言われています、
葉幅は広めで葉組みもやや粗めで、やや大葉の萌黄種です。

 
黄衣仙 (こういせん)



平成3年度登録品種です。 やや立性の常葉で大葉です、地色は緑の青葉物ですが、
秋には萌黄種の様に、その名の如く黄衣に衣替えをして、冴えた黄葉を楽しませてくれます。
ただチョッピリ気難しい所もあり、その年の気候や管理如何によっては、緑が強めに残り、
綺麗な黄色に衣替えをしてくれない事も有ります、下の画像がその例です。。

下の画像は某年5月の撮影で、写っている4個とも黄衣仙なのですが、昨年秋の紅葉時に
中央の一個は見事に黄葉したのですが、違った場所にあった3個は、ほとんど黄葉せずに
休眠してしまいました、 つまりは4個とも昨年秋の色合いで目覚めた黄衣仙なのです。



 
紅王龍 (こうおうりゅう)


平成3年度登録品種です。 金龍の変化種と言われ、細目の一本葉に少し手葉を持ち、
金龍同様に曙斑を深く現します、金龍より細葉で、葉先に丸みを感じます。


紅玉錦 (こうぎょくにしき)


昭和30年度登録品種です。

玉織姫の細小葉変化種で中葉です。

葉が短めの為か、年月を経る毎に、
だんだん盆栽風になって行きます。

先祖返りの特性を持つ準固定種
ですので、挿し芽発芽時の苗や
育成中の品も、その多くが先祖の
玉織姫に戻ります。


 
晃玉龍 (こうぎょくりゅう)


昭和42年度登録品種です。 葉幅が広めで分岐は少ない葉で、やや下垂して半球形の
株姿に成ります。 黄白色の曙斑を現しますが、我が家の環境では、
あまり斑乗りが良い方ではなく、ほんの僅かしか現しません。
 
 
光城 (こうじょう)


昭和54年度登録品種です。

中型で平性の常葉に黄白色の
曙斑を深く乗せます。

右の画像は光城の若株です、上の年月を
経た株と、葉の感じの違いを、比較参照し
てみてください。

若株と成株での葉の感じの違いは、
本種に限った事ではなく、多くの品種に
見られる傾向ですが、本種は白晃麒麟
や日之出鶴、また春日錦等と共に、
私の棚ではその違いを強く感じます。

 
 
黄真龍 (こうしんりゅう)


平成4年度登録品種です。 萌黄の大葉に龍葉を交える、これまでの萌黄葉類には
無かった特徴で、良く下垂して半球形の株姿に成ります。

本種は強健で生育も良く、春に植え替えた株が、秋には鉢から葉があふれ出し、根も鉢内
に張り巡らせ、葉を持って持ち上げると、鉢が一緒に持ち上がる程に根張りも旺盛です。

これも本種に限った事でなく、常葉と龍葉(手葉)の混在する品種の多くに言える事ですが、
挿し芽時の私の経験では、挿し葉には常葉を避けて、成熟した手葉を採って挿し芽に
用いると、苗の時から良く龍葉を出す苗が得られるようです。

常葉と龍葉の混在する品種の挿し芽には、若株の常葉の下葉を挿すと、発芽率も良く
効率的ですが、得られる苗は龍葉の少ない苗が多く成る傾向に有るようです。
富士之華なども同様な傾向に有るようです。
 

黄天翔 (こうてんしょう)


昭和57年度登録品種です。 檜葉形の大葉に、黄色と黄緑の刷毛込斑を現します。
緑地に黄色の刷毛込斑を持つ事で、感じの似た品種に「瑞光錦」がありますが、瑞光錦は
地色と斑の境がハッキリした、黄色の斑だけなのに対し、黄天翔は地色との境が不明確な、
黄緑色の淡い斑も合わせ現します、また瑞光錦より大葉です。


晃明殿  (こうめいでん)

昭和59年度登録品種です。

白晃麒麟の変化種と言われています。

春から葉先に白の斑を表し始め、
夏には葉全体を白で染めます。

夏以降は少し緑を戻しますが、
秋には白斑が金色を帯びてきます。

上の画像は6月下旬撮影です。

右の画像は11月初旬の撮影です。



黄門殿 (こうもんでん)


昭和40年度登録品種です。 一説では、万延元年及び明治の銘鑑にその名が見られる、
「雪笹」の改名登録品種とも言われています。 葉組みの粗い檜葉形の大葉です。
葉組みが粗く葉丈が長い事から、細身に感じる常葉に、晩春から乳白色の曙斑を現します。


光 琳 (こうりん)


平成6年度登録品種です。 やや立性の常葉で、紫金襴の様な金色系の曙斑を現します。 
我が家での本種は、曙斑は殆ど現さず、地中根の発達も悪く鉢底まで根を伸す事が無く、
その為か思ったほど株が充実せず、大株には成り難いようです。



故郷錦 (こきょうにしき)
画像は有りません

日本巻柏連合会銘鑑には、第1から第22号(昭和48年)まで掲載されていますが、
昭和49年から九重錦に統合されたと言われています。

参考文献によると、本種「故郷錦」は、天保14年の「蛇の目」がその始まりで、明治31年
より「故郷の錦」で、その後の銘鑑には、昭和5年の銘鑑を除き、昭和48年の銘鑑までの
全ての銘鑑に掲載されています。

砂子斑類と言われる系統の中でも、この手の品種は私には識別が不可能ですので、
強いて入手する気も無く、探す事もなかったのですが、今までに「故郷錦」名の品と、
出会う事もありませんでした。



古金襴 (こきんらん) 




天保14年の「砂子獅子」が本種の始まりで、万延元年から現在名の「古金襴」に成ったと
云われています。 檜葉形の中葉で葉重ねも良く、平性で葉先を少し下垂させます、
また斑乗りも良く葉全体を砂子の金斑で染めます。


黒牡丹 (こくぼたん) 


万延元年からの古典品種で、現在確認されている全ての銘鑑に、その名が見られる
名品です。 葉重ねの良い深緑の中型葉で、受け葉気味の葉姿は、恰も牡丹の花を
思わせ、黒牡丹の名に相応しい姿です。


黒 龍  (こくりゅう)


万延元年からの品種と言われ、万延元年及び明治31年と明治34年の銘鑑に、その名が
見られます。 昭和初期の各銘鑑には、その名は見られず、日本巻柏連合会銘鑑には、
昭和49年度の第22号銘鑑から、突然に掲載されるようになり、その後は平成6年まで
連続で掲載されますが、平成7年度の第42号銘鑑以降は、掲載から外れます。

私が巻柏を始めた頃から、平成6年までの銘鑑に、連続掲載された品種ですので、
勿論入手をし、その外にも幾つもの個体を見ましたが、龍とは名ばかりで、龍葉は全く
持たない立性の常葉で、葉の裏に黒色の筋が有るだけの事、これが本当に古来種の、
「黒龍」の現存品なのだろうかと、今でも疑問に思っています。


九重錦 (ここのえにしき)


「九重錦」の名は昭和6年からですが、本種は品種統合で、万延元年の「蛇の目」からと
云われる「故郷錦」や、天保14年からの「金獅子」を、統合吸収した品種名ですので、
古典品種と言えるのかもしれません。 葉組みのやや粗めの常葉に、砂子斑を表します。


古今独歩 (ここんどっぽ)


明治31年からの品種です。
分岐の少ない立性の受け葉で青葉もの、葉肉が厚く断面は四角に感じるほどです。


小雨錦  (こさめにしき)


天保14年の「錦鶏」が本種の始まり
と言われ、その後は「小雨の錦」になり、
日本巻柏連合会銘鑑には、第2号から
掲載され始めます。

3号4号銘鑑には掲載が無く、
第5号(昭和32年)以降は
連続掲載されています。

平性の檜葉形の大葉に、砂子系の
小さな散り斑を葉の全体に現します。




越ノ誉 (こしのほまれ)


昭和30年度登録品種ですが、一説では江戸時代から明治時代の銘鑑に、
その名が見られる「羅紗爪」の、改名登録種とも言われています。 

やや立性の分岐の少ない中形葉に、春から乳白色の曙斑を現します。
斑は春の曙斑と言われる、いわゆる後眩みの斑で、夏以降には緑を戻します。
葉姿や斑の感じの似た品種に、旭龍が挙げられますが、越ノ誉の方が葉肉が薄く細身です。


御所錦 (ごしょにしき) 

万延元年からの古典品種です。 葉先の先端が低い中形の常葉で、春に葉先から
白曙斑を現します、夏には一旦斑が薄れ秋には斑を戻しつつ、斑は金色を帯びてきます。
その色合いから同系の品種を、「金銀斑類」と呼んだものと、個人的には思っています。


国 冠  (こっかん)


昭和46年度登録品種ですが、独立した品種としての扱いは、僅か4年と短命で、
昭和50年には金山に統合されます。
金山に比べ短葉であるが、特徴は「金山」と同じです、強日管理で育成された両種は、
葉の長さが違うので区別できるが、「国冠」も弱日では葉が伸びて「金山」同様になります。

これは巻柏全品種に言える事ですが、作棚の管理や環境に依って葉の長さは変化します。
昼夜温度差の少ない温暖な地域では、全ての品種が色彩は良くなる様ですが、
葉は長くなる傾向にあるようです。


黒光殿 (こっこうでん)


 昭和51年度登録品種です。 変り斑物とでも云うべきでしょうか、
立性の常葉にこげ茶色の斑を乗せています、秋にはその色合いを
深めると共に、地色も明るい赤茶色に紅葉します。


小天狗 (こてんぐ)


昭和52年度登録品種です。 葉幅の狭い中形常葉の青葉物ですが、
鱗が細かい感じではっきり見え、葉肌にザラ付を感じる特徴の有る葉です。


湖東錦 (ことうにしき)


昭和61年度登録品種です。 黒牡丹の変化種で、一言で簡単に言うと、黄葉や黄芽を持つ
黒牡丹と言った所ですが、この特徴の遺伝性は確実で、黄緑の葉を挿し芽しても、
青葉を挿し芽しても、発芽苗は確実に湖東錦の特徴を持って生まれます。

ただ、黄色芽は年月を経ると、芽自体が退化する傾向にあるようですので、
将来の大株を夢見て育成するなら、黄葉の少ない株を育成する方が良く、
最初は物足りなくても、年月を経るごとに、黄葉や黄芽は増えてきます。


琥珀錦 (こはくにしき)


平成2年度登録品種です。 「玉川染」の太葉変化種です、葉幅も広く葉丈も長めですが、
斑の特徴は先祖の玉川染に似ています。



高麗牡丹 (こまぼたん)
下記の理由から所持しておらず、画像は有りません。

日本巻柏連合会銘鑑には、昭和30年度の第四号銘鑑に「高摩牡丹」で初登場しますが、
新登録としての別枠掲載ではありません。
その後は昭和55年度の第28号銘鑑まで掲載され、後の銘鑑にその名は見られません。

新登録でない訳を探ると、一説には連合会結成以前の、東京金龍会からの品種とも
有りますが、昭和18年の東京金龍会銘鑑では、その名を見ることが出来ません。

昭和55年度銘鑑まで掲載があったのですから、勿論私も「高麗牡丹」と称する品に何度か
出会いましたが、私の目では「宝山」と識別する事が出来ず、入手する事はありませんでした。

萌黄葉系各種は、葉形の特徴が良く出ていないと、識別が難しい品種です、管理如何では
葉形葉姿も変り、下垂性の強い「栄獅子」でさえ、管理の如何によっては下垂せず「宝山」や
「天乙女」と見間違う事もあります、「高麗牡丹」と呼ばれた品種もその様な、管理環境で
一時的に変化した、「宝山」だったのではなかろうかと、個人的には現在もその認識で居ます。

:上記で「一時的変化」と述べたのは、短期の事ではありません、同じ管理環境にある
限りは、その個体の変化は半永久的に持続されますが、管理環境が変わると本来に戻る
と言う意味です。 巻柏が管理環境に適応する為の、仮の変化(不定期の一時的変化)で、
その変化には遺伝性が無いと言う意味です。



小紋錦  (こもんにしき)


昭和46年度登録品種です。 一説には金華山の挿し芽変異種の記述も見られる本種は、
金華山よりは細身の常葉で大葉物です。
初夏から乳白色の曙斑を現し始め、秋に向かって斑を深めます。


金剛乃光 (こんごうのひかり)


昭和61年度登録品種です。 金龍の変化種と言われ、独特の葉形の常葉です、
文章では葉形を上手く説明できませんので、画像を参照ください。

初夏から曙斑を現し、管理環境によっては、斑を深くするようですが、
我が家の棚では残念ながら、斑は葉先に僅かに現れる程度です。


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